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2023.04.26 LaLiga第31節 ジローナvsレアル・マドリー
・はじめに
おはようございます。こんにちは。こんばんは。
“ミッドウィーク開催“、“日本時間午前2時30分キックオフ“。
これだけでも気が狂いそうになるのに、無惨な結果を眼前にしてファンが精神崩壊したであろう試合を振り返り。
全節レビュワーには目を背けていい試合なんてないのです。(?)
以下、スタメン。
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ベンゼマが欠場、期待されていたアルバロも欠場、ロドリゴの出場可否も少し怪しいと報道されていた中で、マリアーノとアザールどちらがCFの座を射止めるのかと密かに期待していたのですが、アザールが直前の練習で怪我...。
ならばマリアーノに懸けるしかない!と腹を括っていた筆者を嘲笑うかのようにロドリゴの偽9番でこの試合は幕を開けた。なんやねん。
クロースをアンカーに置いたオフェンシブな配置にも注目が集まる。
ジローナは11月に戦った前回対戦同様4-1-4-1の布陣。
ミゲルとアルナウの若き両SBコンビ、アンカーとして鎮座するロメウ、そしてこの試合では先発出場を果たしたロロ・リケルメあたりが注目プレーヤー。
・試合内容
・“組織“と“集団“の差
前回対戦時も感じたジローナの“組織としての完成度の高さ“。
この試合でもそのコレクティブさは顕著に表れていた。
まず挙げられる良さは守備ブロックを緻密に、それでいて素早く組めるところ。
守備隊形を大別すると2パターン。
①ツィガンコフを前に押し出してチェックに行かせる4-4-2のような形。
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②中盤3センターもそのまま落とす4-1-4-1のような形。
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基本的に左寄りの位置でクロースが始点になることが多いマドリーに対し、①の陣形を採用し右IHのツィガンコフを前に出すことで可変コストを縮小しつつ供給元を牽制。
自陣に押し込まれた場合は初期配置の4-1-4-1のまま守備ラインを低めに設定する②の形を組む。
2つの陣形を駆使して「クロースを抑える」、「ヴィニシウスへのチャレンジ&カバーの徹底」、「ハーフスペースを塞ぐ」、「ロドリゴのリンク断ち」これらの必須項目を高次元で継続。
特にその時々のシチュエーションに応じた陣形可変を成り立たせていた中盤3センターは見事であった。
そして、ジローナが素晴らしかったのはそれらの形を維持し続ける胆力。
漏れなく意思疎通が取れており下手にブロックを崩してしまう選手が居ないため、マドリーがあの手この手で穴を開けようとしても、焦れずに強固な連携で守備ブロックを維持。
一方のマドリーは組織的に守備を行うというより、個の能力で局所を潰しに行く傾向が目立つ。
この守備は対人に強い選手が担当するゾーンはまだいいとしてそうではない選手が守る部分には脆さが出る。
更に、そんな甘さが観られる守備対応を続ける中、守備の要となるべきミリトンが裏へのロングボール1発に対応することすらできずに失点を喫するなど酷い有様。
対峙する“組織“に対してモチベーションの差こそあれど、ただの“集団“としての域を脱せていないような白い巨人の姿は観ていて歯痒いものがあった。
・アンカー位置選手におけるフィルター能力についての再考
この試合で目を引いたのがジローナのアンカーを務める18番ロメウのプレー。
チェルシーやサウサンプトンといったプレミアリーグのチームに所属していた経験があり、フィジカル的優位性を活かしたプレーが特徴の選手。
ジローナの4-1-4-1システム3列目の1を任され、ゴール前の所謂バイタルエリアを完全に封鎖。
守備範囲は中央だけにとどまらず、ヴィニシウスに対してSBやCBが出ていったスペース(主にハーフスペース)を代わりに埋めるカバー能力も忘れてはならない働き。
上述の守備陣形を組みつつ、被クロス対応ではきちんとバックラインのカバーに入ることでゴール前のプロテクト能力を担保。
皮肉にも、マドリーにはこの役割がいなかった。
後半開始早々に喫した3失点目は特にそれが顕著で左サイドのナチョを突破された後のクロスが簡単にゴール前まで流れてしまう。
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この試合でジローナが採用していたのが、右SBアルナウを内側に絞らせ、俗に言う“偽SB“の形でボール保持をする形。
