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人生二周目のはじまりは、キッチンから

■きっかけ

WHOによると、高齢者とは65歳以上を言うらしい。
昨年還暦を迎えたばかりの僕は、云わば高齢者予備軍。
それなりに人生いろいろあって、今は築40年弱のURに住んでいる。
旧国鉄の社宅で生まれ育った僕にとっては、ノスタルジック感満載のこの古臭さが、楽しささえ感じさせてくれて、まあ気に入ってはいるけれど、古い建物というのはやはりいろいろ不便さも付き物で、、。
その辺をなんとかしながら、空間も生活も楽しくしたいなぁなどと、年甲斐もなく遊び心が疼きだしている最中でして、賃貸ながらもできることはそこそこあるだろうと、可能な範囲で少しずつ手を加えはじめています。
その取っ掛かりが、今まで適当に使っていた、このなんとも殺風景なキッチン。

料理など、ほぼしていないことがバレバレな簡素さ

引越してきて2年。本当はガスコンロを購入するまでの繋ぎだったはずのカセットコンロも、別にこれで特に支障がないことに気づいてしまい、結局このまんまである。
二つ同時に火を使うことがほぼなく、電子レンジとの共用ですっかり事足りてしまっているからだ。どうしてももう一つ火が欲しいときは、キャンプ用のイワタニのスパイダーを併用することもあるけれど、キャンプ用カセットは家庭用に比べてコスパが悪いので、余程でなければまず出動することはない。

六十を過ぎ、娘も嫁ぎ、気楽な独り暮らしではありながらちょっと無気力的でもあったここ数年なのだが、最近めでたく、そしてとうとうおじいちゃんになった。
一方、年老いた母のサポートに実家に寄る機会も増えた。
多分この辺が影響しているのだろうと思うが、もう少し「楽しく」暮らそうと。
母について言えば、年老いて動きも緩慢になり、耳も遠くなり、随分前から食にも興味を示さなくなってしまった。自分で料理することが困難な状況になったことが一番の理由だと思うが、食べたいと思うものがない。食べることが楽しくはないようだ。
せめて一緒にご飯を食べようと、実家に帰った時は努めて一緒に食事しているが、父によるとみんな一緒だといつもよりはよく食べるらしい。娘がつくってくれた具だくさんのスープを持っていったときなど、ここ最近見たことないくらいに美味しそうに食べていた。
なるほどなぁと、なんとなく合点がいった
ちょっと前から離乳食を食べ始めた孫は、最近二本歯が生えてきて、赤ちゃん用のスナックを小さい歯を使ってシャクシャク懸命に食べている。
食べることって大事だなぁなどと、この年になって今更ながら思う。

なので、キッチンから。

ひとりでも美味しく楽しくご飯を食べようと、、。
キッチンにいる時間を今までより少し楽しくしようと、、。
六十代独り暮らしの、「キッチンちょっとだけ快適化計画」である。


■イメージ

目指したのは角打ちのような、安っぽさと楽しさが同居した、雑多なくせに統一感のあるキッチン。ただ酒を飲みたいだけでもあるのだが。
簡素に、そして整然と整理されたミニマルな空間は、素敵だとは思うが僕にはあまりそぐわない。
適度な雑然を受け入れてくれるくらいのラフさが丁度よく、ストレスも感じない。
家電類のどうしても見えてしまうケーブルや置き重ねられた郵便物、脱ぎっぱなしのシャツや、それこそ部屋干し中の洗濯ものなど。
空間がシンプルでスタイリッシュであればあるほど、これらは空間イメージを阻害する邪魔者でしかなく、「片づけなければ」という強迫的意識が働いてしまい、とてもストレス。
別に散らかっていても平気というわけではないけれど、常に綺麗を維持するのは性分的に無理。
適度な雑然さ?
この辺の許容範囲はかなり人によって違いがあり、家族と言えども完全に共有することは至難の業であることはさすがに経験済みで、独り暮らしの今だからこそ、随分と気楽でいられる。
この気楽さを維持するためにも、きれいすぎず、片づけるほどではないくらいの状態を許容する空間であってほしい。

料理については、僕はまったく才能がない。
娘がいた頃は、夕食や弁当などを料理の真似事程度に作ってはいたが、とうとう上達はせず。一人になってからはいい加減さに磨きがかかり、YouTubeに数多あるお手軽料理動画が、ほぼバイブルとなっている。
ただ最近食事は、12時から18時の間だけと決めて、さらにご飯を食べるのは昼だけ。夕食は晩酌のみが基本、というスタイルがなぜか定着し、そのおかげで適度に腹も減り、食事の時間を楽しみにするようになったのは、最近の僕にとっては驚きに近い変化で、この辺が、楽しいキッチン空間を維持する良いモチベーションになってくれることをかなり期待しています。

あとはやっぱり、安さ。
お金をかける気も、時間をかける気も、さらさらない。
面倒くさいのも御免被る(ある程度は仕方ないけど)
引越したとき娘に、「パパの大好きなホームセンターに行く前に、まずは100均を見なさい。大概のものはあるから」と言われてはいたものの、行ってみたら本当にびっくりするくらいいろんなものを売っていた。

で、「極力家にあるものを転用しつつ、主軸は100均。ホームセンターは補助的に」をコンセプトに、だらだらと始めてみました。


■ベースキャビネット

既存写真のように我が家のキッチンは、奥に少し高くなったオープン棚のある昔ながらの壁付きキッチン。
細かく言えば、奥行520mmのキッチンカウンター+ベースキャビネットと、奥行350の標準的な吊戸棚。
ベースキャビネットについては、650mmが標準の現在のシステムキッチンでは、賃貸でも引出し収納を採用している例が多々あるけれど、我が家は昔ながらの開き戸タイプ。コスト優先もあるだろうが、そもそも520では引出しタイプは納まらない。
まずは、この開き扉が邪魔なのではずして、オープンカウンターにします。

ベースキャビネット(左端)
ベースキャビネット(中央部)
扉をはずし中
扉はずし後

丁番は、ワンタッチ式ではなく、ネジ式のスライド丁番。無くさないようネジはプレート側に残しておきます。

キャビネットの台輪

白系のキャビネットにも関わらず、台輪だけがなぜか黒という不思議。
他にも、白い木枠にブラウン色のドアだったり、ナチュラル色の床にダークブラウンの巾木だったり、この家にはところどころ不思議な組み合わせがあるけれど、何度か改装しているうちにちぐはぐになってっちゃったのだろうか?

