民主党がトランンプ大統領一般居所演説にぶつけるスーパースター、ステイシー・エイブラムス
アメリカ大統領が連邦議会で行う一般教書演説は1月最後の火曜日に行われるのが普通だが、下院のナンシー・ペロシ議長に連邦政府の一部封鎖中はできないと言われて先延ばしになっていた。一時的にとはいえ封鎖が解除されて、演説は来週火曜日の2月5日に決まった。大統領の一般教書演説 終了直後に野党が反対演説を行う伝統があり、誰がその役を仰せつかるかというのが、その時々の政界のムードや期待を映し出す鍵になる。
今回、民主党が選んだのは去年、ジョージア州知事選挙で惜敗したステイシー・エイブラムス。保守的な南部の州で、共和党に有利な選挙制度が無ければ勝っていたのではと言われるほどの接戦を繰り広げ、全国的なブームを巻き起こした。民主党員としてもかなりリベラル、女性で黒人で45歳の若さ。色々な意味でトランプ大統領と対照的な人物だ。
昨年、知事選のさなか、トランプ大統領はジョージア州下院院内総務など地域政治での経験豊富なエイブラムスについて「(知事に)全くふさわしくない」とツイート。リベラル派からは「え、あなたが言う?」とつっこまれていた。
知事選で敗れたとはいえ、ジョージア州での人気は当選した知事よりも高く、選挙の結果、全国区の知名度を獲得した彼女は民主党のスーパースターとなった。来年の上院議員選挙に出るか、次のジョージア州知事選に再挑戦するか。来年の大統領選挙で副大統領候補に選ばれるかもしれないし、そうでなくても民主党候補が大統領となれば政権入りの話が出るのは間違いない…とさまざまな憶測が飛び交う。公職に就いていない人物が一般教書演説への対抗演説をするのは初めてだ。
エイブラムスを選んでメディアの注目をさらった民主党は一般教書演説の前哨戦を制した。自分に歯向かう者、特に女性、マイノリティに対して(おそらくは苦手意識の裏返しで)差別的な発言をしたり容姿を侮辱したりすることが多いトランプ大統領は、彼女を攻撃する誘惑に勝てないだろうし、そうしたらさらに民主党の思うツボだ。
ワシントンポスト紙は「ステイシー・エイブラムスは民主党の未来ではない。現在そのものだ」と書いた。ペロシ下院議長に「彼女はアメリカンドリームを体現している」と言われた、その期待に応えられるか。
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