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自己紹介⑤花房和牛編
さて。この辺からが本番と言いますか、「経験が人を作る」と言いますかなんと言いますか。
その日からアレコレ長崎の良い食材を探す事になるのですが、友人の精肉店のT氏がある日「よか牛のおるみたいばい?」とネットを差し出してきました。
正直、ネットに書いていることだけでは分からないんですよね。
その時は私はフード左翼というべき存在になりつつありまして、
(現在は中庸ですw)
「無農薬とかオーガニックとか在来種とか完全放牧とか赤牛とか短角牛とかグラスフェッドとか良いな..」とか思ってたんですよね。
ついでに色々見て回りたい旨を伝え、T氏に案内してもらい解体工場や牧場や畜産試験場に訪問して色々お話を伺ったり、なかなか見る事ができない現場を見させて頂きました。
これも自分の脳裏に未だに焼き付いて離れない光景ばかりです。
その中でも花房牧場は他の所とは全く違う取り組みをされていたんです。
長崎では本当に珍しい「循環型農業」を実践されていました。
周りの米農家さんと連携して稲藁を集め敷き材にしたり、九州さんの豆腐粕や大豆粕を自家製配合飼料にして与え、水道水ではなく名水100選の島原の湧水をポンプアップして与え、飼育環境は牛舎は普通の2倍以上のスペースで風通しも良く、掃除を徹底している為、抗生物質ゼロを実現していました。
言葉は簡単ですが、抗生物質ゼロはかなりハードルが高い事です。普通無理なんですけど掃除の徹底でされるのはお人柄だと思います。
さらに母牛はお産が終わるとリフレッシュ期間の為に放牧します。
味噌を置いて「じゃっ!」という感じですw
南島原は傾斜が多く、たまにいなくなるとかならないとか…
前回の記事を読んだ方はもうお気付きですね?
食べ物・飲水・運動量・ストレスレベルをクリアしています。
血統・系統も母牛は良いんです。
しかもポイントは「経産牛」という所です。
経産牛とは?
文字通り「お産をした牛」の事です。
普通はお産をして、産むだけ産んだら後はミンチになったりペットフードになったりします。
廃牛扱いなので値段が付かないんですよね。
なので普通「経産牛」というのは業界では嫌がられます。
「臭い」「固い」「脂が黄色い」と言われ、評価の対象にもなりません。
(逆に「未経産牛」だけがA5ランクになれ、有り難がられます。)
でも、それって本当に良いんですかね?
なんかモヤモヤしません?
生産者の綾部さんは「産ませるだけ産ませて、そいはなかよなぁ。」
と思い、新しく付加価値をつけようとした長崎では初の経産牛パイオニアです。
最先端過ぎて周りが付いていけないんです。
10年経った今、経産牛が注目を集めてきたのでヤットコサです。
経産牛のスペック
旧来の一般論では
臭い
固い
脂が黄色い
なのですが、実際私が焼いたり煮たりした花房和牛は全然違いました。
初めてオーブンに入れた時の、あのコーン臭い和牛臭が無く、とても香ばしい
「これが本物の牛の香りか!」と瞳孔が開くような、世界観が変わる感覚を今でもハッキリ覚えています。
脂身は白く、香ばしく、焼き方を間違わなければ柔らかく、何度でもリピートする味わい。
最終的には長崎という日本の西の果てに、北海道から飛行機で食べに来る人もいました。
「圧倒的」とはこの事です。
そもそも論として「肉の旨味」に対して日本は評価がおかしいのです。
今回は長くなりましたので日本の和牛の評価については次に説明します。