「アフター6ジャンクション」で紹介したオススメ漫画(2023年7月18日)
2023年7月18日(火)放送
TBSラジオ「アフター6ジャンクション」
当番組に「マンガが好き過ぎる芸人」として出演した際に「アトロク漫画部が選ぶ!2023年上半期、このマンガがすごい面白い!byトミヤマユキコ、吉川きっちょむ、つづ井」と題してそれぞれ漫画を3作品ずつ紹介してきました。今回は宇多丸さんがお仕事で不在で、宇垣美里さんとトミヤマユキコさんが素晴らしいトークをされてました。しかし、限られた時間内で魅力を話すというのは難しいですね。ということで今回も話し足りなかったことも含めて自分が挙げた作品についていろいろ書いていこうと思います。
放送を聴く場合は、radikoが一週間の期限で終わっちゃったので、Spotifyにて聴いてみてください!
「アトロク漫画部が選ぶ!2023年上半期、このマンガがすごい面白い!」
前回に引き続き、今回もめっちゃくちゃ悩みました!半年っていい作品たくさん出てるんですよね!ちなみに前回は以下の通り。
前回の時点で直前数ヶ月のまとめみたいなところあるので単行本の発売日が2023年上半期のものから選べば多少被るのはご勘弁ください。さらに、アトロクを聴いてる方はアンテナ感度が高いと思うのでサブカルとエンタメのバランスを考えつつ「そんな人はこれは読んでおくべき!」という視点も入れつつ、応援の意味も込めて巻数が若いものを選びました!
田島列島『みちかとまり』、町田洋『砂の都』は誰かが選ぶだろうと思って保留。今回誰も持ってきてなかったので保留しなければよかった…。とても良いのでぜひ。
そして、トミヤマユキコさんが選んでいた田沼朝『いやはや熱海くん』は僕も大好きで最終候補に入れていましたが早いもん勝ちということでトミヤマさんから推されてました!っていうかその場にいたみんな大好きでしたね!
つづ井さんが選んでいた地球のお魚ぽんちゃん『霧尾ファンクラブ』も大好きです!ギャグ漫画としての面白さとストーリー性も含ませてて最高!
僕も今年の2月に、ポッドキャスト「週刊マンガ獣」でも紹介しています。
さて、そんなこんなありまして今回僕が選んだ3作品がこちら!
1. 『ダイヤモンドの功罪』平井大橋
「ヤングジャンプ」で連載中!
6月19日に1巻発売、7月19日に2巻発売。3巻は10月頃発売予定!
個人的には2023年上半期で一番面白かった作品でした!
こちらは前回出演時にも紹介しているので、ぜひ前回の記事を読んでみてください!
そちらでより詳しく紹介しています。
ちなみに『ワイドナショー』出演時にも紹介してまして、各所で激推ししております。
試し読み
2. 『ぷらせぼくらぶ 新装版』奥田亜紀子
短編集『心臓』では、「このマンガがすごい!2020」オンナ編5位にランクインしていたのも記憶に新しい奥田亜紀子先生。
『ぷらせぼくらぶ』自体は約10年前に発表されていて、やはり漫画好きたちの間でとても高い評価を受けていた覚えがあります。新たに38pの描き下ろしの短編も入ってますし、「新装版」ということで改めて未読の人にも読んでほしいなという気持ちでプッシュしました!
