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2023.01.30 LaLiga第19節 レアル・マドリーvsレアル・ソシエダ

・はじめに

おはようございます。こんにちは。こんばんは。
コパ・デル・レイを劇的勝利で勝ち進む中、代償として(?)選手が続々と離脱している今日この頃。
過密日程を走り続けて大一番。
ここで2位と3位の直接対決という絶対に負けられないラ・レアル戦を振り返ります。

以下、スタメンですわよ〜。

両チームのスターティングメンバー

コパでは応急処置的な形で左SBに入ったカマヴィンガがこの試合でもそのポジションを任される。
右SBはナチョが支え、最近ハイパフォーマンスを披露し続けているセバージョスとロドリゴも先発出場を果たした。
対するラ・レアルは4-4-2中盤菱形ダイアモンドの形。
日本代表の久保建英をはじめとした技術の高いMF達と、10番を背負うエースオヤルサバル&195cmの長身FWセルロートの2トップは破壊力抜群。

・試合内容

試合開始してから感じたのは、「なんか噛み合わせが悪いのかなぁ?」という感覚。
ダイアモンド型の中盤に対して逆三角形の中盤3枚をそのまま当てはめると供給元のスビメンディ及び久保のファジーなポジション取りを捕まえづらくなる。
配球にも長けるGKレミーロを中心とした後方からのビルドアップも相まって、ロドリゴ起用時に発現する傾向のあるハイプレスを掻い潜られるシーンが多発。

アンカーのクロース周辺を漂い、左右のサイドにも流れながらハブとして機能しつつチャンスメイクに絡む久保にかなり苦しめられる展開。
そして、そんな4-4-2のトップ下で瞬間的に浮く久保をはじめとした味方を逃さず縦パスを供給し続けるスビメンディが鬼
スビメンディ不在時にはピボーテもこなせる左IHイジャラメンディが後方ビルドの補佐も行い、右IHブライス・メンデスは縦横無尽に動いてサイドに流れる、久保が空けたスペースに入ってくるなど掴みどころが無い。
加えてオヤルサバルが自由にボールを受けにくるのでいよいよ的が絞りづらい。
ラ・レアルのシステムの都合上、中央密度が高まり、守備者の目も真ん中に集まりやすくなるため、そこから大外のSBを使うプレーもかなり効果的であった。

マドリーとラ・レアルの噛み合わせ概略図

前半5分にはその大外SBを使ってチャンスを創られる。
スビメンディ→ブライス・メンデス→オヤルサバルと中央ラインを縦パスで前進し、サイドを駆け上がった左SBアイエンから絶妙なクロス。
セルロートの足がギリギリ届かなかったが、開始早々ヒヤっとさせられたシーンだった。

この試合でかなり印象に残ったのが、ヴィニシウスのパフォーマンス。体のキレが異常。
おそらく試合序盤から対面のアリツに仕掛ける中でフィーリングの良さを掴めたのだろう。
仕掛けるまでに迷いがなく、持ち前のスピードと技術を遺憾無く発揮。
前半13分のシーンでは、左ペナ角付近でカマヴィンガからのパスをトラップ、流れるような2タッチ目でスベルディアの股を抜き、アリツとスベルディアの間を割るように突破。
その後のシュートは惜しくもボール1個分ポスト右側に外れたが、圧倒的な個の力で決定機創出。
その流れでベルナベウのスタンドを煽る。調子の良い証拠だ。

この試合の注目トピック「カマヴィンガの左SB」。
個人的にこれがもたらす効力はWGに与えるものより左IHの解放に寄与するものが大きいのではないかという私見。
静的なクロースではなく、広範囲移動によるゲーム関与が得意なセバージョスがカマヴィンガと同時起用されて左IHを担っていることがカマヴィンガのSBが上手くいってる理由の1つなのでは。

カマヴィンガによるセバージョスの解放概略図

1つ例をあげるなら前半34分のシーン。
セバージョスが右サイドに出張し、ナチョ、バルベルデとの3人称として機能。
その後右サイドから展開されたボールがクロースに渡り、彼が左サイドを向いた時にはセバージョスの空けたスペースでカマヴィンガがサポート。
このような補完関係でセバージョスが自由にプレー関与できる土俵を作る。
カマヴィンガはそもそも中盤の選手なので、そのエリアのプレー感覚は当たり前に有しており、セバージョスが移動して半ばアイソ気味に空いた広大なスペースであれば尚更活きる。
その後のカマヴィンガは、縦パスをベンゼマに当ててHS突撃。
ダイナミズム装備の中盤ムーブをしていた。

その後も前半40分にロドリゴが魅せた爆速ドリブルや45分のブライス・メンデスのパスミスを拾ったベンゼマからヴィニシウスの決定機逸に繋げるシーンなどなど、見所満載。

無双ヴィニシウス、セバージョスの広範囲サポート、カマヴィンガの中盤化、ロドリゴが絡んだ中央コンビネーションの効力増幅等、個々が己のポテンシャルを示しつつ有機的に絡む試合運び。
それに伴ってゴールに迫る試行回数も多いポジティブな前半。
しかし、それは相手も同じ。
お互いにゴールに迫る道筋を持ちながらもスコアは動かず0-0。

