お詫びとしろさんの体験談
【お詫び】
今回、お願いしてお書きいただいた体験談(しろさんの体験談)を勘違いで削除しておりました。
あらためて掲載いたします。しろさん、大変申し訳ありませんでした。
【しろさんの体験談】
プロフィール 30代(1984年生まれ)
既婚(発症時未婚) 宮城県在住 会社員(発症時アルバイト) 難発 障害なし
症状の程度はピーク時は自力で呼吸も整えられず、常に全身に力が入った状態でした。(自力で力を抜く、リラックスすることができませんでした。)
第一声が詰まって出てこないので、無理矢理に声を絞り出して、まるで首を絞められながら話しているかのような聞き苦しい声で、必ず何て言ったのかを聞き返されていました。
発症の時期は25歳の頃でしたが、根本の要因は幼少期からあります。
元々、ハッキリと話すのが苦手だったのですが、周りの人に恵まれ、まったく気にせず大人になりました。
発症する1年前、営業の仕事をしており、一組のクレーマー夫婦から毎日長時間に渡り電話で罵倒され続け、携帯の着信音が怖くなりました。
携帯の呼び出しが鳴ると喉を絞められたような苦しみが出るようになりました。 (言葉はスムーズに話せていました。) そう言えば子どもの頃も恐怖を感じると喉が絞められたように苦しくなっていたっけな、くらいに思っている。 そのときはただそれだけでした。
営業の仕事を辞め、1年後、何となく私って挨拶とかがハッキリ言えていないよねって思いました。 それが吃音の始まりでした。
そうしてハッキリ言えないことを気にし始めてから2年後には、挨拶どころか話し始めでほぼ毎回、言葉が詰まるようになりました。 特に電話はひどいものでした。 会社名で詰まり、部署名で詰まり、自分の名前で詰まります。
よく○行が言いにくいor言いやすいと聞きますが、すべて言いにくく、言葉の置き換えもできませんでした。
ですが、ひとりの空間ではちゃんと言える。 落ち着いて、ゆっくり話せば大丈夫! 自主トレーニングに励み、症状を猛烈に悪化させました。
発声練習、腹式呼吸、腹筋、わざとあくびをして喉をあける、イメージトレーニング、症状が軽いときの自己分析。
その努力の結果、ひとりの空間でも言葉に詰まるようになり、姿勢でさえ自分の意思で制御できず、いつも肩とお腹と顎から喉にかけてガチガチに力んでいました。
随伴運動も何度もやめようとしたのですが、クセで動いてしまい、それを無理に制御しようとして不自然な動きをしてしまい、みんな変な目で見ていると、毎日自己嫌悪に陥っていました。
病院に行こうと思いましたが、この症状の名前がわかりませんでした。 「声 詰まる」などでネット検索をして「痙攣性発声障害」という病名を知りました。
幸いにもその病気を専門に扱っている病院が近くにあり、受診しやはり「痙攣性発声障害」と診断されました。
病気について説明を受けて、確かに私の症状に似ているけれど、何となく違うと違和感も感じていました。
医師による治療法が3種類紹介され、
①手術をして喉の内部を切除し声の通り道を作る(1回きり)
②喉に注射をし、筋肉を弛緩させ声の通り道を作る(月に2回程、一生続ける)
③飲み薬により筋肉を弛緩させ声の通り道を作る(毎日一生続ける)
私はどうしても症状がしっかりと一致していないところが引っ掛かり手術や注射は選択できませんでした。
飲み薬を服用しましたが、言葉の詰まりにはあまり効果を感じず、副作用ばかりはしっかりと感じたので、3ヶ月程で薬の服用をやめました。
その病院の隣の施設でボイストレーニングをやっていると聞き、医師からはおそらく私の症状には効果が薄いと言われたのですが、藁にすがる思いで頼み込み、ボイストレーニングに通うことにしました。
吃音あるあるかもしれませんが、病院や施設のように症状が出ても良い(むしろ出てほしい)ところでは症状が軽く、ボイストレーニングもこれ以上はどうしようもない、症状は一生付き合っていくものなので…と効果はなく、半年ほどで終わりました。
同じような症状に悩む人の集まりがあるので行ってみませんか?と施設の方に言われたのですが、当時の私は「治らないのであれば無意味」と思っており、お断りしました。 絶望しました。
私が挨拶をすると歩みを止めて聞き返されます。 私が電話に出ると聞き返されます。 私が話し始めるとみんなフリーズします。
ずっと人に打ち明けられれば楽になるのでは?と思っていましたが、打ち明ける勇気もなく、このよくわからない症状を説明することもできませんでした。
その辛さを抱えたまま最初の違和感から4年が経過し、私は結婚して子どもが生まれました。子どもが生まれたその日に、仰向けで寝ていて舌が喉に詰まりました。
呼吸ができずに苦しくて咄嗟に体を横向きにして、呼吸をすることができた時に、
そのままにしていれば死ねたのに…!
