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歌手になるには②

前回、歌手には大きく分けて「ボーカリスト」と「シンガーソングライター」の2つがあるというお話をしたので、今回はそのうちの「ボーカリスト」になるにはどうしたら良いのか、出来るだけ細かくお話していこうと思います。

私の言う「ボーカリスト」と「シンガーソングライター」の分け方については、前回の記事を見て頂きたい。
便宜上このような分け方をしています。

では、ボーカリストの仕事をいくつかに分けてお話していきます。

① CDデビューや配信をして、ライブをしたり音楽番組に出るボーカリスト(ソロ、ユニット、アイドル等)

「歌手になるには」という目的で、このページを見ている人の多くはここを目指している人なのではないだろうか。
シンガーソングライターとの違いは、前回の記事に書いたので割愛するが、アイドル以外であれば歌唱力は必須。歌が上手くて当たり前です。友達の中で一番うまいというレベルでは・・・。

ピッチ、リズムだけでなく、ダイナミクスなど様々な技術を自分の思うように操れることにプラスして、表現力やステージングなどもハイレベルで、あとは作詞くらいは自分で出来ること。
この条件を満たしていたって、デビュー出来ない人もたくさんいる。逆にビジュアルの良さや、タレント性などで歌手として活動できる人もいる。

では、どうやったら、この路線のプロになれるのか。

レコード会社のオーディションに合格するか、プロダクションに所属するか。もしくはインディーズレーベルでデビューするかだ。ネットで探せばオーディション情報はゴロゴロしている。

個人でもiTunes等での配信ができるので、誰かに楽曲提供してもらい、自分でレコーディングして音源を用意すれば配信という方法もある。でもこの場合は、プロモーション活動も自分、自費で行うことになる。

配信デビューというのは、結構やる人も多いが、それなりのファンがいない限り、なかなか仕事として成立させていくのは大変かとは思う。

オーディションに出す音源についてとか、メジャーデビューとしてレコード会社が目安にしている基準とかいろいろ裏話はあるが、それは今度気分が乗ったら有料で書こうと思う。作詞の方法とかも必要があれば。

いずれにしても、ここを目指している人がすぐにできることは、デモ音源を用意しオーディションに申し込むこと、技術をアップすること、ライブに出て一人でも多くの人に知ってもらう、ファンを増やすということだろう。

中でもファンを増やすというのは、かなり重要だ。
今どき、レコード会社が宣伝費をばんばん使って売り出すなんていうことはまずない。インディーズからメジャーにいくのだって、ファンが大勢いるというのは必須。

役者に比べて、歌手は製作費というものにお金がかかるから、売れると分かっているものしか今はレコード会社も手を出さないのが通常だ。リスクと在庫を背負っていたらビジネスとして成立しない。
ビジネスとして成功させるには、買い手つまりファンがどれだけいるかということ。

つまり、いくら技術があってもファンがいなければ、この路線でのデビューは難しい。
逆に技術はなくてもファンがいればデビューは近づくということだ。

これを知って、あなたがすぐに動きだすようであれば、見込みはあるだろう。


② スタジオミュージシャン(レコーディング系。バックコーラス等)

スタジオミュージシャンの場合、その場で譜面渡されて、短時間でパッパとレコーディングというのもあるので、初見で譜面が読めるという力はあった方が良い。なくても通用するかは現場によるかも。
絶対音感はなくても大丈夫。
もちろんボーカリストとしての技術(特にピッチ)は必要だが、コーラス系の場合声質が合う合わないなどもあるので、やはり現場による。

こういう仕事がしたい場合は、知り合いにこういう仕事している人が居るっていうのが強い。横の繋がりの方が最初から信用できるし。
あとは、募集をしているプロダクションがあるので、それに応募するか。
『インペグ』で検索すると出てくるかと思う。楽器演奏者の募集はあるが、ボーカルは少ないかも。


③ アーティストのライブバックコーラス(スタジオの人がやる場合もある)

これはほぼ②と同じ。でもライブのバックの場合、リハに結構時間を取られる。もちろんリハもギャラが出るのが通常だが、リハの交通費はギャラに含む場合が通常。地方でのライブでの、「顎・足・枕(あごあしまくら)」はギャラとは別で保証される。顎は自腹の時もあるけど。
ちなみに「顎・足・枕(あごあしまくら)」とは、食事・交通費・宿泊のこと。

リハがあるので、譜面は前もって渡されることが多いので、初見で読めなくてもいける(現場による)が、事前に譜面もらっていたら、リハの時には完成形で歌えることは必須。

あとレコーディングと大きく違うのはライブでお客様に見せるものなのでそれなりのステージング。


④ クラブやラウンジ等の夜店で歌う(主にカバー曲を歌う。営業系とも言う。イベント等で歌ったりもします。)

