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2024/8 中欧旅行記 ep15:天使のコブラツイスト、半裸マン、どでかシュニッツェル、ターフェルシュピッツ(ウィーン2日目)


前回のあらすじ

菊池のサヨナラ3ランに感動

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本編

●蜂に威嚇されながら朝食

熱帯夜、無エアコン、ベッドにてうつらうつらと一晩を明かし、まあ朝方は幾分か涼しいので多少、ほんの気持ち程度は眠れた。ウィーン2日目のこの日はまず、シェーンブルン宮殿へ。ホテルの最寄り駅から、電車で1回乗り継ぎ含めて15分ほどと近い。

どうでも良いが、部屋のトイレ、便座からトイレットペーパーが遠い

朝早い時間だが、観光客はそれなりにいる。すでに日差しが強く、この日も修羅のような暑さが予感される。ひとまず朝飯を食おうと、入り口付近のカフェみたいなところに行ったのだが、王宮の庭の丘を上がっていったところにあるもう一つの店も良さげ。まだ早い時間でそこまで暑くないということもあり、そちらへ。全然関係ないけど、丘の上に向かうぞみたいな千鳥のネタがあった気がする。本当にどうでもいい。

フィニッシュホールドとしてコブラツイストをかける直前みたいな天使
あの丘の上の建造物へ向かう

結果的にこの判断が良かった。結構な上り道で、もう少し太陽がのぼっていたら、かなりタフな道になったことは容易に想像できる。日陰も駆使しつつ、何とか丘を上がり「Gloriette」へ到着。

丘上田村麻呂

庭を望むテラス席は予約でいっぱいなようで、庭と逆側で何も見えない景観もへったくれもない屋外席へ。まあ良い。朝食ビュッフェみたいなのをやっているが、アラカルトでチキンサンドと、レモネードとビールのカクテルを注文する。

これが美味かった

この区画、とにかく蜂が多い。飯を食っている最中、筆者らの周りを旋回飛行しながら皿を果敢に狙ってくるので落ち着かなかった。とはいえレモネードビールは爽快、チキンサンドは想像以上に肉厚な鶏肉が大量に入っており、非常に満足なひと時であった。スタッフの貫禄ある爺さんも陽気で「今日もめちゃくちゃ暑いからちゃんと水を飲め、ビールを飲んでいるようじゃあかんで、ワハハ」みたいなことを言ってきた。

●半裸マンと王宮

丘を下りつつ、ふもとの王宮へ戻る。シェーンブルン宮殿の周りはちょっとした山道っぽくなっていたり、あとは動物園や日本庭園、ローマ式のモニュメントなどいろいろあって散歩には飽きない。ランニングコースとしても親しまれているようで、大量の半裸マンとすれ違った。とにかくこっちのランナーは半裸である。

肝心の王宮は、風通しが良く昨日のシシィミュージアムのうだる暑さはどこへやら、という感じ。さすがはハプスブルク家の避暑地である。日本語のオーディオガイドをいちいち耳に近付けるのではなく、イヤホンをさせば良いということにも気づいたので、かなりストレスフリーな観光となった。

一応撮影禁止らしいのでカメラを使わなかったのだが普通にバシャバシャ撮影している人もいて、これはよくわからんかった。それにしても避暑地にもこんな豪奢な宮殿を作るとは、金持ちというのはすごいなあ。筆者のような民草は、避暑のためといえば、寝室にエアコンを付けるので精いっぱいである。

その後は、庭をひとしきり歩いて、この地を後に昼飯へ。この旅行記というのは、王宮などクラシカルな観光地と、飯とで描写ボリュームが明確に違う。筆者の興味がどこにあるのかまるわかりである。

●初めて食べた「ターフェルシュピッツ」に感動

昼飯は、ウィーナーシュニッツェルの超名門店「Figlmuller」へ。そのシュニッツェルのバカでかさで有名な店である。予約済みなので行列をしり目にサッと着席。爺さん店員ばっかりなのが不必要に格式と伝統を感じさせる。とはいえ、筆者のようなユニクロの肌着とステテコという舐めた輩にも丁寧な接客をしてくれる。

頼んだのは、昨晩の店で食って美味かったじゃがいものマリネサラダみたいなやつと、ターフェルシュピッツなる牛肉の煮込み、そしてもちろんシュニッツェル。こちらは昨晩の子牛ではなく、豚肉を。

ビールを置いていないのでワインで渇きを満たさざるを得ない。今思えば、なぜ大人しくソフドリを頼まなかったのか。ポテサラは昨日魅了された味通り、こちらもうまい。シュニッツェルは前評判通り、バカでかい。そして薄く軽いので無限に食い続けられる。

ここまでの満足度は当然として、出色はターフェルシュピッツであった。これは何といえばよいのか、見た目は牛赤身inポトフてな感じ。肉をメインで食らうのかスープをメインで食らうのかわからん。そしてそのいずれもびっくりするほど美味い。

肉の方は、おそらく2種類、ロースみたいな脂が適度に入ったものと、モモのようなばっちり赤身の塊がそれぞれ、ドカンと入っている。前者はくちどけがよく、後者は噛むほどに肉とスープの滋味が口の中に染み出してたまらない。

スープは、ポトフライクだが、根菜の甘み、というよりは牛肉をじっくり煮込んだダシの旨みをより強く感じる。そこにセロリやネギを煮た、芯の通った風味が横切って、薬膳のような香りもある。極めて重層的な味を奏でている。

まあ、くだくだ述べたけど要はめちゃくちゃうまい。食ったことのない味。今回の旅行で最も感動した料理といっても過言ではない。自分が『トリコ』の登場人物だったら、ホテルニューオータニのダブルコンソメスープと並んで「スープ」のフルコースに入れるか悩む、それくらいうまかった。

さて、今回はここまで。次回もザッハトルテにケバブと飯の話ばっかりを予定。



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