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日本が世界に誇れないこと

―中尾
今日は、ネットニュースで「日本が誇れるすごいこと10選」と、「ワースト1位の世界に誇れないこと10選」を見つけたので、このことについてお話を伺いたいと思います。
世界に誇れるところは、大体みんな想像している通りで、街がきれいだとか、お行儀が良いとか、食文化が優れているとか、治安が良いとか、失業率が低いとか、大体納得できますよね。
問題はワースト1位です。
まずは並べてみますね。

1、農薬の使用量

2、寝たきり

3、精神科病院の数

4、食品添加物

5、動物の殺処分

6、若者の自殺率

7、残飯排気量

8、水道水の元素濃度

9、遺伝子組み換え

10、家事をしない夫

となっています。何か気になることっはありますか?

 ―澁澤
まあ、みんな思い当たることばかりですよね。
世界一というのは量ではなく、単位当たりとか、人口当たりの…ってことでしょうけどね。

 ―中尾
その通りです。私が気になったのは、ペットの殺処分が世界一ということ。つらいですね。
平成17年ですけど、猫20万匹、犬10万匹で合わせて1年に30万匹が殺されたそうなんです。その前から減ってきてはいるようなのですが、減ってこの数なんですよね。今では神奈川県ではゼロになっていたりもするんですが、他国の場合、例えばイギリスは7000匹、ドイツはゼロだそうです。

 ―澁澤
ペットを家族の一員として、殺すというのは殺人に非常に近いくらいやってはいけないことという意識がありますけど、私が子供の頃は野良犬がたくさんいて、リードにつなぐなんて言うのはここ3-40年くらいの風潮で、意外と放し飼いをしていましたね。猫は野良猫の方が飼い猫よりもはるかに多かったです。
今は猫も家で飼うことが常識になってきましたね。
ペットというものを人間のパートナーと思うようなことはなかった気がしますね。愛情は皆さん持っていましたけどね。

 ―中尾
確かに。今のようなかわいがり方とは違いましたね。

 ―澁澤
今は、「ペットがいなかったら私は生きていけない」というかわいがり方ですよね。

 ―中尾
そういえば、子供を産まないでペットを飼う比率が上がってきましたよね。小学校何年生かまでの現在の子供の数より全国のペットの数の方が多くなってきたと聞きました。ずいぶん考え方が変わってきましたよね。
つい先日のニュースですけど、韓国では収入的に子供を産んで育てるのは難しいからペットを飼うという若い方も増えているそうですよ。

 ―澁澤
動物との距離感が違ってきましたね。
うちなんかは猫語翻訳ソフトを使うようになりましたよ。

 ―中尾
えー、そんなのができたんですか?(笑)

 ―澁澤
アプリを入れてね。
「にゃんトーク」っていうんですよ。

 ―中尾
絶対日本で売れてそうですね。

 ―澁澤
もうね、良くできているの。ほんと、大したもんです。

 ―中尾
猫ちゃんは、どんな事を言っているのですか?

 ―澁澤
「あなた愛しているよ」とか、「私の方をもっと見て」とか、「くつろいでいるところだから声かけないで」とかね(笑)

 ―中尾
アハハハハ(笑) 良かったですね。距離が近づきますよね。
ワントークもあるんですか?

 ―澁澤
ワントークは知りませんけど、あるんじゃないですか。

 ―中尾
でも、鳴かないと聞けないわけですよね。

 ―澁澤
うちの猫はおしゃべりですからね(笑)

 ―中尾
おしゃべりですよね(笑)
その流れでいきますと、ペットは殺されるのですが、若者の自殺率が世界一というのもつらいですね。

 ―澁澤
大学生の授業を持つと、よくわかります。高校生もそうかもしれません。
すごく不安なのです。日本社会って敗者復活戦がなかなかないので、一度烙印を押されてしまうと、難しい社会なんです。

 ―中尾
そんなことないのに。

 ―澁澤
だけど、ドロップアウトしたら大変だという意識が子供たちにあって、何より大きいのは、大人が夢を語っていないのです。夢というか、未来の社会はこうあってほしいという夢を。お金貯めて海外旅行に行きたいという夢は語るのですが、未来の、あなたたちが生きる時代はこういう時代になってほしいと思うから、私は今こうして働いているのだと語れる大人がすごく少なくなりました。

