ライオンは寝ている
この、なんといったらいいか、世界を否定するようなふてぶてしい態度には絶句する。もう三回目なのである。この二年ぐらいのうちに三回も会いに来てやったのに、こいつときたら、いつだって寝ている。どころか、急所をさらけ出すようにして、これ見よがしに眠り込んでいる。呼んでも応えず、手を叩いても目を開けない。カメラを向けて、手を振って、ときにはストロボまで瞬かせてシャッターを切っているというのに、このライオンは飽きもせずに惰眠を貪っている。動物園での動物としての職責を明らかに放棄している。