防虫シートの敷き込み

しかたなく、虫対策も兼ねて黒い防虫シートをキャビネット内一面に敷き込み、台輪とつなげる。(黒は虫がわかりづらくて嫌なんだけど、防虫性能に期待しよう)
余談ですが、この家の北面は、樹木豊富な斜面になっていて虫が多い。
築年数のある建物は、やはりあらゆる納まりがルーズで(よく言えば通気性が高く)、引越した年は、春先の虫の侵入に難儀しました。一度だけ外出から帰宅後、大きめのムカデが室内で死んでいるのを発見したときは、もう心臓が止まりそうだった。このままでは、娘が家に寄り付かなくなってしまうと本気で焦り、夏を前に、窓だの玄関だの換気扇だのありとあらゆる隙間と外周に虫対策を施し、且つ室内では、虫がどうやら嫌っている白檀の線香をちょくちょく焚いて、どうにか安寧を手にいれたけれど油断はできない。(虫、とても嫌いです)
昨年、斜面の雑草類をメンテナンスしてくれている職人さんたちが、「いやー、すごかったなー。20匹じゃきかないくらいいたよなー」と話していた会話が窓越しに聞こえたことがある。
なにがいたんだ? いったいなんだったんだ? 気になって仕方なかった。

話を戻して、、
とりあえず、キャビネットの扉をすべて外し、防虫シートを敷き詰めてみると、

なんとなくスケルトン
どことなくフレームキッチン

ステンレスカウンターのおかげで、人造大理石よりも横ラインの存在感が強くて、まあまあ良いのはないだろうか。

モールディングなどのボックス群

扉を取り去り最早キャビネットではなく、オープンカウンターとなったそのカウンター下には、収納らしい収納は設けず、極めていい加減に、工具入れなどに使っていたボックス群や余っていた文具用引出し収納などをガシャガシャ突っ込んだだけ。
ボックスを積み上げるなど、およそ機能的とは言えないが、そもそも機能性を最優先にはしていない。独り暮らしゆえモノが少ないおかげもあって、普段使うものも最上段だけでおさまってしまったし。
なにより、せっかくオープンにしたのだから、そのスケルトン感、風通しの良さを失いたくなかった。
きちんと効率的に料理をする方には、なんの参考にもならない事例。

突っ張り棒のタオル掛け

扉を取ってしまったので、扉に取り付けていたタオル掛けもなくなってしまった。
なので、竪枠間に突っ張り棒を渡しました。扉の面材に、濡れたタオルが触れることもなくなったので、むしろ衛生的になったはずだと、むりくり思っています。

ボトルストッカー

一番端っこのスペースには、調味料用にボトルストッカーを入れました。
今回の改装で新規に購入したモノの中で、最も高価だったのが、この山崎実業のボトルストッカーで、¥2991(税込)。


■壁面

壁面(既存時)

カウンター奥の一段高くなった棚スペースとその壁面。
もっとも目立ち、有効なスペース。
ここに、ダイソーで購入した半透明のボックス群を40個ほど、段積みします。

こんな感じで
壁面に貼りながら積んでいく
ひたすら積む

本来は上向きに使う商品を、横に置き、しかも段積みしているので、正しい使用法ではありません。人様におすすめなどしませんが、自分ちだし、重いものは載っけないし、ヤモリグリップで壁に軽く固定しているしで、ちょっと試してみた次第。
これでいけるかどうか、しばらくは検証。

調理器具用コーナー

わかりづらいかもしれませんが、中央の突っ張り棒がハサミ掛け。
その左側が、包丁スペース。
右が、まな板スペース
拡大すると、、

キャンプ用のポールクリップを代用したハサミ掛け
ゴム材にネオジムを貼っただけの包丁ホルダー
同じくゴム材を貼っただけのまな板ホルダー

納めてみると、

黒系で統一

こんな感じ。


■とりあえず完成

その他にも、ブックスタンドを転用したり、フォトフレームを散りばめたりをほとんどダイソー商品で賄って、取り急ぎ完成しました。

ビフォー(引越し内見時)
アフター
逆アングル
正面

雑然としてるけど、

カップ酒ギャラリー
おつまみコーナー

晩酌用のカップ酒とつまみの缶詰を敷き並べ、

晩酌コーナー

孫と小さい頃の娘の写真を愛でながら、
小椅子を置いて、カセットコンロをどければ、コンロ台の高さも飲み食いにはちょうど良く、せせこましくも、僕にとってはとても幸せな晩酌空間になりました。
昼食こそ、ちゃんと食卓で食べていますが、夕食はもう完全に、酒と缶詰と何かしら一品だけ作って、ゆるゆるとまったりすごす至福を手に入れたのです。

酒とつまみと写真に囲まれた、キッチン兼専用角打ちコーナー

料理も、もう少しがんばってみる気になった、、、気がする。
次は、ダイニングを変更予定。


追記:動画つくってみました。

#創作大賞2024 #オールカテゴリ部門

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