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U-19EURO2024で輝いていた選手を俺にベストイレブン形式で発表させてほしい。

・はじめに

おはようございます。こんにちは。こんばんは。
前回のU-17W杯編に続き、先日開催されたU-19EURO2024に出場していた未来が楽しみな若手選手を備忘録として残すための駄文を書きました。
(↓U-17W杯編はこちら)

ベストイレブン形式で11人、システムは今大会の優勝国スペインに敬意を表して4-3-3を採用。
ちなみに今回は国ごとの選出人数上限は設けていません。
よろしくどうぞ。

・ベストイレブン

☆GK

Vladyslav Krapyvtsov(ウクライナ)

所属クラブ: SC Dnipro-1

“今、ウクライナのGKがアツい。”
今季を飛躍の年にしたルニン(レアル・マドリー)や、そんな彼と代表で正守護神争いを繰り広げるトルビン(ベンフィカ)等、ウクライナ人GKの能力水準は近年加速度的に上がってきているように見受けられる。
そんな流れを汲む良GK、今大会でズビルナのゴールマウスを守ったKrapyvtsovをまず紹介したい。

Krapyvtsovの良さはなんと言ってもシュートストップ性能
異次元の反射神経でシューターとの距離感を問わずに止める止める。
至近距離から打たれたニアサイド低めへのシュートに開脚で反応したノルウェー戦のセーブはお見事。

オープンプレーの中で集中を切らさず淡々とシュートを止め続ける仕事人的な活躍を見せていただけに、準決勝フランス戦のCKで味方がまともに相手をマークできていない所からあっさりとヘディングを叩き込まれて敗退することになったのは呆気なくて少し可哀想であった。
今後のキャリアで報われてほしいものである。

☆RSB

Ali Turap Bülbül(トルコ)

所属クラブ: Galatasaray

RSBにはガラタサライで既にトップデビュー済みのAli Turap Bülbülを選出。

トルコ代表キャプテンの彼はバランスに優れた総合値の高さが売りの万能型SB
シンプルな対人能力に加え、時折足裏を混ぜ込むボール扱いの部分も冷静で安定感抜群。
無理のないプレーぶりと視野の広さを持ち合わせており、サイドでボールを受けた際には周囲にいるフリーの味方を見つけては、丁寧にパスを流せていたのも好印象。
あと、何故か助走無しで割とスローインが飛ぶ。

シニアカテゴリーのEURO2024トルコ代表でカディオールが躍動した姿は記憶に新しいが、nextブレイクSB候補は間違いなくこの選手
Ali Turap Bülbülがカディオールと同じピッチに立ち、反対サイドを駆け上がる日は近いのかもしれない。

表情筋が貧弱すぎるのではないかと心配になるほど真顔が印象的なBülbül。
そんな彼が2番手キッカーを務めたノルウェー戦のPK戦は近年でもトップクラスにレベルが高い名勝負だったので、興味のある方は観られる機会があれば探して観てみてほしい。
「このPK戦一生終わらないんじゃないか」と本気で焦ったのも良い思い出である。

☆CB

Jérémy Jacquet(フランス)

所属クラブ: Stade Rennais FC

CB大国フランスからまたデカくて速くて強い守備者が生えてきた。
あなたが思う屈強なフランス人CB像を想像してみてほしい、Jacquetのプレースタイルは多分大体それで合っている

大味なシーンが散見されるものの、それを補って余りある身体能力を活かした守備で収支はプラマイ爆プラス。
決勝スペイン戦では自らの軽率なパスで招いた被カウンターを完璧なスライディングで潰して帳消しにする自作自演プレーも披露
決勝までの全試合にスタメン出場し、グループステージ第3節スペイン戦を除いてフル出場するなど、DFラインの支柱として大きな存在感を見せた。

トルコ戦では後半86分1-1同点の状況で味方が得た大事なPKを託される等、チームからの信頼も十分。
PKスタイルはGKから目を逸らさず動きを見極めてインサイドで流し込む技巧派。
フルパワーで蹴り込みそうな雰囲気から見せる丁寧なキックのギャップは今大会の視聴者を虜にしたとかしてないとか。
PKキッカーも兼任できるフィジカルロマンCBが欲しいクラブは是非。

