【短編小説】認知症予防の日
どこか遠くでサイレンが鳴り、地域の情報を知らせる放送がかかる
今日はどこかの高齢者が迷子になってしまったらしい
いつの間にか外へ出てしまい、行方不明になる
そんな話は、そう少なくない
幸いにも実家の祖母は認知症になることなく、最後の時までハキハキと過ごしていたけれど
それは私が知らないだけだったらしい
少しずつ現れていた家族との認識のズレはあったようだった
それでも、ひどくなる前に老衰でこの世を去ったのは彼女の気丈さや性格を反映しているようで、当時の祖母の気高さを思うと納得である
なりたくて認知症になる人はきっといないし、誰しもなりたいものではないだろう
どうしたって世話してもらわなければならなくなるし、幼子の様に世話をされるのは、する方もされる方もストレスがかかってしまうに違いない
それに、誰だって、大切な事を忘れますと言われてハイそうですかと納得できる訳がない
だから、頭を働かせて、脳内を活性化させて、覚えていられるように努力する
必死になってやるのは辛いから、少しでも楽しく出来る事がいい
指先を動かして折り紙や何かの作業をしたり
パズルと解くのもいいと聞く
治療法が少しずつでてきているかもしれないけれど、それよりは、ならない方がもちろんいい
とりあえずは、放送で聞こえた方が無事に家に帰れますように
そして、そうなる未来を回避するためにも、出来る予防法を取りいれていきたい
……とはいえ、まぁ、日々疲れて帰るからすぐ寝ちゃうんだけどさ
本日は「認知症予防の日」だそうです。日本記念日協会様より。
少なからず、多くの人がなりたくない病気としてあげるものの一つにはいるのではないでしょうか。今がいつなのか、相手が誰なのか、何をしていたのか、何をしたいのか、何を思っていたのか、それらを忘れてしまいわからなくなってしまう、そんな状態は、やはりあまり好ましくはないですよね。自分自身にとっても、周囲の人にとっても。
できるかぎりの予防をして、気を付けて、しっかりと記憶と自分の気持ちを保ったまま、この世を去りたいな、と思う私です。