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【子供の頃の記憶】 金魚のふくろ

インディアンショップ

学校から帰ってきて一通り遊んだ後、喉が乾くと駆け込んでいたのがインディアンショップだ。私にとってインディアンショップは、町の駄菓子屋さん的な存在だったのかもしれない。お小遣いで買えるバブルガムや舌が赤色や真っ青に染まるようなアイスキャンディーを売っていた。店は子供でも5人も入れば狭く感じるような広さだった。壁一面にお菓子が所狭しと積み上げてあって、なんとなくワクワクしていた気持ちが遠い記憶の中にある。そこにいたのはインド人のニコニコしているおじちゃんだった。そんな小学生の頃を過ごしたシンガポールに仕事で戻って来れるとはその時には想像もしなかった。

週末の楽しみ

土曜日は午前中だけで学校は終わり、家に戻ってくると母親と来週の食料品の買い出しに町へ出かけていた。その時の一つの楽しみは、お買い物が一旦落ち着くと飲めるフレッシュジュースだった。ここで買うフレッシュジュースはリンゴとオレンジをその場で絞ってくれるものでお父さんがビールを飲むようなガラスのジョッキに入っていた。ボリューム満点だし、暑いシンガポールの気候にはぴったりの飲み物で飲めるのを楽しみにしていた。この時、フレッシュジュースは普段から飲めるものではないと知る余地もなかった。

自分にとっての当たりまえ

私が育った時期は、日本人の駐在員家族が多く滞在していた時期でもあり週末は3−5家族くらいが一緒に過ごすことが日課だった。そのおかげで、一人っ子の私でもまるで兄弟がいるかのようにいつも同年代の仲間と遊ぶことができた。それでも口げんかが始めると兄弟(姉妹)が結託することもあり、兄弟っていいなぁ〜と心の中で羨ましく思ったりした。そんな日常に日本からお友達が遊びにきて一緒に時間を過ごすことも時にはあった。そんな時に、インディアンショップでジュースを買ってウキウキと飲もうとした時に視線を感じた。そして、隣にいる友達は浮かない顔をしてボソッと「これ『金魚のふくろ』みたいで飲めない」。縁日で金魚が入れられる袋がまさにこの瓶のジュースを入れる袋と似ていることなんて当時の私は知らなかったのだ。





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