③
進みながら、私は影に尋ねた。
「もしいつまでも、何事も起こらなければどうするのだ?」
宰相の影が答えた。
「その時はどうしようもない
だが、お前が御前として存在する存在なら、そうはならんだろう」
私はその理由を問うた。
「この世界は女王自ら光源となって映し出す映画のようなものだ
そういう意味でこの世界で女王の一部でないものは何もない
だが、先の言葉が正しければ、お前はそうではない
異なる二つがぶつかるなら、そこに何らかの反応が起こるのは必然というものだ」
宰相はこう答えた。
「確かに私は自らの事を私として存在する存在だと思う。それは私において真である。だが、それすらなお女王の光によって映し出されたものでしかない可能性があるなら、そこに意味はあるのか?」
こういう場においては使い古された問いではあるが、やはり私はこう尋ねずにはいられなかった。
「もし女王が、自らの光を「可能性」として持っているなら、この世界は無となり、お前の懸念は現実になる
だが、もし女王が、自らの光を「能力」として行使しているなら、この世界は現に存在し、女王が御前にそれらを思い込ませることはできなくなる」
宰相はこういった。
輔弼大官が付け加えた。
「光あるところには必ず影が出来る
女王でも、有の有限性までは乗り超えられぬ」
「では、女王が自らの光を「可能性」として持っているのではない保証は?」
今度は大司教が答えた。
「そのような保証はない」
私の顔色が変わったのを見て取ったらしく、彼は言葉を継いだ。
「だが、もしそうなら、この世界でなされるすべてのことに意味がなくなってしまうだろう
何をしても同じなら、女王の光が「能力」である可能性に賭け、王子らしく女王を探す方が賢明ではないか?」
私は納得して頷いた。
それからしばらく、私は無言で進んだ。
そして、何事かは起こった。
私はふと、この砂漠に身を横たえてみる気になったのだ。
肉体的な疲れは感じなかったが、歩くという動作の単調さには飽いていた。
私は目の前の地面へと倒れ伏した。
そうして私は、地の砂の一粒一粒が文字でできているのを認めた。
その瞬間、ひどい吐き気を催し、私は手で口を押えた
内大臣が、「息を吐け」と言った。
私はそれに従った。
体内の空間を全て凹ませるつもりで口から息を吐いた。
それで吐き気は収まり、私は身を起こした。
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