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62年前の「暮しの手帖」のカレー考
夏が近くなると雑誌やテレビ、カフェ…いろんなものがこぞってカレー特集をする。最近はスパイスブームが来ているので「カレーが好き」というときに少し都会的なニュアンスが加わっているような気もする。
そんな時代の変遷を横目に悠々と、堂々と、わが道を行く雑誌「暮らしの手帖」。最近のはあまり読んだことが無いけれど、喫茶店とかに何十年も前のバックナンバーが置いてあったりして、たまに読む。
私の家の近所の喫茶店「喫茶ニカイ」にも暮らしの手帖のバックナンバーが数冊置いてある。60年以上も前のものや、私が生まれた年のものなんかも。
喫茶ニカイ名物のクリームソーダ(夏の昼の夢)
「暮らしの手帖」は丁寧な暮らしを提案する柔和なライフスタイル雑誌だと勘違いして開いたら大けがをするような鋭利さで、いろんな物事を分析したり斬ったりしていて面白い。
1958年Autumn号にはカレー狂には見過ごせない見出し、「カレー粉」を発見。
冒頭のカレーライスとライスカレーの違いについて述べた文章がいい。
大衆的な感じと、昔なつかしい気分を持たせたいならライスカレーと言い、ちょっと気取った感じと現代的な気分を持たせたかったらカレーライスといったらいいわけです。どちらでもいいわけですから、ここでも都合によってライスとカレーを上にしたり下にしたり勝手に使うつもりです。
なんと挑戦的…な文体!
その後も、カレーがどのようなルートで日本に流入したのか、カレー粉に入っているスパイスについての分析なんかが綴られている。
今でこそカレーブームのようなものが起きているから、カレー論者人口は増えているけれど、62年前の発刊当時は相当マニアックな内容に映ったのでは、と少し心配にもなる。
終盤には当時日本で発売されていた「即席カレー」なるものについて、まあ痛烈なコメントが載っている。細かく覚えてないけれど、カレーは米にかけて食べる料理であり、米に染み渡ればいいのだから、わざわざ小麦粉でどろっとさせる必要はないのである。云々…
この記事を書いた人は数年前から流行り始めたしゃばしゃば系カレーをみて「ようやく時代が追い付いてきたナ…」としたり顔のはず。
ちなみに、私の生まれ年である1994年12月号には「活字離れが言われて久しい」というような文章が載っていた。ずうーっと昔から言われている活字離れ。たしかに「活字」が厳密に印刷された文字だけを意味するなら、今はかなり離れているのかもしれないけど、印刷されていないスクリーン上の文字(死字!?)にはぐぐっと近づいてるかも。もう毎日かじりつくようにしてスマホを見てしまっていますので。
ペールグリーンのキッチンでアップルパイを焼くママンになりたい