 ―中尾
そういえば、結婚したい子供たちが減っているのも、結婚して幸せな大人を見たことがないといいますね。お父さんもお母さんも含めて。「こんなに結婚が良いものだ」ということを見せてほしいと。それも残念ですよね。
家事をしない夫が世界一ということも含めて、日本の生活風景を表していますよね。

 ―澁澤
そうですね。日本って便利になったり、近代化というものに明治以降ずっとあこがれてきて、それに乗り遅れたら大変だと思って頑張るという人が多いんですよ。

 ―中尾
それが本当に幸せだと思ってやっていることではないということですね?

 ―澁澤
そうなんですよ。乗り遅れないために必死でやっているだけで、乗り遅れたら置いていかれてしまうと、皆さん思っているんです。

 だけどやっぱり、明けない夜はないんです。
必ず春は来るんですよ。
そういうところでできた作物で僕たちは生きているので、乗り遅れても生きていけるんですけどね。

 ―中尾
そうですよ! だめなら別の道があるんだと気づいた方が良いですよね。

 ―澁澤
そういうことを大人はもっと言って、実践をすべき。社会で、みんなが同じ方向を向いて同じ顔をして暗くなって… 朝の満員電車のあの風景は絶望的になりますね。

 ―中尾
若者の自殺率に続いて、「寝たきり」が世界一というのはどうですか?

 ―澁澤
死ねなくなりましたからね。

 ―中尾
そうなんですよね。「寝たきり」は嫌ですね。

 ―澁澤
昔、私がこんな世界に興味を持つようになったきっかけは、「有機農法」だとか、農薬を使わない食べ物とかを目指している方々にお会いしてからなんですね。有機農法ってとっても私にとっては衝撃的だったんですよ。
その有機農法の人たちに紹介されて、医学博士が書いた一冊の本に出会ったんです。
その当時、日本の中に、世界で最も長寿の村があったんです。長生きする村が。それは山梨県の上野原市から入ったところの棡原(ゆずりはら)というところで、そこで暮らしているのが世界一長寿の人たちで、平均年齢が高いのです。
何でその村はそんなに長寿なのかと調べてみたら、圧倒的にまず坂道が多いのです。山の中ですから。それから圧倒的に粗食なのです。雑穀とこんにゃくと味噌くらいを中心としていた食事なのです。この二つが特徴なのです。それは棡原だけじゃなくて、沖縄も日本一長寿だという時代があったのですが、その時の沖縄のお年寄りたちも過酷な労働と粗食です。
そういうことをしていくと、本当に皆さんピンピンコロリなんですよ。与えられた寿命を本当に長く生きて、そして木が倒れるようにパッとあちらの世界に移っていかれる。
それが日本人の当たり前の生き方だったのです。そういうような身体に僕たちはなっているんですよね、肉体自体が。
ところが自分たちの生活を見てみると、こんなに楽をして、腹いっぱいものを食べて、おなかにちょっと隙間ができたら食べ物を入れないと不安になるという、明らかに今までの日本人とは違う食生活、行動パターンなのです。これは本当に見直さなければいけないなと思います。

 ―中尾
自分の足で歩いて、自分の頭で考えて、ちゃんと言葉を発して、最後までいられたら良いですけどね。

 ―澁澤
自分の食べ物を自分で作って、そして、豊かなものでないにしても、それで満足をして、人のコミュニティの中で関わりをもって、そういうことが若者に希望を与える社会かもしれないのです。
今、自分はこんなに学校の成績が悪くてどうしようとか、就活やっているけど就職先が見つからなかったらどうしようとか、これができないと自分は死んじゃうって、本当に思っているんですよ、大学生は。「そこじゃないんだよ、人生は!」ということを大人が示さなくてはだめです。

 ―中尾
中尾はいっぱい示せるんですけどね。もっと人生を楽しんでほしい!

 ―澁澤
そうですね。頑張ってください。

 


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