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【小規模事業所の経営者向け】採用できる“土俵づくり”30日プラン|Day 19 予算設定をスタッフと作る:納得感が離職率を下げる理由
予算設定をスタッフと作る:納得感が離職率を下げる理由
はじめに
前回(Day 18)は、オープンブック導入の失敗事例を通じて、無計画に全数字を公開すると混乱や不満が起こる話をしました。大切なのは「どこをどこまで出すか」「どのタイミングで説明するか」でしたね。
Day 19では、さらに一歩進めて**「予算設定をスタッフと一緒に作る」**ことに注目します。経営者だけが数字を握り、勝手に“来年度の予算はこれで”と決めてしまうより、スタッフを巻き込みながら予算案を検討するほうが、納得度が高まり、結果として離職率も下がる――という実例を深掘りします。
1.スタッフと予算設定を共有するメリット
“自分ごと”化しやすい
経営者が「今年は売上○○万円、利益△△万円を目標」と決めるより、スタッフ自身の意見を反映させると「自分たちもこの数字に責任がある」と感じやすい。
離職率低下
“経営者だけが考えている会社”より、“私たちの会社”と感じるほうが働きがいが大きい。
数字に携わることで、会社の成長や自分の給与改善に繋がる道が見え、退職のリスクが減る。
採用にもプラス
面接時に「うちはスタッフと予算を組んで、実績に応じて還元してるんです」と伝えれば、“大事にされてる感”を演出できる。
ポイント
予算はただの経営ツールに留まらず、“スタッフが主体性を持てる仕掛け”にもなる。
2.どうやって一緒に作るの? 実践ステップ
事前に大枠を経営者が用意
昨年の売上や経費を元に、「これくらいの増収を目指そう」「利益は○%確保したい」とざっくりした案を作る。
スタッフミーティングで議論
「ここをもう少し営業強化すれば+αの売上が見込めるんじゃ?」「この経費はもっと減らせるかも」など意見をもらう。
全員で意見を出し合い、修正していく。
最終決定
経営者としての責任範囲をふまえて、最終的な調整は行う。
出来上がった予算案をプリントやクラウドで共有し、「この目標達成で人件費アップ&新人採用も実現」と具体的メリットを示す。
3.“納得感”が離職率を下げるメカニズム
(1) 不満や疑問が事前に解消
「なぜこの数字?」が明白になり、“経営者の独断”という印象が薄れる。
小規模だからこそ一人の離職が大きいダメージなので、ここでの理解が大事。
(2) 達成した時の喜びを皆で共有
予算を超えて利益が出たら「次月の給与に反映しよう」「新人PCを新調しよう」などができ、スタッフも自分のことのように喜ぶ。
(3) 「私は必要とされてる」と感じられる
小規模事業所ほど、スタッフ一人が担う役割が大きい。
予算策定会議で意見を出して採用されれば、「自分が会社を支えている」という実感が生まれる→モチベアップ。
4.実例:予算策定会議で雰囲気が変わった事務所
ある会計事務所が、毎年2月に次年度予算を組む際、スタッフ全員に声をかけた。
事前に所長がラフな数字案を作り、スタッフは「この部門は伸ばせそう」「ここは減らせそう」など活発に議論。
できあがった最終案にみんなが納得→「この数字を達成すれば給与アップやセミナー参加費が出せる!」とワクワク感。
実際、その年は離職ゼロで、**新たな応募も“自分たちで決めた予算を使って採用する”**という前向きムードに。
学び
スタッフが主体的に動く“空気”が醸成→「辞める理由が見当たらない」「もっと会社を良くしたい」になったと担当者が語る。
まとめ
予算設定をスタッフと一緒に行うことで、「社長の頭の中」がオープンになり、納得度が高まる。
納得感が生まれると離職率が下がり、採用にもプラス。面接時に“うちはみんなで数字を作る会社”とアピールすれば魅力増。
**明日(Day 20)では、「目標管理で“楽しい競争”を生み出す:採用にも好影響の実例」**をテーマに、実際の目標設定・運用がどう採用に繋がるかを探ります。
次回予告 (Day 20)
「目標管理で“楽しい競争”を生み出す:採用にも好影響の実例」
(この記事は、喜多が“小規模事業所の経営者”に向けて送る「採用できる土俵づくり」連載のDay 19です。Day 20では、“目標管理”がどうスタッフのモチベと採用力を高めるのか、実際の事例を交えながら解説します。お楽しみに!)