土間のある暮らし
我が家の間取りは少し変わっています。
入り口のドアを開けるとすぐ土間。そしていきなりダイニング。
玄関、エントランスホール、廊下などがありません。
ある意味、玄関で暮らしているような我が家。
ここは家族の中心的スペースであり、ゲストをお迎えする応接間的なスペースでもあります。
子育ての悲喜交々も、仲間とかたらう楽しい宴もみんなこの場所で深まっていきます。
思い入れ、思い出がたっぷり詰まった場所。
8畳の事務所を含んで26.5坪しかないコンパクトな家屋に4人暮らし(+オカメインコ)なので、廊下や玄関などの通路を極力減らせば、限られた空間を有意義に使えるという多大なメリットがあります。
天井高が高いのも相まって、実際に狭苦しい感じは全くありません。
この間取りは里山の暮らしのメリットを享受し、設計事務所としての顔も併せ持つ我が家ならではのプラン。
これがとても機能的で使いやすい。
土間は来客をおおらかに受け止めてくれます。
ここでお茶やコーヒーをのみながら仕事の打ち合わせ。
我が家(我が事務所)の定番スタイルです。
少々汚れても気にならないので、金継ぎ教室やワークショップでも大活躍。
大きな開口から外の様子が常に見えるので、ご近所の誰かがうちに向かってくると「あ。〇〇さん来たな。」と遠くからでも良くわかり、そのまま「ちょっとお茶でも」と靴を脱がずに気軽にうちに入ってもらえます。
採れたて野菜の差し入れも、土間だから気兼ねなくコンテナごと置いていってくださったりします。
冬の間、多肉植物を避難させたり、薪をおいたり、収穫した小豆や大豆をさやからはずしたり、苗を育てたり、藁で縄をなったり。
家の外と中をゆるやかに繋ぐあいまいな場所。
昔の家は、フレキシブルに土間が活躍していたのも納得。
日本人は靴をぬぐことで気持ちが切り替わるDNAがあるように感じます。
ワンルーム化しているから、玄関を開けるともうすっかり家の中なのですが、靴を脱いで板間にあがるときに、「お邪魔します」という方が結構いるのがおもしろい。
土間の素材
昔ながらの三和土(たたき)は砂埃がでるし、モルタルだとクラックが出やすいので、汎用性のあるタイルが土間におすすめです。
価格はピンからキリまでありますが、気に入ったものが見つからず、うちでは石にしました。
石は素材や使い方次第では、冷たい印象になったりするので素材選びは慎重に。
我が家は庭用の砂岩石を敷きました。(コスパ良し)
その少しラフな表情が素朴な我が家にぴったりとマッチしています。
冬あたたかく、夏はひんやり
昔の土間は底冷えがするイメージですが、土間の下には断熱をいれているので、さほど寒くはなく、冬は日が低いので南側から日が差し、石の蓄熱効果で温めてくれています。
逆に夏は日が高いので軒が日差しをカット、家の中までは日が入りません。
軒が深い家は理にかなっているなあといつも感心します。
お掃除事情
土間の掃除は、濡らした新聞紙を撒いてホコリがたたないように箒で掃くというのが昔からの知恵のようですが。
試したらこれが全然だめで、ホコリがかなり舞い上がりました。涙
以来、排気方向を意識しながら掃除機(ヘッドを土間用につけかえて)をかけるようにしています。
充電式のスティッククリーナーではイマイチ。コード式、紙パックタイプが断然安心です。
大掃除のときにはさらに雑巾掛けしており、とてもこざっぱりとして気持ち良いです。
薪ストーブと土間も好相性。
灰が落ちても焦げないし、汚れてもあまり気にならず。
段差も必要とせず、一面フラットで掃除も楽。
模様替え
冬には薪ストーブを存分に楽しむために、模様替えを行います。
憧れの薪ストーブ+床座生活もテーブルをひとつ退けてギャッベを敷くだけでかないます。
このスタイルが意外と家族から大好評です。
視点が低くなり、家が広く感じます。
そして秀逸なのは円卓というアイテム。
人数が増えても融通がきくし(900φでも8人がお茶できるw)、座る場所が限定されない、みんなの顔を均等に見回すことができる、など角テーブル+椅子にくらべるとなんと自由なことか。
上がり框にクッションを並べて凭れたり、薪ストーブの前でゴロゴロ横になったり。
とにかく寛げます。(冬の間は家族みんなほとんどここにいるのでは・・・。)
お正月、薪ストーブでお餅を焼いてここで食べるのが至福の時間です。
すべての方におすすめできるプランではないですが、土間のある暮らしは、とても豊かで、自由で、楽しい。
これからも既成の枠にとらわれず、土間の良さを生かしつつフレキシブルに進化をとげたいと思っています。
2024年2月2日 文:みもと