ドバイで日本調教馬が5勝を挙げる夜
現地時間3月26日にアラブ首長国連邦(UAE)のドバイにあるメイダン競馬場にて、ドバイミーティング諸競走が行われました。
2Rのダート1600mのG2ゴドルフィンマイルは、バスラットレオン(Bathrat Leon)が道中ハナを奪い、最後の直線でも粘り通して1馬身1/4差を付けて逃げ切り、昨年のG2ニュージーランドトロフィー以来の重賞2勝目。
坂井瑠星騎手は2016年のデビューから積極的に海外遠征を繰り返しており、7年目で海外重賞初制覇です。
ソリストサンダーは4着、フルフラットは14着。
3Rの芝3200mのG2ドバイゴールドカップ。
ステイフーリッシュとヴェローチェオロが好位に付ける一方、エンペラーオブザサンは1コーナーで競走中止。
道中から内寄りを通ったステイフーリッシュ(Stay Foolish)が最後の直線で最内を突いてマノーボを交わし、最後は1/2馬身差を付け、前走のサウジアラビアのG3レッドシーターフハンデキャップに続く海外重賞連勝。
前走に続いて、クリストフ・ルメール騎手の好判断が光りました。
ステイフーリッシュの前走がそもそも2018年のG2京都新聞杯以来の勝利でしたが、ステイゴールド産駒がドバイの重賞を優勝したのもまた一興です。
ヴェローチェオロは7着。
4Rは芝1200mのG1アルクオーツスプリント。
前半は内の馬群と外の馬群の二手に分かれ、馬群が凝縮されたレース後半にかけて、大外を通ったアケースオブユース(A Case of Youth)が、2着のハッピーロマンスに1馬身1/4差を付けて優勝。
外を通った馬が優勢なのも、新潟競馬場の芝直線1000mを彷彿とさせました。
ラウダシオンは9着、エントシャイデンは12着。
5Rは3歳馬限定のダート1900mのG2UAEダービー。
道中はセキフウの外から並ぶ形で追走したダミアン・レーン騎手騎乗のクラウンプライド(Crown Pride)が4コーナーで外を進出し、最後の直線でサマーイズトゥモローを交わすと突き離し、2馬身3/4差を付けて優勝。
管理する新谷功一調教師は海外重賞初制覇。
レイワホマレは6着、セキフウは8着、コンバスチョンは11着。
6Rはダート1200mのG1ドバイゴールデンシャヒーン。
最後の直線で先頭に立ったスウィッツァランド(Switzerland)が突き抜け、1馬身3/4差を付けて優勝。
川田将雅騎手騎乗のレッドルゼルは道中最後方から直線で大外を追い上げるも及ばず、2年連続の2着。
チェーンオブラブは4着。
7Rは芝1800mのG1ドバイターフ。
パンサラッサが逃げを打ち、シュネルマイスターは中団、ヴァンドギャルドは後方からの追走。
最後の直線はパンサラッサが逃げ粘りを図り、ロードノースが末脚を伸ばし、大外から追い上げたヴァンドギャルドと3頭が先頭争いを繰り広げ、ほぼ鼻面を並べた状態でゴール。
長い写真判定の結果、外のヴァンドギャルドが僅かにハナ差遅れての3着でしたが、パンサラッサ(Panthalassa)とロードノース(Lord North)がなんと同着優勝!
海外のG1で日本調教馬が「同着で」優勝したのは史上初ではないでしょうか。
日本調教馬のドバイターフ優勝は2019年のアーモンドアイ以来で、ロードノースはドバイターフ連覇です。
パンサラッサは昨年のG3福島記念でも、前走のG2中山記念でもハイペースの逃げを打って優勝しており、SNS上でも「令和のツインターボ」の異名を取っていました。
パンサラッサの鞍上の吉田豊騎手は、落馬事故による頸椎骨折で1年以上の休養がありながら、今回が2004年のG1ドバイワールドカップ以来18年ぶりの海外遠征で見事に海外G1初制覇です。
昨年のNHKマイルカップ優勝馬のシュネルマイスターは8着。
8Rは芝2410mのG1ドバイシーマクラシック。
オーソリティが逃げ、シャフリヤールが3番手に付ける展開。
最後の直線でクリスチャン・デムーロ騎手騎乗のシャフリヤール(Shahryar)がオーソリティを交わして先頭に立つと、大外から末脚を伸ばすユビアーの猛追をクビ差凌ぎ、昨年の日本ダービー以来2度目のG1制覇を果たしました。
2014年のジェンティルドンナ以来の日本調教馬によるドバイシーマクラシック優勝で、日本ダービー馬の海外G1制覇は史上初の快挙です。
シャフリヤールは、昨年のG1日本ダービーで昨年の年度代表馬のエフフォーリアに唯一土を付けていますが、来週4月3日のG1大阪杯に出走予定のエフフォーリアにとっては、尚更負けられないレースとなったでしょう。
オーソリティは3着、昨年のオークス馬のユーバーレーベンは5着、グローリーヴェイズは8着、ステラヴェローチェは9着。
最終9Rのダート2000mのG1ドバイワールドカップ。
ライフイズグッドが逃げ、チュウワウィザードは最後方からの追走。
ランフランコ・デットーリ騎手騎乗のカントリーグラマー(Country Grammar)が最後の直線で先頭に立って抜け出し、1馬身3/4差を付けて優勝。
チュウワウィザードは最後にライフイズグッドを交わしての3着。
ドバイワールドカップ当日のレースを日本調教馬が5勝したのは新記録。
日本調教馬は今年は計22頭が出走したのですから、1勝もできないで終わるのは恥ずかしいとわたしは思っていましたが、予想以上でした。
各レースを見て、改めて日本調教馬が最も得意とする芝1600~2400mのレースなら海外でも互角以上に通用していますし、世界との差が顕著だったダートのレースでも些かながら力差を詰めているのかもしれないと思いました。
今回のドバイで、日本調教馬の現状の立ち位置を改めて確認することになりました。
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