☆CB

Yarek Gasiorowski(スペイン)

所属クラブ: Valencia CF

LaLigaファンならバレンシアに所属する彼のことをご存知の方も多いのではないか。
カラフィオーリやらホアン・マルティネスやら、最近流行りの長髪CBシリーズにGasiorowskiの名前も加えてやってほしい。
マルディーニやらセルヒオ・ラモスやら、適当に長髪CBレジェンドにビジュアルを重ねて騒いでもらえれば合格である。

身長192cmの高さと強さ、リーチの長さを活かした守備でスペインゴール前の強固な壁に。
特に最後の最後で攻撃を食い止めるボックス内での強さが際立っていた
グループステージトルコ戦ではCKから豪快なヘディングシュートを叩き込んで得点も記録。
足元の技術も高く、パブリックイメージに反してどこか成熟しきっていない今大会のスペインのビルドアップ隊の中で、最も落ち着いた雰囲気を醸し出せていたのも印象的

昨年のU-19EUROもレギュラーCBとして経験しており、前回大会準決勝でイタリアに敗れた過去を乗り越え、リベンジを果たした今大会は彼に取って大きな意味があったはず。
スペイン代表公式がUPしていた得点後のCBコンビをフォーカスしたクリップも素敵なので観てね。

☆LSB

Aleksander Andresen(ノルウェー)

所属クラブ: Stabæk Fotball

イタリアのBartesaghi、スペインのJulio Díaz、トルコのYılmaz等、良選手多発で激戦区となったLSBにはノルウェーのAleksander Andresenを。
オーバーラップとアンダーラップを使い分けながらピッチの縦幅100mを駆け抜ける走力とタフネスを有し、そして何より魅力的だったのが左足のキック精度。

キック力も相まって、遠目の位置から放つアーリークロスは絶品。
左サイドのどこからでも、味方を狙ったor相手DF・GKが届かない絶妙なスポットへボールを流し込んでくる。
チームのプレースキッカーも任され、トルコ戦ではFKから絶好球を送り込んで素晴らしいアシストを記録した。

アレクサンダー=アーノルド(リヴァプール)やグリマルド(レヴァークーゼン)等、キック精度に強みを持ったSBも最近は珍しくないが、フィジカル素養とキック精度を両立させた若手ハイブリッド型SBはどこのクラブにも需要がありそう。

今後は北欧系の身体的優位性を持った選手、とりわけ守備的な選手もより注目度を増していくのではないか。
そんな未来も垣間見える今大会のノルウェー代表は、興味深く浪漫溢れる良チームであった。

☆AC

Chema Andrés(スペイン)

所属クラブ:Real Madrid

190cmの長身、背番号16番、シャツをインするそのビジュアルから一部で話題を集めたChema。(この画像ではインしてませんが)
ブスケツやロドリといったスペインの長身ピボーテの流れを汲むマドリー戦士が、優勝国の中盤を見事に仕切って“プレーで”価値を示した

初戦のデンマーク戦ではCKから高さを活かしたヘディングでスペイン代表のオープニングゴールをゲット。
そんな高さは守備でも活き、相手のクロスを跳ね返すプレーはスペインのDF陣を助け続けた。
この手のピボーテにありがちなアジリティの弱みはあるものの、保持面における基礎技術の高さはやはりマドリーの選手。
身体の使い方やポジショニング等、そんな細かい改善点は寧ろ伸びしろ。
日に日に展開力や技術も向上させているChemaの現在地を示すマイルストーンとなった大会でもあった。

今季からカスティージャへの昇格が濃厚となっており、マドリーでもさらなる活躍を期待されるChema。
そのビジュアル以外でもまた世界から注目される日が来ることを楽しみにしている。

☆IH

Luca Di Maggio(イタリア)

所属クラブ:Inter

逸材揃いのミランユース組や大エースPafundiを、“らしい”中盤ダイヤモンド4-3-1-2システムでピッチに並べる前回大会優勝国のタレント軍団アズーリ。
そんな中で筆者の目を引いた選手が左IHを務めたDi Maggio。
右IHのCiammaglichellaと共にシステムの肝心要となる中盤の汗かき役としてピッチを駆け回り、チームにエネルギーをもたらした。

