『DoT』:DXデイリーワード
用語
DoT(Deeplearning of Things)
でぃーおーてぃー
分類
AI活用/IoT活用
要約
モノのインターネット(IoT)に深層学習を組み合わせ、高度な分析や予測を可能にする概念。
解説
「DoT(Deeplearning of Things)」とは、IoT(モノのインターネット)にディープラーニング(深層学習)の技術を組み合わせた概念です。従来のIoTは、さまざまなデバイスやセンサーから集めたデータを分析して制御や意思決定を行う仕組みですが、これに加えてディープラーニングを活用することで、より高度なパターン認識や予測分析が可能になります。
例えば、工場の生産ラインで取り付けられたセンサーから得られる温度、振動、音などのデータをディープラーニングで分析すると、異常を発見したり生産効率を向上させたりできるわけです。また、個人向けの例としては、スマートスピーカー(Amazon EchoやGoogle Nestなど)がユーザーの声や生活パターンを学習し、利用者の好みや状況に合わせたサービスを提供するといった形も「DoT」の一種といえます。
さらに、車載分野ではテスラやトヨタなどが、自動運転や運転支援システムにディープラーニングを導入しています。車内にあるカメラ、レーダー、LiDAR(ライダー)などのセンサー情報を学習し、周囲の状況を認識したり危険を事前に察知したりします。これにより、ただインターネットに接続してデータを送受信するだけでなく、人間を補助する高度な判断が可能になります。
このようにDoTは、モノが集める膨大なデータをディープラーニングを通してリアルタイムに解析し、環境変化に素早く対応したり、新たな価値を創出したりすることを目指すアプローチです。クラウドやエッジコンピューティングとの相性もよく、今後、さまざまな産業や日常生活にますます広がっていくと期待されています。
関連トピック
DoTを深掘りすると、まず「エッジAI」の活用が挙げられます。これは、データをクラウドへ送らずに、デバイス自体(エッジ)でディープラーニングを行う技術です。たとえば、工場のロボットがネットワーク接続なしでも故障を予測して動作を調整できるようになれば、生産ラインの停止時間を大幅に削減できます。
また、DoTが普及するためには、データの安全管理とプライバシーの保護が不可欠です。センサーが取得する音声や映像情報をどこでどのように保存・分析するのかがあいまいだと、ユーザーや企業からの信頼を得にくくなります。このため、セキュリティ対策やデータガバナンスを含めた包括的な仕組みづくりが重要になります。
さらに、IoT機器同士が連携して大規模なネットワークを構成するケースもあります。ここにディープラーニングを導入すれば、たとえばサプライチェーン全体の最適化や、災害時の都市全体のリスク管理など、従来の手法では実現しづらかった高度かつ複雑な判断や予測が期待されます。今後、産業界だけでなく農業や医療、交通など幅広い領域で利用が進むでしょう。
関連用語
IoT(Internet of Things): センサーや家電など、あらゆる“モノ”がインターネットにつながりデータをやり取りする仕組み。
ディープラーニング(深層学習): 人工知能の一分野である機械学習の手法の一つ。多層のニューラルネットワークを用いて複雑なパターンを認識する技術。
エッジAI: データをクラウドへ送らずに、デバイス本体や近接したサーバーでAI処理を行う技術。
自動運転: 自動車が周囲の環境を認識し、自律的に運転操作を行う技術。カメラやLiDARといったセンサー情報を活用。