アトピーを治してくれた先生の話。
僕が恩人と思っている皮膚科の先生の話です。
2017年、アトピー性皮膚炎が急激に悪化したとき、僕は家の近所の町医者への通院をやめて、大阪は中之島の住友病院という大きな病院に通院することにした。朝イチの予約をとって病院に行ってから会社に出社していた。
当時は酒を飲んだら痒くなるから酒を飲めないとか、かゆくて夜寝れない、寝てる間に無意識に掻いて、パジャマが血まみれになるという、幼少期以来のひどい状況で、当時の僕は頸椎椎間板ヘルニアとのダブルパンチで精神的にもまいっていた。たかがアトピーと思うかもしれないが、本当にきつい日々だった。
僕は素人だから断定的なことは言えないけれど、アトピー治療はステロイド薬のコントロールだ。どの薬をどういうふうに塗って押さえ込むのか。その後、どのように薬の強さを落としていくのか。
その40代後半くらいの女の先生は、僕の質問をそらすことなく受け止めて、丁寧な説明をしてくれた。薬の副作用について安心材料をくれた。何故大丈夫なのか、どうなると危ないのか、どのようにして減らしていくのか、説明してくれた。詳しい内容までは覚えていないがエビデンスや別の患者さんのケースなどを交えて話してくれた。だから強いステロイドの薬でも、先生を信じて迷いなく塗ることができた。ふだんは医者の言うことを疑ってかかるようなひねくれた僕が心から信頼できるプロフェッショナルだった。
僕や新日本プロレスの外道選手なら「そこらへんの医者とはレベルが違うんだよレベルが!」とドヤるところだが、もちろんそんな下品なことはせず淡々と職務をこなすタイプの人のようだった。
言えなかったお礼。
結果的に、半年の通院で僕のアトピーはすっかりよくなった。段階的に薬を減らしていくことができた。その直後、僕は会社から東京転勤を命じられた。それを伝えると先生は「昔の同僚で、自分に近いアプローチの先生だから、困ったらこの先生を訪ねなさい」と千葉県の皮膚科の紹介状を書いてくださるとのこと。大変ありがたい。
紹介状を受け取る日、改めてこれまでのお礼を言おうと思っていた。受付で聞くと「今日は〇〇先生はお休みです」とのこと。想定外だ。肩を落として階段を降り、病院を出ようとしたところで振り返り、再び階段を上った僕は、皮膚科の受付に戻った。名前を告げ、
「〇〇先生にお世話になりました。先生のおかげで酷い状態だったアトピーがなおりました。本当にすごく感謝しているんです。東京に転勤なのでもう来れませんが、私の感謝の気持ちをどうか先生に伝えてもらえませんか。」
10代や20代の若者でない、アラフォーの男が言うには青臭い台詞だったのだろう。一瞬その受付の若い女性はポカンとした顔をしていた、その顔を今でもよく覚えている。
今でも感謝しています。
その先生はその後住友病院をやめられたようだ。
僕はいまでも恩人だと思っています。
4歳の娘もアトピー持ちだ。(妻はアトピー持ちではない。僕からの遺伝だろう。娘には本当にすまない)
でも、僕が
アトピーはある程度おさえこめる。
ステロイドは適切に使えば怖くない。
という
「経験に裏打ちされた信念」をもつことができていることの意味は大きい。
娘のアトピーの治療にもポジティブに作用しているのではないかと思う。
つまり先生は僕を通して、その先にいる僕の娘にも影響したのかもしれない。
先生、あれからアトピー、悪くなってないよ。
僕は元気です。
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