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2024/8 中欧旅行記 ep11:ホテルマンの怒りと店員のおすすめ

前回のあらすじ

第一部、ファントム・ブダペスト編、完!

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本編

●メンコ・ハンガリー代表の実力

ブダペストでの2日間を過ごし、3日目はスロバキア・ブラチスラバへ。2泊を過ごしたホテルを去る。その前に、朝食。

ブッフェのラインアップは基本的に据え置き。ただ、一部でちょこちょこ変更もあった。例えば、前日気に入ったチョコココナッツの球体ケーキがなかったのは残念。反対に分厚いハムなどが新たに加わっていた。

さくっと朝食を終えて、チェックアウト。宿泊費は事前決裁だが、初日の夜に部屋冷蔵庫の水を飲んだのでそれだけ支払い。しかし、フロントの人が何やら話している内容を、筆者の拙い英語力では理解できずに手間取った。

最初は余裕綽々な対応だったのに、フロントマンが徐々にいら立っていくのが手に取るように分かる。筆者の英語力だけでなく、彼が叩く電卓の調子がイマイチだったのも悪影響だったろう。最終的に、現金で支払いを終えると領収書をおよそ日本国内では見ない勢いでカウンターにたたきつけてくだすった。おそらくメンコのハンガリー代表に選ばれたら、輝かしい戦歴を残すに違いない。どんなに嫌いな相手への離婚届でも、ああは叩きつけないだろう。

●鉄道で国境をまたぐ ブラチスラバへ

ブラチスラバまでは鉄道を利用する。出発は、前日に行ったウエストエンドのあるブダペスト西駅。何が起るか分からんので早めに駅まで行き、ウエストエンドのスタバで時間をつぶす。

有料トイレも再び利用

定刻通りに動くか、さらに予約した席に誰か狂人が勝手に座っていやしないか、などいろいろ心配していたが、特に問題なく乗車、定刻通りに出発。座席は2等車のコンパートメントで、小さい子ども連れの3人家族と相席。

いまだにシステムを完全に理解できていないのだが、ヨーロッパの鉄道は基本的に乗車券があって、席が空いていれば勝手に座れるっぽい。コンパートメントは出入口に札があるかどうかで空席有無、ないし今後の区間で予約している人がいるかどうかを確認できる。なので混雑していなければ普通に座れる。筆者らが乗った便はそれなりに混んでいたので、空席を探す人が結構廊下をうろうろしていた。座席にありつければコンセントがあり、不安定だがWi-Fiもあり、快適な道中である。

景色を楽しむ気でいたものの、市街地以外は林、のっぱらなど新幹線と同じく途中でどうしても飽きる。まあそれでも眠くはないし、だらだらと車窓から外を眺めているうちに2時間超でブラチスラバへ到着した。途中、トイレを利用したかったのだがいつまでたっても空かず、ブラチスラバに着いたら出てきやがったので、もしかしたらトイレを自席として利用する猛者だったかもしれない。

●「おすすめ」という罠

国境をまたいだが、特に特別な感じはしない。パスポートの確認もないし「This is スロバキア」的な何かがあるわけでもない。ただひたすらに暑い。字面の印象的になんとなく、ハンガリーよりスロバキアの方が涼しげな感じだが、変わらず暑い。

駅前の様子

違いといえば、ブダペストよりも道中のゴミ箱が少ない、くらいだろうか。歩いて15分ほどかけて、まずはホテルに荷物を置き、昼食の店「Bratislava Flag Ship Restaurant」へ。

飲食店が立ち並ぶ道から見える入り口は控えめだが、奥へ入ると雰囲気があり、階段を上っていった先にある店内はかなり広々としている。劇場を改装した店らしい。

予約していたが、確認されることもなく適当な席に腰かける。またも、特に誰も店員が来ないというヨーロッパレストランの洗礼を浴びる。根気強く、粘り強く待っているとちゃんと来た。とりあえず駆けつけ一杯にビール。あとは焼きソーセージにガーリックスープ、それとスロバキア料理の盛り合わせを注文。妻が注文した桃だかアプリコットの飲み物に対して「それは私のおすすめでっせ」みたいな感じでにこやかに話してくれて、好印象である。

●昼からハードリカーをあおる

まずZlatý Bažantとかいうビールを注文。貫禄の500ミリリットルである。さて、続いて到着したのがスマイル店員イチオシ、桃だかアプリコットの飲料だが、到着した瞬間にテーブルへ戦慄が走る。

あまりのことにピントが合っていない

桃だかアプリコットのジュースなら、まあ通常濃い黄色をしているはず。到着したものは、無色透明である。もちろん、桃の天然水みたいなパターンもある。ちょっと前、透明な清涼飲料水というのも流行った記憶がある。

そんな一縷の望みを粉々に粉砕するのが、グラスの形状だ。バーとかで見る、ショットグラス、そいつに他ならない。なにこれ、酒? 酒ならまだしもストロングスタイルの酒では? ひとまず香りから。鼻を突くのは豊潤な、熟した果実の香りではなく、ムッとするアルコール臭である。

もう何も疑う余地はないが、念のためメニューを見る。頼んだ飲料は「100% Pure alcohol」みたいなふざけたカテゴリーに列記されているものであった。いやはや。

ま、飲むしかない。飲まいでか、ってやつだ。昼間っからビールとハードリカーをちゃんぽん。通りがかった先ほどの店員が「私のおすすめの酒、楽しんでる?」みたいなことを言ってきやがる。苦笑いで応える。

●芋とチーズとビールが胃腸を襲う

まあこれはこれとして、焼きソーセージがうまい。とにかくビールが進む。こちらはサクッと飲み終え、これから控えるスロバキア料理プレートに備え、2杯目として貫禄の1リットルをオーダー。これが悪手であった。

というのが、盛り合わせの3種類が揃いもそろってスーパーヘビー級だったからである。いずれも粉、芋をふんだんに使ったものであり腹にたまることこの上ない。さらにヤギのチーズた~っぷり。ジャーマンポテト的なやつ、餃子的なやつ、ニョッキ的なやつ。

三つ子のようにそっくり

累計ビール量はロング缶3つ分で、そこに粉・芋・チーズの三重奏が追い打ちをかける。意図的に食い過ぎないようにしてきたこの旅だが、3日目にしてようやくフードファイトの様相を呈してきた。

大事に大事に焼きソーセージと、盛り合わせの至る所に潜むベーコン、そしてガーリックスープを使いながら食べ、飲む。ガーリックスープはかなりにんにく丸出しで美味かった。さすがに腹いっぱい、アルコールのパンチも効いてグロッキー状態で店を出た。

今回はここまで。次回はブラチスラバ散策編。






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