このお仕事の場合、基本的に自分で歌う曲の譜面を自分で持っているのが通常。店によっては、ピアニストさんのレパートリーからとかの場合もあるが、自分のキーはすぐ言えるようにしないと合わないキーで歌う羽目になる。ピアニストによるけど、キーを変えるなら別の曲にしようと言い出す人もいる。FがF#に変わるとかだと特にね。

一人で弾き語りの場合やバンドやユニット等で歌う場合もある。店や主旨により求められるレパートリーは違う。
ジャズの店、シャンソンの店などいろいろある。

やはりお客様の目の前で歌うので、ステージングとか衣装は必須。この場合衣装は自前の場合が多い。
歌のスキルはもちろん必要。レパートリーの数は1日のステージ回数分は必須でリクエストにも応えられるくらい最低でも30曲だが、30曲だとすぐ飽きられる。ずっとやってる人は200曲とかもっと多い。ちゃんとレパートリー分の譜面は必須。

この仕事をしたい場合、ネットのシンガー募集とかで、お店とか出てくると思う。お店ではなくて事務所もあるはあるのでネットで検索してみると良いと思う。

あとは、やはり横の繋がり。ちなみに、フリーの場合、風邪で当日休みとかしたら次はないと思った方が良い。トラを自分で探すこともある。

ジャンルによって結構いろいろなパターンがあるので、細かく書いてたらきりがないのでこのくらいにしておく。


⑤ 仮歌(作家がプレゼンに出す曲を歌う)

仮歌の仕事はちょっと注意が必要。募集があってもブラックも多いので。私の生徒でそれで騙されて泣きをみた人が何人かいる。
芸能プロダクションで「仮歌」シンガー募集的なのは、そのプロダクションのホームページをよく見た方が良い。

この手の仕事は、作家か作家事務所から入るのが普通だ。芸能プロダクションからの募集は、それで引き寄せて面接に行ったら「スキルが足りないからちょっとレッスンに通って」とか言われ、膨大なレッスン料を徴収されたりするものもあるらしい。でも結局仮歌の仕事はもらえなかったと。(生徒談)
全部が全部ではないとは思うが、ホームページに作曲家がいるかをちゃんと確認した方が良い。

あとは、作曲家個人がネットで仮歌を歌ってくれる人を探しているのもよくある。この場合、プロではなくプロ志望の作曲家さんだとノーギャラの場合もある。仮歌自体、そんなに単価高くはないけど。

いずれにしても作家さんと直で繋がっている方が仕事を得やすい。作家事務所でたまーにシンガー募集もあるけど、作家事務所に所属している作家自体が仮歌のボーカリストを自分で探したりしていることの方が多い。

宅録の機材は持っている方が良い。ない場合、作家事務所や作家宅でレコーディング出来るのならそれで良いが、そうじゃない場合、レコーディングスタジオ借りるしかないだろうけど、そのお金は自腹がほとんどだ。仮歌でレコーディングスタジオ代出してくれるって、聞いたことない。


⑥ ボカロ系

これはもうボカロPと繋がることだろう。それ以上もそれ以下もない。宅録機材は必要。ボカロについてはボカロPにより条件とか様々なので、直接かけあうしかない。


⑦ ミュージカル

ミュージカルについては、オーディションを受けて出演をするというのが一般的。アンサンブルでも演技やダンス必要なので、それなりにミュージカルのスキルは必要。
あとは、役者になるには③を見て下さい。とりあえず書類審査用の音源と宣材写真はすぐに用意すべき。


⑧ その他

・クラシックの場合、オーディションを受けましょう。音大に行っている方が何かと良い。

・オペラは日本でプロとしてってかなり厳しいかと。イタリアに行くとか。あとは日本でオペラ自体はやっているところがあるので、そこのオーディションを受ける。

・聖歌隊やブライダルは、そういう事務所がありますので、ネットで調べてみて下さい。

・DJがいる方のクラブで歌いたいという場合、これはもうDJや店やイベンター繋がりで出れたりするので、一概には言えないが、クラブに出入りしてDJや店員と仲良くなる、もしくは既に歌ってる人と繋がるとかですかね。ネット、SNSで情報は得られます。


ボーカリストにもいろいろだと、この記事を書いて改めて思った。
まだまだ書き足りないくらいだが、今日はこの辺で。
次回は「シンガーソングライター、バンドでデビューするには」的な内容を書く予定です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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