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プロテア

 プロテアを買った。
 タイトル画像にしている、大きな白い花のことだ。
 バラエティショップに売っている、巨大チュッパチャプスくらいの大きさの花である。それなりに重たい。花の下に伸びているのは茎ではなくてもはや枝だ。そのサイズのせいか、一輪でもちょっとしたブーケくらいのお値段がしてしまう。
 お店で見かけたとき、何度も躊躇した。何度もちらちら見ていたら、ふつうに活けたあと、ドライフラワーにもなりますよ、と店員さんに言われたので奮発してしまった。

 プロテアは南アフリカの国花らしい。お店のPOPにも「南アフリカ産」とあった。遠くからようこそ。

 いくらなんでも一輪で活けておくのは寂しい感じ・・・はしないかもしれないが、いきなりドンでも殺風景かなと思い、同郷のピンクッションが入ったブーケをお供に買った。
 これもプロテアの仲間らしい。とてもそうは見えないけど、細かいパーツが集まっているという観点で見れば似ているのかもしれない。

 毎日これが家の中にあると、ちょっと異空間な感じがして面白い。よいよいと愛でていると、茎に黒カビが生えていることに気がついた。
 これはいかんと茎を丁寧に洗い、取れるところまでとった。うちにある剪定鋏では茎を切ることができなかったので、少し様子を見ることにした。

 しかし、今朝になってお花の一番下の花びらの隙間にも、同様に黒カビが生えていた。
 そろそろ水からあげて、ドライフラワーにしようとしていたところである。しかし黒カビが生えている。どこまでカビが入り込んでいるわからない。

 風の谷のナウシカの大ババ様が脳裏に浮かんだ。不時着した貨物船が持ち込んだ胞子が、村の森に根を張ってしまった。そのため村の水源をを300年守って来た森を燃やす決断をするシーンである。「もう燃やすしかないよ」

 せっかくうちにきたのに・・・しかしこのまま風通しのいいところにおいてドライフラワーになるのか?燃やすわけにはいかないが、遠からず別れを告げなければならない。

 しかしまだ諦めきれない。
 花びらは引っ張れば1枚ずつ綺麗に取れるので、カビている花びらを取りのぞき、しばらく様子を見てみることにする。

 今度買うときは、よーく花の状態を観察してから買うことにしよう。

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