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わたしの名前は Ann もしくは Anneです(自己紹介も兼ねてお話します)

But if you call me Anne please call me Anne spelled with an E.


「赤毛のアン」の中でアンが初めてグリーンゲイブルズにやってきた時、養母になるマリラに「Annではなく、Anneと呼んでほしい」と言うのですが、「eを付けなくても大したちがいはない」と無下に言われてしまう場面は殊に有名です。

この時アンは「あら、大ちがいだわ。そのほうがずっとすてきに見えるのですもの」と反論するのです。

アンという名前は「Ann」や「Anne」と書かれます。同じアンでもスペルが「Ann」だとちょっと平凡で、最後に「eがついたAnne」の方がおしゃれだとアンは思っています。

But if you call me Anne please call me Anne spelled with an E.


私はキリスト教系の中高一貫校で多感な頃を過ごしました。
英語教育に力が注がれていたため、主要科目の英語の他に宣教師による English conversation の授業が設けられていました。
でっぷり肥ったアメリカの中年女性ハウエル先生でした。

彼女の授業ではEnglish nameが生徒一人一人に与えられるのが決まりでした。
彼女の新年度の仕事は新入生の写真を見てイメージし名前を考えるところから始まりました。
彼女の授業中や校内ですれ違った時などもその名前で呼ばれることになるので6年間のお付き合いをしなければならず、ともすれば学校生活を左右されかねない大事な名前です。

ジーン、キャッティ、ダイアナ…
次々にクラスメイトの名前が決まっていきます。
いよいよ私の番です。

Ann!

え?わたし? Ann なのか?Ann ですか?

私の手元には Ann と書かれたカードが手渡されました。確かに「Ann」です。
へぇ~Ann なんだな…と家でもそのカードに見入っては何度もその名前を声に出して言ってみました。​
そして、ふと、大好きな「赤毛のアン」を思い出しました。

But if you call me Anne please call me Anne spelled with an E.

【e】の付いた名前で呼んで…と。
そうだ、そうお願いしてみよう、と。

次の授業終わりに一か八かでそう申し出てみました。
「【e】の付いたアンにしてください」

しかし、彼女はマリラでした。

「そう違いはないのだけどね、あなたには陽気な明るいAnnの方が似合うと思うわ。でもそう言うのなら…」とカードに【e】を付けてくれたのです。

最初は「赤毛のアン」の単なる受け売りでした。 
でも、そう申し出る勇気は12歳の私がこの学校で自分を組み立てていこうとする希望に繋がっていくような気がしていました。

後付けにはなるけれども、私にとってもスペルに【e】が付くかどうかはとても大事なことでした。どんなイメージでふるまうのか、他人からどう見られたいのか、そして、自分はどう生きていくのか、新しい世界で自己肯定感を高めようと思ったのですから。

わたしの名前は Ann もしくは Anne です。
いや、Anne ですが Ann かもしれません。
でも、まだ Ann なのか Anneなのか正直言って不透明です。

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