ポメラDM30のキーボードの左側の浮きを解消する話
KingJimのポメラDM30というメモ書きガジェットを使用しています。
使用頻度はあまり高くなく気分を変えたいときに使ってみる程度なのですが、よくできた製品なので気に入っています。
以下の不具合の対策は、似たような事例を検索しても出てこなかったので書くことにしました。
DM30に不具合発生!
さてDM30は観音開きのように開閉できるキーボードが装備されているのですが、わたしのDM30のキーボードの左3分の1部分を開いたときに、その裏側のゴム足が机に接地しないという不具合が、買ってから2年程度で現れました。
不具合の原因
はじめは筐体が経年劣化で変形してこうなったのかな?と思っていたのですが、あるときよく見たところ、意外な原因を見つけてしまいました。
その原因とは左側のキーボードからの電気配線が折りたたみ部分を通っているのですが、なんとその配線に無理な折り曲げ癖がついて、キーボードを開いたときに開閉機構にはさまれて不完全にしか開かないために、キーボード左側が浮いてしまっていました。
この電気配線はフラットケーブルですが、薄いプラスチックフィルムに配線が印刷されているものです。
無理に折り曲げたりすると断線して本格的に故障します。
同じ症状が出ているDM30についてのWebページを見たことがあるので、かなりの台数のDM30にも発生しているのではないでしょうか。
なぜこのフラットケーブルが折れ曲がって開閉部分にはさまれるのでしょうか。
おそらくですが開閉の軸部分のクリアランス内でフラットケーブルがしなやかに曲がるべきところを、ケーブルが何らかの原因で長すぎるためにひっかかって癖がつき、何度も繰り返すうちにはさみ込まれてしまったのだと思います。
ケーブルが長すぎる原因ですが、開閉しながら観察していると、少しでも短いと折り畳んだときにケーブルを強く引っ張りすぎて無理がかかり、長すぎると折れてしまうという絶妙な長さに設計されているようです。
以前見たWebページのDM30も、わたしと同じく左側に不具合が出ていました。
これは設計か製造に原因があり左側に不具合が出やすいのだろうと推測しています。
わたしの対症療法
わたしはしばらく対症療法として次のようにしていました。
キーボードを開く前に、開閉軸部分を覆っているコの字型のカバーを取り外し、フラットケーブルが折れないように指で支えて、キーボードを開きます。
開いたらカバーを再び装着します。
キーボードを閉じるときは普通に閉じます。
カバーは爪で軽く止まっているだけなので、付け外ししてもDM30が壊れることはありません。
荒療治で不具合解消!
しばらくこの方法で運用していたのですが、カバーのつけ外しの手間が煩わしくなってきて、なんとかならないかと考えるようになってきました。
そしてとうとうDM30を分解して、フラットケーブルの折り曲げ癖を強制的に治してしまいました。
以後、DM30を開くときの煩わしさがスッキリ解消されて、気持ちよく使用できるようになりました。
以下にその方法を説明します。参考にされる場合はあくまで自己責任でお願いします。
不具合解消法
問題のフラットケーブルは一度折り曲げ癖がつくと直りませんが、それを薄いプラバンを貼り付けて補強してしまいます。
用意するもの
細いプラスドライバー
ラジオペンチ
タミヤの透明プラバン0.4mm厚
アロンアルファ
次のものは必要に応じて使います。
なくても何とかなるとは思います。
スマホなどの分解用のヘラ
ピンセット
ヘアドライヤー
ロックタイト(ネジの緩み止め)
マスキングテープ
カプトンテープ
両面テープ
分解
DM30から単3電池とコイン型電池CR2032、そしてSDカードを取り出しておきます。
キーボードの開閉機構のコの字型カバーを2つとも外します。
カバーの下の問題のフラットケーブルを確認します。
DM30を裏返してボトムカバーを止めている8本のネジを外します。
見えているネジ5つ(うち一つは電池室)と、ゴム足の裏に隠れているネジ3つがあります。
ゴム足は両面テープで止まっているのでヘアドライヤーなどであぶって緩くして外すといいでしょう。
ボトムカバーは爪で止まっているので、注意深く外します。
電池室から始めるとやりやすいと思います。
電池室のふたのロック、リセットスイッチ用のゴム電極、小さな黒い円盤がばらけてきますので、なくさないように注意します。
小さい黒い円盤はリセットスイッチのゴム電極を押すためのもののようです。
ボトムカバーが外れたら、液晶画面を水平まで開き、キーボードも完全に開き、メイン基板が見えるようにDM30を裏返して机の上に置きます。
問題のフラットケーブルをメイン基板のコネクタから外します。
両脇にロックが挟まっているのでピンセットなどで緩めます。
フラットケーブルを矯正する
問題のフラットケーブルですが傷つけたり無理な力を掛けないように注意してください。
フラットケーブルの折り曲げ癖をラジオペンチなどである程度治します。
次にフラットケーブルを外側に向けて伸ばして、キーボード裏にマスキングテープなどで貼り付けます。
次にアロンアルファを使いますが、飛び散ると大惨事になりますのでマスキングテープで養生した方がいいと思います。
ブラバンを10mm×15mm程度に切り出します。
切り出す大きさは問題のフラットケーブルの症状にあわせた方がいいと思います。
わたしの場合は乙の字に折れ曲がり癖がついていたのでプラパン1枚で2箇所をカバーできる大きさとしました。
プラバンで補強するとフラットケーブルのその部分は全く曲がらなくなりますので、あまり大きくしすぎるとキーボードの開閉ができなくなるので注意が必要です。
場合によっては、しなやかに曲がるように、もっと薄いプラパンが必要になるとかもしれません。
やり直しがきかないのでよく見て考えてください。
プラバンを折れ曲がり癖部分をカバーするようにアロンアルファで接着します。
アロンアルファは極少量だけ使用します。
またプラパンの一端をカプトンテープで仮止めしてパタンと押しつけられるようにするといいでしょう。
アロンアルファは大量に使ったり、また未硬化分が残ったまま次の組立をしてしまうと、揮発してDM30内が真っ白に汚れるので、押し付けながら十分硬化時間をおきます。
固定できたら、フラットケーブルを元通りにコネクタに接続します。
オプション
次の2つの作業はオプションです。
やらなくしても改善するとは思いますが、様子を見て決めます。
メイン基板を止めているネジを全部緩めます。不具合の原因はフラットケーブルが長すぎることですので、基板の位置を、極わずかしか調整できませんが、できるだけ問題のフラットケーブルを引っ張るように反対側に寄せます。
上の写真で言えば向かって右に寄せます。
そしてメイン基板のネジを締めます。
次にキーボードを閉じた状態にします。
この状態でフラットケーブルのたるみを取るように、できるだけメイン基板側に引っ張りながらカプトンテープでフラットケーブルをメイン基板に止めます。
止めたらキーボードを開閉して、フラットケーブルの折れ曲がったところがまっすぐのままかどうかを確認します。
組み立て
最後に元通り組み立てます。
ボトムカバーを止めるネジは短すぎると思いますので、念のためロックタイトで緩み止めします。
ゴム足はもとの両面テープがまだ生きているようでしたら再利用します。
ヘアドライヤーであぶると強くくっつくと思います。
両面テープがダメでしたら、あたらしく両面テープをゴム足にあわせて切り出してくっつけます。
キーボードを開閉して、フラットケーブルが折れ曲がらなければ完了です。
おつかれさまでした。
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