『エージェント型AI』:DXデイリーワード
用語
エージェント型AI
えーじぇんとがた えーあい
分類
AI(人工知能)技術
要約
人間の代わりに自律的にタスクをこなすAI。スマホの音声アシスタントやチャットボットに活用され、業務効率化を支援。
解説
エージェント型AIとは、あたかも人間の“代理人(エージェント)”として、自律的にタスクを実行することができる人工知能技術のことです。たとえば、私たちの普段の生活で利用しているスマートフォンの音声アシスタント(Appleの「Siri」、Amazonの「Alexa」など)や、対話型AIチャットサービス(OpenAIの「ChatGPT」、Microsoftの「Bing Chat」など)は、ユーザーの意図や要望を理解し、それに応じた処理を自動で行います。これらはエージェントAIの代表的な例といえるでしょう。
エージェント型AIのポイントは「自律性」です。あらかじめ設定されたプログラム通りにしか動かないシステムではなく、状況やデータの変化に応じて、自ら学習や判断を行い、より適切なアクションを選択します。たとえば、チャットボットが顧客からの問い合わせ内容を理解し、必要な情報をまとめて回答するだけでなく、必要があれば追加で質問し、問題解決に向けた流れを適切に誘導するといった行動が挙げられます。
業界では、カスタマーサポートや営業支援、研究開発など、幅広い分野でエージェントAIが導入されています。たとえば、Salesforceが提供するカスタマーサポート向けAI「Salesforce Einstein」では、問い合わせの内容を分析し、顧客が求めている製品情報やサポート資料を瞬時に提示してくれます。また、Googleの「Duplex」は電話対応を自動化し、レストランの予約や日常的なアポイント取得を行うデモを披露して話題となりました。これらはいずれも、ユーザーが必要なアクションを取る代わりに、エージェント型AIが代行してくれる仕組みです。
技術面では、自然言語処理(NLP)や強化学習など、さまざまなAI技術が組み合わさって構築されています。特に、ディープラーニング(深層学習)を用いたモデルを活用することで、大量のデータから複雑なパターンを学習し、高度な意思決定が可能になっています。近年は大量のデータと高性能なクラウドコンピューティングリソースの普及により、エージェント型AIの実用化が一段と進み、多くの企業が導入を検討・実施しています。
関連トピック
エージェント型AIが注目される背景には、ユーザー体験の高度化や省力化が求められているという社会的要請が挙げられます。たとえば顧客対応業務では、これまで人員を大量に配置していたコールセンターの負荷を削減するために、チャットボットや音声自動応答システムが導入されつつあります。エージェント型AIを活用することで、問い合わせを瞬時に処理し、顧客の満足度向上を実現するほか、スタッフがより高度な相談やトラブルシューティングに集中できるようになります。
また、マーケティング分野では、エージェント型AIがユーザーの購買データや閲覧履歴などを解析し、一人ひとりの興味や関心に合った商品・サービスをレコメンドする仕組みが増えています。たとえば、Amazonの「レコメンデーションシステム」や、Netflixの「作品レコメンド機能」などは、ユーザーの行動データを活用し、好みに合った商品や映画を提示してくれます。これも、裏側ではエージェントAIがデータを学習・判断し、最適な提案を行うフローを担っています。今後は、業務系システムだけでなく、個人のスケジュール管理や健康管理分野など、より身近な部分においてもエージェント型AIの実用化が進むと期待されています。
関連用語
自然言語処理(NLP): 人間の言語をコンピューターで理解・解析する技術。チャットボットの文章理解に必須。
強化学習: 試行錯誤を繰り返しながら、最適な行動を学習する機械学習手法。エージェント型AIの自律性向上に活用。
ディープラーニング(深層学習): 多層のニューラルネットワークを活用し、膨大なデータから高精度の学習を行う手法。画像認識や言語モデルに利用される。
AIエージェント: 人間の介在を最小限に抑えつつ、与えられた目的を達成するために自律的に学習や意思決定を行うエージェント型AIプログラム。音声アシスタントやチャットボットなど、私たちが日常で利用する多くのサービスに組み込まれている。