5月15日発売。
痛々しくて美しい多感な時期のリアルな少年少女の話で、作中の言葉を使うと誰かに「残念」な人だと思われているような中学生たちの人間ドラマが心をえぐります。目立つ人の背景になりがちな彼らにだって大事にしているものもあるし、得意なことだってあるし、悩みもある。そしてそんな彼らが痛みを伴いながらこの1冊を通して変わっていきます。
主人公として据えられているのが中学校2年生の女の子・岡ちゃん。表紙にいる二頭身のキャラです。その岡ちゃんと、岡ちゃんに関わるその周囲の人物たちを描く連作短編の群像劇となっています。妄想や思い込みが激しく、変わり者だと言われている岡ちゃんは、少しずつ大人になっていく周囲についていけずにいます。思春期では自分や他人に期待し過ぎる経験が誰しもあると思うんですが、だからこそそこに振り回されてネガティブになったりナイーブになったりするような場面が随所に出てきて胸がギュッとなります。
例えば、岡ちゃんと一番仲の良い田山は、周囲からどう見られてるか気になってなにかと比較してしまうタイプ。他人に勝手にレッテルつけて、そんな自分が一番嫌で、自己肯定感低くて、一歩先にいる人が羨ましく思えて。でもそんな自分をちゃんと見てくれてる人もいる。間が悪いところもあるけど勇気を出して一歩踏み出していく姿がまたいいんです。
他にも、多少居心地が悪くてもクラスでの居場所を確保するため一軍のやつに話合わせて必死な男子。たまに挟まる心象風景がすごいんですよね…。実際に逃げ場がない選択を突きつけられるようなシーンで、大量の銃口を向けられるような描写があったり。この話のオチが最高に好きです。最底辺には最底辺なりのいじけた怒りが存在することに対する衝撃というか…。
「みんないつのまに普通を知っていくんだろう」というセリフが岡ちゃんとこの作品を表しているように感じました。
自分だけ置いていかれているような、蚊帳の外になっているような気持ち。それぞれのスピードで変化していくからこそついていけない場合だってあるし、浮いてしまう。その自分にはどうしようもない摂理、悲しみ、切なさ。
思春期の友達とのことや、学校でのことなど小さな世界で頭がいっぱいでどうしようもなく振り回されてしまうけど、大人になって振り返ってみると案外忘れてたり、些細なことだったなと思い出すこともあるし、決別してしまったきっかけを許せることもある。
社会人として働いている大人の登場人物が、田山と岡ちゃんの関係を見て回想して、自分の記憶と現実へリンクしていく場面も印象的でした。
この思春期のあれこれを読んでいると強制的に僕たちも自分の記憶への旅に連れてかれてしまう。枕に顔を押し付けて叫びたくなるような思い出すと恥ずかしい記憶もあれば人には言いたくない大切な記憶も蘇ると思います。
読むとさまざまな感情と記憶に向き合える素晴らしい1冊なのでぜひ!
試し読み
3. 『かわいすぎる人よ!』綿野マイコ
「ハルタ」で連載中!5月15日に1巻発売。
姪っ子と叔父さんの心温まるかわいすぎる話です。読むとほっぺた緩んでにこにこになってしまう。
両親を幼くして亡くした中学生の少女・メイと、5年前にメイを引き取って一緒に暮らす叔父・史朗。叔父さんがみんなが振り返るほどスタイルが良くて女の子みたいにかわいくてキレイな顔で、「わたしもおじさんに似てればかわいかったのに」と、メイは自分に自信を持てないでいた。でもメイの優しさや可愛さをおじさんは知っているんです。お互いにかわいいと思っている仲良しな二人の生活が愛おしい!
おじさんがモテることで問題も起きたりして、だからこそメイちゃんは偏見を持たずに美人の悩みに寄り沿ってあげられたりもする。
大きくなってきたメイちゃんを見ていると、亡くなったメイちゃんの母であり、史朗の姉に日に日に似ていく。見た目もだけど、その思いやりや優しさも似てきて重ねてぐっときたり。メイちゃんと行った夏祭りで人混みと熱気に疲れて史朗が休んでいて、自分のもとへ来たメイちゃんに謝ると、とあるセリフを言うんですが、それがもうかつての姉と重なってフラッシュバックしてたまらないんです。
その優しさで周囲の人も背筋を正したり、影響されていく様子も見てて気持ちがいいです。お互いに誇らしくて自慢の人だと思ってるのが何より心地良い。一つ一つの話の小さな優しさが、読んでいくと心のなかでどんどん積み重なって大きな幸せになっていく感覚があって大好きです。大切な漫画になりました。
試し読み
以上です!それぞれ間違いなく面白いのでぜひ読んでください!
他の方が選んだ作品まとめ!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
【トークイベント告知】
「週刊マンガ獣1周年記念イベント」
日付:8月1日(火)
時間:開場19:00/開演19:30~終演21:30頃
場所:ネイキッドロフト横浜(JR横浜駅西口から徒歩3分)
料金:前売¥1800/当日¥2000 ※一部配信あり!(応援¥800)
出演:天津・向/吉川きっちょむ
ゲスト: 凸ノ高秀『she is beautiful』『アリスと太陽』
増村十七『花四段といっしょ』『バクちゃん』
詳細はこちら→https://www.loft-prj.co.jp/schedule/naked/257288
普段、和やかにマンガの話をしているポッドキャスト「週刊マンガ獣」が配信して1年が経ったということでイベントを開催することに!
1周年のお祝いといいつつ、普段のポッドキャストの延長みたいな感じの漫画のおしゃべりをやったり一年の総括したりな予定で、さらにゲスト漫画家さんたち二人にもしっかりお話聞くので楽しみにしててください!
公開収録みたいな形になると思います!
そしてお二人の連載中の漫画『she is beautiful』『花四段といっしょ』とのコラボメニューも用意しているのでお楽しみに!サインももらえるかも!?
お待ちしてます!
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