人間関係の対立トラブルの、5割はこれに尽きる ~生産的行動領域における価値観の差 理論~
許す技術、アンガーマネジメント、男ウケ愛され女子、夫婦関係良好、スピリチュアル、MBTI診断、相性。色んな言葉で、色んな理論で、人間関係について様々な人が、様々な視点で語っています。
どれも本質的ではなくしっくりきませんでした。そんな中、また少し自分の考えがまとまった気がするので、整理しておきます。気づけば4500文字。わーぉ。
人間の行動は2種類
・消費的行動
・生産的行動
人間の行動は2種類に大別できます。
映画を見るとか。食事を食べるとか。ホテルで一泊するとかが消費的行動です。ただ与えられたものに満足するかどうかです。そこにあるのは楽しい快かどうか、コスパ、タイパの観点が主です。この領域では、個人の刺激反応強度、金銭感覚、時間感覚で、行動傾向が選択されます。
相手と違いすぎると一緒に楽しめない!一緒だと楽しくない!となりますが、その場合、相手が悪いではなく、与えられたものが悪かったという解釈で処理されたり。趣味興味が違うだけで他の面では相性がいい人だから~と処理されます。基本的には、受け身でお客様で、与えられたものへの評価というだけの単純指標の領域なので、そうトラブルケンカにはなりません。余程に相性が悪いと、ないわ!とトラブルケンカになります。でも、この辺はすぐわかって引き返せるので、大トラブルになる前にフェードアウトで処理されます。
一方、生産的行動とは、無から有を産みだす行為。選択して決断するリスクを負う行為。一緒に何かを成し遂げる行為が該当します。与えられたものを評価する消費的行動とは異なり、作る・産みだすという行為は、個々の価値観がより深く多岐に反映されます。作る=結果をだそうと意気込み、自ら規定するために、6w3hという多項目が関わってくるからです。だれが、だれと、いつまでに、なんのために、どこで、どうやって、いくらぐらいで、いくつぐらい等々、この複雑な領域での相性が、人間関係をトラブルやケンカに導きます。
言い換えるならば、友達として相性が最高!の人でも、数回のデートで相性最高!と思う人でも、それは消費的行動相性が最高なだけであり。その人と一緒に生活したり、仕事をしたりという生産的行動領域においては、なんら確かな情報は得られていなく、仕事仲間やパートナーとしては無理というケースもままあるということです。
というわけで、人間のトラブルケンカは、実は生産的行動領域におけるトラブルが主であり、夫婦仲も仕事仲間との仲もなんとか会の仲も、同質な問題です。紐解けば、生産的行動に対する価値観の差が、全ての原因というのが本質だと思います。以下、詳しく説明します。
生産的行動領域における価値観の差 理論
生産的行動領域の価値観をイメージとして理解しやすいのは、波です。波長です。心電図みたいに上に下にゆらゆらするあれです。波同士で打ち消し合ったり(180度反発する)、波が干渉しあうとケンカやトラブルになります。理論の大枠は下記の3項目です。
・起点、波の動き出しのタイミング
・起点と終点をどういう波で繋ぐか
・終点、波の到達する目標や結果、意欲、能力
起点関連
二人一緒に夏休みの宿題をするとか。二人で家事をするとかを考えてみるとわかりやすいかもしれません。せっかちだからとか。早めに終わらせてすっきりしたいとか。高い目標を掲げているから時間をたっぷり使いたいとか。逆に尻上がり。6070点の結果でいいじゃんとか。締め切りが近づかないとやる気になれない~等、その理由は様々あれど、人間には起点となる動き出しのタイミングが異なります。
動き出しの起点が早い側は、遅い側を怠け者とみなして不満を抱えてトラブルの元になります。一方で、遅い側は、今しなきゃいけないタイミングじゃないのに焦ってせっついてくる!!と早い側に不満を抱えます。
終点関連(結果関連)
波の終点である”結果”でも、トラブルはつきものです。互いに求めている完成形(点数)が違うことによるものや、その点数が本気でやったかどうか、手を抜いてやったかどうか。そもそもそれを達成する能力のあるなしで、結果はばらけます。忙しくて疲れた日の夜は惣菜晩御飯でいいじゃんと思う人は、手を抜いて60点で良し!とします。一方で、疲れている時こそ美味しい手作り飯をたらふく食べるべき!とか思う人は、60点であることを手を抜いた、100点にする能力がないと責めたり、不満を抱えます。
出てきた結果への評価や許容度。普段の行いからみた結果への誰彼の努力度。その結果に至らない相手の(そう見えてしまう)無能さ。こうして、互いに、色んな項目で腹を立てあいます。
まとめると、結果領域においては、
・なんだこれ!このあり様は!(点数=実際の出来)
・なんで真面目にやらずサボるんだ!(意欲=なんでその点を狙ったの?)
・なんでできないんだ!(能力=○○点を出す状況なのに、なんでこんな点?)
