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楽な道と険しい道

『若いうちの苦労は買ってでもしろ』 という言葉がある。

社会人になった頃、ようやくその言葉に賛成する側になった。とはいえ、この言葉は半分ほどしか正しくないので、周辺の話をしながら、整理しようと思う。





若いうちの苦労は~の説明

何度も書いているが、人が成長する(新しいことができるようになる)には、意欲、教材お手本、経験の二つ以上を必要とする。

若いうちの苦労とは、挫折や失敗を通じた自らの至らなさ不足の確認や、体験や経験を通じた知識の定着を指す。若い早いうちから、色々やりなさいとも言い換えられる。

さて、しかし社会人(就職活動が始まる頃)になるまでの学生期間中は、学習状況や成績を評価されることはあっても、それによって査定や区別を受けることはない。どんなに成績が悪くても、粗悪や露骨な対応はされないし、過度の叱責もない。だから、苦労してでも自分を成長させようという意思が弱くなる。

しかし、社会人になるとこれまで何をしてきたか、社会人能力の過不足をいきなり突きつけられて、学校ではそんなの教わらなかったみたいなギャップに打ちのめされて、叱責される。そうしてやっと、人生で飛び込む最終地点の社会人に必要な能力を、はやいうちから鍛えておけば良かったと後悔するのである。3割位の元々社会人的能力が高い層や3割位のすぐに慣れて調整できる器用な層は、意外とすんなりいく。しかし、慣れるのに時間がかかる層は、落ちこぼれというレッテルをうまくはがすことができないまま潰れていったり埋もれていくこともある。





険しい道

大変で面倒で、向いていない辛いことをする。険しければ険しい道の方が成長するとか、役に立つわけではない。どういう苦労か、どういう険しさが必要かを吟味して自分に本当に必要な苦労を選ぶべきである。

具体的には
・部分最適ではないこと
・生産活動であること
・道の前進に繋がること、前進すること
・社会人能力の向上に繋がること

ゲームの高難易度クエストをいくらクリアしてもゲーム内の知識しか増えない。諦めない心は多少成長したり、ディスプレイ画面に長時間向き合っても疲れにくくなるとか、そういう効果はあるかもしれない。大工の仕事をしても大工の知識しかふえないのも一緒である。あるいは、不動産投資の勉強をしても、そもそも人口増で不動産需要がのびたり、情報の非対称性や謎の付加価値で、家賃相場が高いお得なエリアを見つけたとかがないと、築地市場でプロ相手に魚の目利き対決をするようなもので、そんな勉強苦労は先のない話で無意味だ。

他の記事でもよく触れているが、生産的という指標も大事だ。要はその体験経験を通じて、なにかを産み出すことだ。自分なりにまとめたりとかなんでも良い。ただアニメを長時間視るという試練なんかは、苦労等とは呼ばない。

大工になりたい人が料理の勉強をしても、大して効果は乏しいように、自分が本当に目指している最終像に近づく道を進む険しい道なのかどうか、常に自己チェックする必要がある。また、同じことを繰り返していても道を進んでいくことにはならないので、適度に新しいことが起きる険しい道である方が望ましい。

最後は社会人能力、どんな仕事をするにしてもこれだけは最低限身につけときなという範囲が鍛えられる険しい道が良い。社会人能力は大別すれば3種類で、対人コミュ力、対作業の段取り進行管理力(ある程度職種により異なるが全体像を把握して、今は何をするのか、次はなにをして、何が必要か等を考えられるようになる練習)、デジタル力(社会人が活用するデジタル端末やプログラムの使用に慣れておくこと)である。




楽な道

楽な道についても整理しておく。楽な道を選ぶことも全部が全部間違いではない。楽とは本来二種類に分けられる。

1、自分にとってだけの楽 = 手抜き
2、新しく効率的効果的快楽的になれる楽=改善や挑戦

そもそも人間は飽きっぽいので変化をもとめる傾向がある。しかしそこで、自分にとっての楽を選ぶと怠惰や逃げになり、それが癖になるとどんどん逃げ癖がつく。戻れなくなる。自分にとってどうでもいいから家の掃除の手を抜く等はまだいいのだが、仕事や作業等で誰かとしている中で、自分基準で自分都合で手を抜くような場合は、戻れなくなる。

効率的になり楽になるや、効果的になり楽になる等で楽になることを追求していくのは、楽な道ではなく、楽を追いもとめる険しい道で、進んでも良い道だ。





終わりに

もう心にやりたいことが決まっている人は、やりたいことに早くから飛び込んでもまれればいいと思う。スポーツがしたい人はスポーツに取り組めばいいし。調理師になりたいのなら、大学ではなく専門学校に行けばいいし、そういうアルバイトなり体験を選べばいい。

自分の道が良く分かっていない人や、自分の道と社会での稼ぐ力(お金になる道)とが随分かけ離れている人。つまり、やりたいことは空き時間でやることにして、とりあえずは社会人になるという人は、社会人能力が鍛えられるような険しい道を若いときから進むとよい。

上で上げた4条件をすべて満たすようなアルバイトや経験や体験はそう転がっていないけれど、上の視点で常に見つめなおしていけば良いと思う。マニュアルがあるアルバイトよりも、マニュアルのない実際の仕事に近い作業を選んだ方が険しい道だと思う。

というわけで、若いうちの苦労はかってでもしろの整理でした。





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