と後悔しました。
ボイストレーニングが終わった頃から、仰向けで寝ると舌がずり落ち、喉に詰まるようになりました。 (実際に本当に舌が詰まっていたのか、そんな感覚だけだったのかはわかりません。)
苦しくて咄嗟に体を横向きにして、呼吸をすることができた時に、 そのままにしていれば死ねたのに…! と後悔しました。
子どもが生まれた日に自らの死を願うほど…、当時の私にとって言葉が詰まる症状は辛いものでした。
子どもが生まれて1年後、少し自分の時間ができて、再び言葉が詰まる症状についてネット検索をし出しました。
ここで始めて「吃音」と言う言葉を知りました。
まず…何て読むの?と思い、調べていくと、まさに私の症状そのもので、「私は痙攣性発声障害ではなかったんだ!これだ!」と自分の症状にピッタリ当てはまるものを見付けられて、安心と言いますか、自分が変な特殊人間ではないことに胸を撫で下ろしました。
そして調べてわかったことは、そう治るものではない、と言うこと。 一生の付き合いになると言うこと。
それでも何とか治したい。 この症状のない自分に戻りたいと、本当に毎日のようにネット検索をしていました。
そこで中村祥さんと言う方が制作された吃音改善プログラム「MRM」を知りました。
ネット教材です。
うん、怪しい、さようなら。 スルーしました。
それから吃音改善についてたくさん調べては実践、動画もたくさん見ました。
そして…、また悪化しました。 以前ほどではありませんが、ごまかせないレベルの症状にまで悪化しました。
その模索期間を1年過ごして…もう騙されても何でも良い! 何でもやってやる!とネット教材の吃音改善プログラム「MRM」を購入して実践しました。
プログラムを買ったものの、実践したものの、ずっとどうせネット教材なんて…と疑いっぱなしでした。
3ヶ月程かけてプログラムを一通り終えて、結果は…、
ビミョーに良くなった…ような…気が…する…かな…??? …。
効果がまったく感じられなければ返金できるこのプログラム。
これじゃあ返金もできないし、こんなんで治ったなんて言えない!騙された!!!
正直な感想です。
落ち込んだのですが、実際、少しは症状が良くなっている。 3日くらい経ってから冷静になり 「今の状態ならごまかしで乗り越えられる…このくらい良くなれたんだし、もっとじっくりと、しっかりとプログラムに取り組みたい!」
3ヶ月で変わったのは吃音の症状よりも私の人間性だったのかもしれません。
再度プログラムを熟読し、凄く凄く時間を掛けて実践し、1年後プログラムを終えました。 そして症状もほぼありませんでした。 この頃(2018年33歳)には症状が気にならなくなっていましたので、ほとんど記録を残していないのですが、 「ありがとうございます」は「あぁとうございます」になるけれど他に言えない言葉はありませんでした。 今現在(2021年36歳)は「ありがとうございます」も普通に、いやむしろハッキリと言えます。
<これがあったから頑張れた >
私が吃音改善に向けて本気になれたのは子どもが生まれて、もし私が死ぬ間際に言いたい言葉が詰まって言えずにそのまま死ぬ姿を想像し、絶対に嫌だ!と思ったのが自分を突き動かしました。
それまでは病院に「治してもらう」 プログラムに「治してもらう」 と思っていたのですが、このプログラムを自分が実践し、自分が治すのだとスイッチが入ったように思えます。
<こんなことがあったら… >
他人に打ち明けること。 吃音という言葉を知らなくても、自分の症状を人に打ち明ける。 症状についてわからないものは「わからない」と言うことも説明、打ち明けられれば気楽になれただろうし、もしかしたら症状も軽くなれたのでは?と思います。 「どうしてかわからないけれど言葉の言い始めが言い出せない。」と説明して「納得」はしてもらえなくても、「理解しようという姿勢」を見せてくれる人はいました。
【吃音所沢会】
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