後半開始と同時にラ・レアルは左SBをアイエン→リコに交代。
マドリーのこの日のキックオフデザインプレーはクロースに下げる→カマヴィンガの左サイドライン沿いパスtoヴィニシウス。
カマヴィンガのキックと好調ヴィニシウスを活かす意図と推察。

後半も久保は脅威。
50分、久保が自陣からクロースの股を抜き、バルベルデのチェックを振り切りながらボールを運んでカウンター発動。
マドリー守備陣3人分の視線を集めてタメを創り、セルロートへスルーパス。
オフサイドにはなったが、自陣からのボールキャリーと決定機創出を許してしまった。

後半54分、ラ・レアルはブライス・メンデス→ナバーロ、オヤルサバル→パブロ・マリンの2枚替え。
それに伴い中盤フラット4-4-2へ変更。(というかマリンがトップ下の4-2-3-1気味)
久保は右SHへポジションを移す

その後、右SHを主戦場にした久保の無双タイムが始まる。
後半60分、久保がマドリー側の左大外サイドでボールを持ち、内レーンのマリンに預けた後、ダイアゴナルランでゴール方向に直進。
マリンによるカマヴィンガの股抜きパスを受けて放ったシュートは、コラプシング技術が光るクルトワがセーブ。

後半67分、ミリトンのパスをカットしたナバーロから久保へパスが通る。
リュディガーとカマヴィンガの間の少スペースでボールを収め、2タッチ目で抜け出しかけるもこのタッチが大きくなり、クルトワと激突。

後半69分、久保がサイドで抜け出し、ボールと共に止まることでカマヴィンガのバランスを崩して突破し、グラウンダークロス。
ナバーロのシュートが上手くミートしなかったため、事なきを得る。

この10分間でビッグチャンスを3度クリエイトする久保には脱帽。
右SHにポジションを移し、内側を向きながら基準点プレーと受け出し裏抜けプレーを怠らない偉さ。
少スペースでもボールを止める技術で次に繋げられる上手さ。
緩急を巧みに使い相手を翻弄する背番号14を起点にゴールを割られてもおかしくなかった

しかし、少スペースで受ける技術と緩急を巧みに操ることができる選手はこちらにもいる。
後半70分、ヴィニシウスのループシュートのシーン。

後半70分のヴィニシウスの決定機

密度の高い中央をダイレクトパス(なんならロドリゴは股を抜くパス)で掻い潜り、ベンゼマからヴィニシウスへボールが渡る。
ワンタッチ目の巧みなボールコントロールでスベルディアとスビメンディの間を抜け、レミーロと1対1の状況に。
前に出てコースを消しに来るGKに対し、ヴィニシウスはループシュートを選択。
しかし、レミーロの超人的な反応で防がれてしまった。

0-0の膠着を打破するため、後半77分にマドリーはモドリッチとアセンシオを投入。
両IHを入れ替え、前がかりに。

後半81分には筆者の兼ねてからの願望であるアセンシオが右大外で基準点になったところから、ポケット突撃を行うモドリッチでチャンスを創出。
このシーン以外でも、特にモドリッチは広範囲でボールを受け、左右にボールを散らす、鋭い縦パスを供給する等、ラストの押し込み展開に大きく貢献。

しかし、彼らの投入によってギアを上げ直すも、そのままスコアレスドローで試合が終了。
悔しく、手痛いドロー。

・まとめ

特に攻撃面のチャンス創出という意味ではかなりポジティブな試合運びができたこの試合。
固定式砲台のクロースと移動式砲台のセバージョス、1対1ほぼ勝つマンヴィニシウス、左IH化も違和感なくこなせるカマヴィンガの左SB、ポジション交換とユニット効力で攻撃を活性化させるバルベルデとロドリゴ
それぞれが有機的に作用し合い、何度も何度もゴールに迫ったが、ラ・レアルの両CB、そして最後の砦として傑出していたGKレミーロ等に立ち塞がれ、得点ならず。
マドリーは久々に無得点で終わるなど、結果と内容が伴わない試合となってしまった。

そして、脅威だったのが久保。
ラ・レアルの攻撃を司っていると言っても過言ではないレベルのハイパフォーマンスを発揮。
アンカー周辺のライン間でボールを受け出しする技術、サイドに流れて基準やタメを創出する動き。
中盤構成も相まって試合を通してかなり苦しめられた。

2位vs3位の直接対決でレベルの高い試合を繰り広げたものの、勝ち切るという点で少し最後の精度がついてこなかったのは反省点。

・おわりに

内容はさして悪くない。
しかし、大一番で勝ちきれなかったのは事実。
負傷者続出でこの内容ができたことはポジティブだが、1位バルセロナにまた差を広げられるのは悔しい。
CWC、CL、のしかかってくるものは多いが、今後も進み続けるしかないのです。

稚拙な文章、お読みいただき誠にありがとうございます。
よければ拡散等していただけますと幸いです。今のところLaLiga全試合レビューするつもりではいます。多分。

それでは!

※画像はTACTICALista様、レアル・マドリー公式様を使用しております。

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