こういう不満を互いに抱えて、トラブルの元になります。求めるゴールが違う中で、生産的行動では無意識に自分の求める”結果”を規定確定してしまうので、結果からの乖離で色々といいたくなってしまう訳です。
始点と終点を結ぶ波
始点と終点でもトラブルてんこ盛りですが、その始点終点に重大に関わるプロセスにおいてもトラブルがてんこ盛りです。夏休みの宿題の例に戻りますが、人によりどこから手をつけたがるか。どんなペースでやるか、どんな風に進めるかは全く異なります。一日確実に1ページで朝9時からするを絶対したい人と、やりたいときはいっぱいやってその分休む日があってもいいじゃんな人とは絶対トラブルになります。これらが波であり、生産的行動領域の価値観の束といえます。
1、波の停止と稼働(静動)
体力量や休む頻度や生理現象頻度(フィジカル、体力の体のハードの領域)
睡眠量や食事量や休憩量やトイレ等
波の描くリズムや速度(少しフィジカルや身体の要素もある領域)
ペース配分、能力と意欲の速度感、朝型夜型。
2、波の描くライン
※汚い図で申し訳ないです。
人による体力や体質から、波の基本的な静動が決まります。あとは、それがどういう個の優先したい価値観を参照するかによって、波の波形が形作られます。大きく分けると2領域で、主観的な価値観を参照する場合と、客観的価値観を参照する場合です。さらにその中でも、単純で直感的にわかるもの(図の下方)から、複雑でその人の志向により合致した論理性の高い理論体系(図の上方)を参照するかがあるので、4領域になっていきます。
夏休みの宿題の例で言えば、
楽しくないとやらない。好き嫌いでやらないが左下。
この宿題は志望進路と関係ないからやらない云々が左上。
1日1ページで30日で30ページ!OKが右下。
ページごとの負荷量が違うし、予定外も加味して予備日も設けるが右上。
この4領域は、やる内容や状況によっても、その人の中で変化します。なので家事と仕事の場合、仕事の中でも様々な場合で、これら4領域は参照されてミックスされてその人の実際の行動にあらわれます。
というわけで、夏休みの宿題ができていた、できていなかった時(その仕事がある点数で進行または終了している場合)その背景の事情は様々であり、結果や過程だけ見ても、何も判断できないということです。しかし、それを判断する側も、自らの4領域の価値判断で、相手も自分同様に動いているという思い込みで、自分の鏡にして相手を見ようとします。
宿題ができていないのは、勉強が”嫌い”だからだ!
この子は、この分野に向いていない興味がないからだ!
宿題ができていないのは、計画性能力がないからだ!リスクヘッジ云々が…。
こうして対立トラブルになります。本当ならば互いに、各4領域を行き来して相手の思考フレームを理解したり尊重した上で、それに合う形で、互いの望む状況に改善できれば、成果やストレスやトラブルから解放されるはずです。しかし、様々な見方でモノを見るは難しく、そう簡単にはいきません。
3、判断変更(対人との協働時にとりがちな姿勢(対個や対組織))
他人との関わり方(低負荷や積極性や命令従順)
拘り
コスパやタイパ
起点や終点やそれらを結ぶ道中の波。これらのいたるところで、我々は様々なトラブルを抱える可能性が非常に高いです。しかし、協調性というものも持ち合わせています。他の人と価値観が完全に合致していればトラブルは起きませんが、そうは普通ならないので、私たちはまぁいいか~と相手に合わせることができます。
この最終調整を経て、実際の行動が微調整され出力されます。
価値観の違いに衝突した際に、とりあえず全面的に相手に合わせるような対処をする人もいれば。文句を言って相手の行動に直接無理くり介入する人もいれば。違いは違いとして静観して極力関わらなかったり。相手を自分の望む方に誘導する術を身に着けていく人もいるでしょう。自分にとって楽かどうか。得かどうか等のその人の判断で、他人との関わり方が決まります。
しかし、その人には絶対に譲れないポイントもいくつかあります。それが拘りです。神経質とか。ケチとか。潔癖症とか。不安症とか。よく言われる付き合いにくい人の特徴なんかは、ここですね。普段は良い人でも、あの趣味や習慣だけは絶対無理!みたいなこともあるので、この絶対譲れないの部分も要確認しておくべきだと思います。
そして、最終的に思うところはあるえれども、タイパやコスパといった現実的な制約で、妥協点の結論が算出されます。
おわりに
物事を理解するには、言語化して腹に落とし込む必要があります。意識せずに、相手と波が干渉しあうと、なんだこいつ!!!という気持ちが先にきて、色々トラブルの元になります。ただ腹しかたちません。
しかし、本当はこういう現象でしかないと理論をわかっていれば、あぁこの人と私は、ここが違うからなんだな……と、その互いの差をより理解しやすくなると思います。そして認識できたならば、多少の改善や許容も少しは可能になるので、トラブルが減ると思います。
今回の生産的行動領域における価値観理論は完成度8割位なまだまだなきもしますが、一応の指針になるかと思います。とはいえ、そこまで思慮深く相手と接してくれる、4領域を行き来したうえで対応してくれる人というのはそう多くないと思います。みんな自分が正しい!と思ってしまうからです。いまだ人間は、誰も他人を理解し受け入れられていないともいえます。(自分が正しいと思わないと、そもそも何事も決定したり進められないので、それはそれで必然の感覚なわけですが……)なので、現実には、自分に合う場所探しが一番効率が良いと思います。
少し話は変わりますが、就職活動における企業とのマッチングもこういう指標を基本方針に採用した方が、お互いの為になると思います。能力はあっても、価値観が違えば、評価のされ方も違う。そういう環境では、相手に合わせて自分を押し殺すことで能力を最大限に発揮することもできなくなります。
速いことが大事な人に丁寧な作業は向いていなく、逆も然りです。本質的には、能力ではなく価値感の問題です。(それでも器用にあるラインはこなせるかもしれませんが、イヤイヤというか受け身で楽しくない作業になり、いずれ破綻するのでしょう。)
作業を進めるうえで、どう進めてきたか。
作業を進めるうえで、どういう時から動き出すか
作業を進めるうえで、何が大事な価値観だと思うか
この辺をすり合わせることを筆頭におけば、もっと世界は平和に楽しくなる気がします。