このシステムで創出したサイドへのパスコースからCBのブエノがヤン・コウトへ展開、受けた20番は縦への速さを見せてマドリーの左サイドを突破。
この時、剥がされたナチョは距離を取ってクロスブロックに切り替えるのだが、中途半端な距離感と足の出し方で大した阻害にはなれていなかったのが痛かった。
そして、掲題したアンカーの位置を担当するクロース。
サイドのカバーにも中央を警戒するにも中途半端な立ち位置で左サイドに寄っており、そもそもヤン・コウトの突破速度に対応できる帰陣速度を持っていないため、クロスに対する守備人員として計算できない状態に。
代わりにバルベルデが中央に絞ってはいたものの、注意散漫なDFラインに応急処置では物足りず、流れていったロークロスからカステジャーノスにハットトリックを許してしまった。
DFラインの集中力が碌なものでないのは前提として、この試合を通し、アンカー位置に求める守備力という要素を痛いほど突きつけられた。
これからCL等の大一番を控える中、この試合、そして去年のシティ戦のように彼をアンカーに据えるのか。
アンチェロッティの決断に注目が集まる。
・9番の人選についての再考
この試合のトピックとなったのがベンゼマ、アルバロが不在の中で選ばれるCFの人選。
冒頭でも述べたが、この試合で選ばれたのはロドリゴ。
今季中盤戦を乗り切った彼の所謂偽9番的起用でこの試合も乗り切ろうとした。
しかし、この試合を通して素直に感じたのは“ロメウのようなフィジカル能力に優れた番犬が中央を管轄するチームに対してロドリゴの起用は少し難しいものがあるのかもしれない“という疑念。
ロドリゴは純粋なCFとして相手のDFライン上で基準となるのではなく、トップ下〜左右のWG位置で周囲とのリンクを絡めつつ技術と敏捷性と判断速度の高さを活かしたプレーを得意としているのは周知の事実であろう。
そんな中、得意なプレーエリアに彼が唯一優位性を持ちづらいフィジカルの部分で圧倒してくる優秀なアンカーのロメウがいるのは向かい風。
そしてこの試合では、ロドリゴの壁になってコンビネーションを構築するベンゼマのような選手がおらず、ロドリゴがいざ前を向いても眼前に広がる景色は相手の選手だけ、というような状況が多く見られた。
ヴィニシウスがなんとかしようと中央に寄ってくる傾向も目立ったが、やはり彼もぶつかり合いに強い選手ではないためロメウの餌食となってしまっていた。
皮肉にもこの試合の後半85分に記録したマドリーの2点目は、交代で入ってきたマリアーノのキャリーと競り合いキープを組み込んで生まれたもの。
彼はこの試合に招集されたメンバーの中では唯一と言っていい純な9番タイプの選手。
時間帯の恩恵もあるが、ドリブルコース取りの良さとぶつかられても負けなかったシーンは好プレーであった。
ロドリゴのせいとまで言えるはずがないが、好調のアセンシオは使いたいという思惑を押し出す割には、その周辺を整備せず練度の低いシステムを雑に好チームにぶつけてしまったマネジメントに疑問を投げかけざるを得ない。
・まとめ
端的に言ってしまえば、ただただ無様で虚しい試合。
首位バルセロナとの勝ち点差は縮まらず、コパ決勝やCLの準決勝が控える中でチーム全体で乗り切って行く必要があるLaLigaのアウェイゲーム。
そんな中で、ピッチ上に並んだ選手たちからは覇気が見られず、肝心要のCBが今季最低の出来。
オフェンシブなアンカー起用は収支がマイナスとなった印象。
モチベーションの部分で著しく相手に劣り、それが普段から出場機会を得ているコアメンバー達に如実に現れていたことは少しは理解できるが、とても悲しかった。
一方でジローナはとても良いチームで観ていて楽しい。
組織的な守備を90分間継続。
加えて、アルナウの偽SBシステムの採用など前回対戦からの上積みもきっちりと準備。
要所要所で若い才能が輝き、締めるところはベテランが鍵をかける。
それでいて、フィニッシャーが4発も決めてくるのならもうどうしようもない。
今季他チームで1番良いチームを聞かれたら「ジローナ!」と即答してしまうかもしれない。
これで今季ジローナに対して1分1敗。どちらも勝てなかった。
ビジャレアルもそうですが、今季のマドリーは相性悪いチームにとことん弱いのどうにかしてくれませんか...。
・おわりに
1人の選手に4点を奪われ、一部のポジションに集中的に欠場者が出たものの、言い訳できないメンバーを並べてこの試合をしてしまったことはかなり苦しい。
モチベーション維持、難しいのは分かるけど...。
稚拙な文章、お読みいただき誠にありがとうございます。
よければ拡散等していただけますと幸いです。今のところLaLiga全試合レビューするつもりではいます。多分。
それでは!
※画像はTACTICALista様、レアル・マドリー公式様を使用しております。