七七25句 ー旧暦7月7日のー
ビニール袋まだ浅き業
舗道が濡れて客体の夜
枝豆に飽き言ひ訳の増え
葉擦れに沈め針子の夢よ
タクシー待ちに蚯蚓を悼む
クッション夜は腸詰に似て
肌を離れぬ素肌のありぬ
交番発破からの夏蝶
傘の錘として女工の夜
寝るまで遊ぶ虹のはらから
矢印を抱く金魚の雨に
知らない虫が我慢を呉れる
枯枝落ちてよるよると鳴く
ほぼとうめいに蛙の湿度
あぢさゐ滅ぶお辞儀はしない
葛根湯に破瓜の沈澱
番台からは尽きぬ雪渓
六根を搏つ性の微熱よ
昏い亀の子から指の冷え
柳を飼つて妻の姉さん
書肆の小瑠璃をご存じですか
腑分けのあとを野薔薇が揺れる
かなかなの雨透けて脱臼
道の真中で秋をひらくな
友ゆふやけて脾臓の痛み
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ずいぶん遅くなってしまったが、2022年の旧暦7月7日にTwitterに上げた七七句をまとめた。
結局今年の七七句は、77に達せずに終わった。
考えすぎないことと、きちんと考えることと。
その間で、この夏はぼんやりしている。
いろいろあってランチ難民になりかけていたのを救ってくれたカフェにて。