組織を成り立たせるための気が利くプレー以外に、優秀な飛び道具を持っているのもGood。
ボックス手前のエリアでボールを持った際には、“短距離カットイン→ミドルシュート”という得意の形があり、初戦ノルウェー戦で沈めたゴールは印象的。このレベルのキックレンジやミドルシュート精度なんてU-19世代でも当たり前のように標準装備していないと世界では戦えないと言わんばかりの見事な一撃であった。

今大会のイタリア代表のメンバーにはミラン組が多い中、インテルの選手はDi Maggioだけであったこともなんかキャラが立ってて良かったですね。

☆IH

Pol Fortuny(スペイン)

所属クラブ:Real Madrid

約1年間にも及ぶ前十字靭帯の大怪我による離脱を乗り越え、ラ・ロハの背番号10番を背負って輝いたPol Fortunyの活躍は見逃せない。

今大会4試合に出場したPolであるが、基本的にベンチスタート、総出場時間は約187分に留まった。
しかし、残した記録は1G3Aと凄まじく、その1Gは準決勝イタリア戦の延長前半100分で決めたスペインを決勝へ導く値千金のゴール。
今大会のスペイン代表は「Polが出てきてからが本番」と言っても過言ではなかった。

当代屈指のプレーメーカーであり、類稀な技術を活かした左足のキックは彼の武器。
実際にグループステージでは、CKから精度の高いキックで2人のCBへゴールをプレゼント。
エースのIker Bravoと通じ合っていたのも大きなアドバンテージで、デンマーク戦では2人で奪った勝ち越しゴールで勝利に貢献した。
時にはスペインの守備ブロック中央をプロテクトするタスクも与えられ、それはそれでまた1つ自身の可能性を広げる経験だったはず。

大怪我からの大復活を遂げ、クラッチプレイヤーとして躍動したPol。
MF陣に大怪我が相次ぐ暗いニュース続きのラ・ファブリカの希望の光として輝き続けてほしい。

☆RWG(RSH)

Dehmaine Assoumani(フランス)

所属クラブ: FC Nantes

フランス代表の10番Dehmaine Assoumaniは今大会No.1不思議選手だったで賞。
何故か試合ごとにコロコロ役割を変えられていた。

初陣となるトルコ戦で4-3-3のLSBで出場したと思いきや、途中出場の次節デンマーク戦ではトップ下に入る。
その後は急にシステム変更が施された3-4-3のLWB、そして決勝では4-2-3-1のRSHで攻撃を引っ張っていた。
特別守備が上手い印象も受けなかったが、スペインの切込隊長Dani Rodríguez(バルセロナ)対面でそれなりに対応できていたのでやはりセンスは飛び抜けているのであろう。
(所属クラブのナントU19では背番号通りトップ下やシャドーの一角を務めているっぽい。)

よくわからないユーティリティ性を有しつつ、適度に脱力した掴みどころのないプレーが印象的な技巧派の彼は今大会1G3Aとしっかり数字も残している。
使う/使われるどちらの役割にも対応可、プレーの手札も豊富で、セットプレーのキッカーも務める優秀な選手。
LSBで使えばポケット突撃からシュート性のクロスでアシストも決めるなど、やりたい放題である。

余談だが、大会中のこいつの画像が全然見つからなかった。
そのため画像は苦肉の策の練習着ver.である。
本当になんだったんだこいつは。

☆LWG(LSH)

Saïmon Bouabré(フランス)

所属クラブ: AS Monaco FC

準優勝となったフランス代表において、一際輝きを放っていた紛うことなき天才がこのSaïmon Bouabréである。
昨年のU-17W杯でも中心選手として活躍しており、6月に18歳になったばかりのモナコユースのアタッカー。

1番の強みはボールを持って仕掛ける際のステップワーク。
おそらくこの世代だと世界トップクラスで、彼に比肩する者はいないのではないかと思わされるレベル。
踊るように相手を躱し、抜き去り、決定的な仕事に繋げる化け物っぷりを見せていた。
今大会では2Gと1PK奪取の活躍を見せており、グループステージのスペイン戦で決めたミドルシュートは圧巻。

Bouabréのことをツイート(現:ポスト)すると毎回パブサしてリツイート(現:リポスト)してくる謎のアカウントがTwitter(現:X)上にいるので、気になる人は是非Bouabréの試合を観て感想を呟いてみてほしい。
観ていて楽しいプレースタイルを持った選手であり、確実にトップクラブへ駆け上がる側の人間なので一見どころか百見の価値あり。

☆CF

Iker Bravo(スペイン)

所属クラブ: Bayer 04 Leverkusen

スペインを優勝に導いた文句無しの今大会MVP。
全試合でスタメンとしてチームを引っ張ったラ・ロハの大エースである。

プレーのロールモデルはベンゼマ、憧れの選手はクリスティアーノ ・ロナウドという彼の最高のパーソナリティはピッチ上で具現化される。
9.5番とも称されたフランス人CFのように前線を自由に動きつつ、完璧なリンクマンとしてチームを繋ぐ。
決勝戦のような大事な場面で勝ちを手繰り寄せる得点を決めて見せたと思えば、自身のアイドルが行う世界で一番有名なゴールパフォーマンスで雄叫びを上げる。
白い巨人のファンからすれば、まさに奇跡のような存在の選手に。

記録したゴールは2ゴール。
特別多かった訳ではないが、どちらも決定的な得点であったこと、そして数字に表れない貢献度がずば抜けていたことは確か。
単騎で相手にカウンターの脅威を植え付けていた決勝フランス戦終盤のエース然とした姿も印象的。

本稿執筆中にウディネーゼへの移籍が発表された。いつか再びマドリーのユニフォームを着てくれる日が来ることを願いつつ、今大会の活躍に最大級の賛辞を送らせてほしい。

☆フォーメーション図

これはデ・ラ・フエンテのスペインにも勝てる

・今大会の雑感

準備期間が短いナショナルチームにおいて、基本となるナローな4-4-2をベースに、時には相手の圧力を受け止めるようにSHの選手も守備に精力的に回るミドル〜ローブロックを主体にするチームが多くなるのは自然な流れ。

激しいトランジションは然程多くなく、お互いが保持非保持のターンを丁寧に消化する試合が多かった印象。(そういった意味ではエネルギッシュな選手を揃えて定期的に強気なプレス構造を成していたイタリア代表は少し異端。)
如何に守備ブロック強度を保つかといった守備陣の思惑と、攻撃側はその守備ブロックをどう避けてゴールに辿り着くか/どうやって破壊するかといったベーシックな構造に。

そんな中でベストイレブンに選んだDi MaggioやBouabréが打ち込んだミドルシュートは、年々増してきているように感じられる選手のキックレンジの広域化に係る守備ブロック無効化のための1つのアンサー。
そして、大会MVPのIker Bravoが再三狙っていた「ミニマムな外方向への裏抜け→難しい体勢から対角に捩じ込むシュート」でゴールをこじ開けていた姿も興味深く、動き出しの妙とシュートスキルを活用したレススペース攻略法を見せつけていた。
セットプレーで試合を動かしたチームが多いことも印象的で、オープンプレーではこじ開けることが難しいゴールを、また違ったアプローチで狙えることはこの大会において大きなアドバンテージだったように感じる。(スペイン、フランスetc.)

ミドルシュート、難しい体勢から枠に入れるシュート、セットプレー。
年代関わらず、“ボールを蹴る”という至極プリミティブな要素の重要性が色濃く映った大会にもなった。

・おわりに

マドリーの選手が6人(5人)選ばれたスペインが楽しみで、直前に開催されたシニアカテゴリーのEURO2024以上に期待に胸を膨らませて観た今大会。
もちろん本稿で紹介した選手以外にも光り輝く選手は沢山いた。
A代表まで登り詰め、4年後のEURO本大会で今大会から羽ばたいた彼らの姿を観ることができればそれは本望である。

真夜中にU19世代の海外サッカーを観るという行為自体、あちらのサッカーファンからは奇妙に映るようで、Twitter(現:X)上で唐突に絡んできてくれた海外アカウントから“hero”と称して貰ったのも謎イベントで良い思い出。

私はヒーロー。

稚拙な文章、お読みいただき誠にありがとうございます。
また隙を見て何か書けたら。
何かございましたら下記の質問箱までどうぞ。


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