【小規模事業所の採用ノウハウ】面接で話が盛り上がって満足していませんか?|30日間投稿 Day2
「面接で話が盛り上がって満足していませんか?」
“話が合う”だけで大丈夫だと思っていませんか?
小さな組織ほど、採用失敗が大きな痛手になることも――。
はじめに
昨日(Day 1)では、小規模税理士事務所や小さな会社・事業所が採用に苦戦しやすい理由をまとめました。
「知名度が低い」「待遇が見劣りする」「育成のリソースが限られている」――これらが複雑に絡み合うことで、人材確保が難しくなるだけでなく、せっかく採用しても思うように定着しないケースが後を絶たないのが現状です。
そこで今回は、実際に私が耳にしたり体験した“採用失敗談”を通して、小規模ならではの落とし穴を具体的に見ていきたいと思います。特に面接で「この人ならイケる!」と盛り上がったのに、蓋を開けてみたら……というパターンは要注意かもしれません。
1.経験者を採ったのに、“来る理由”が曖昧で早期退職…
<概要>
「経験者だからすぐ戦力になる」と期待して採用
実は大手や中堅で不採用になった末、消去法で小規模事業所を選んだだけだった
フローの違いとキャリアアップへの欲求が強く、早々に離職へ…
どこが問題だったか
経験者採用は、小規模の事務所や会社でもよく利用される手段です。しかし、「なぜうちを選んだのか」という点をあいまいなままにしてしまうと、早期退職につながりやすいのが現実。
面接で「大丈夫です!」と言われても、前の職場のやり方に固執して馴染めなかったり、単にほかで採用されなかっただけの“妥協”だったりすると、入社後に大きなギャップが生まれてしまいます。私自身、口先だけに騙されて何度か痛い目を見ましたが、経験者ならなおさら筆記試験や実技などで“本当の力”をチェックすべきだと痛感しています。
学び
経験者・未経験者でテストを分ける
経験者なら、これまでの知識やスキルを実際に確認できる仕組みを用意
面接だけでは見えない“本音”や“本当のレベル感”を見極める
小規模ならではの魅力を伝え、“なぜここなのか”を深掘り
大手や中堅を落ちたからではなく、少人数だからこそ得られる裁量や成長速度に魅力を感じてもらう
2.未経験者を採用したが、研修がないまま放置状態に…
<概要>
意欲のありそうな未経験者を採用
しかし繁忙期で先輩・所長が手いっぱいになり、まともに教える体制を作れず
「何をどうしていいかわからない」と言われ、早期退職へ…
なぜ失敗した?
小規模事業所の場合、スタッフ全員の作業量が多く、どうしても教育まで手が回りづらいのが実情です。とくに未経験者にとっては、“最初の数週間”で理解できないことが積み重なると、モチベーションは一気に下がってしまいます。
私も昔、未経験で入ったときに「こう説明してくれたらもっと早く吸収できたのに…」と思うことが多々ありました。その教訓から、最初の1か月や3か月で何を覚えてもらうか、誰がフォローするかを具体的に決めるようにしています。
学び
研修プランや簡単なマニュアルを用意する
「1週目はここまで、3か月目にはここまで」と学習ステップを見える化
忙しくてもマニュアルがあれば、未経験者が自主的に学びやすい
指導担当者を明確にし、相談しやすい雰囲気をつくる
小規模ほど“誰に聞けばいいかわからない”状態が起きやすい
指導担当を一人に固定できない場合でも、相談チャットや定期面談など方法を工夫する
3.面接で話が弾んだだけで安心し、筆記試験を省いてしまった
<概要>
1~2時間みっちり面接して、「波長が合う」と盛り上がり、即内定
実際の実務スキルや適性はあまりないと判明し、入社後トラブル連発
短期間で辞められ、また採用やり直し…
何が問題?
面接は大切なステップですが、雑談やコミュニケーションが合うのと、実務がこなせるのは別の話です。特に小規模の事務所や会社では、経営者や所長自身が面接をすべて担当するケースが多く、その時間コストは非常に大きい。
私自身、「この人と話が合う!」という感覚だけで決めて後悔したことがありました。実は知識やノウハウが乏しく、教える余裕もないまま衝突が起きてしまう……。そうならないためにも、最低限の基礎をテストでチェックした人だけ面接に呼ぶという流れを作ると、労力の節約にもつながります。
学び
面接前に“最低限の知識・適性”をテストで確認する
会計・簿記など必須分野があるなら、基礎問題や簡単な実務課題を課す
書類だけでなく筆記でも志望動機を聞いておけば、口頭での話との整合性を確かめられる
経営者の時間をうまく使う
面接を無制限にやってしまうと疲弊するうえ、騙されやすくもなる
複数ステップで候補者を絞り込んだ後、最終面接をじっくり行う方法がベター
なぜ“小規模”ほど痛手が大きいのか
ここまで挙げた失敗談はいずれも、小規模の事務所や会社で特に起こりやすいものです。人数が少ないため、一人の採用ミスが全体の生産性や雰囲気を大きく左右してしまうからこそ、最初の選考フローや研修システムを整えることが極めて重要だと感じます。
失敗談から成功への糸口を見つける
逆に言えば、失敗しがちなポイントをあらかじめ対策しておけば、採用の精度も定着率も確実に上がります。
会話だけでなく筆記や実務テストを活用する
未経験者向けの研修体制を用意する
経験者が本当に小規模でやっていく意志があるか確認する
私自身、いくつもの失敗を経験したうえでこの重要性に気づき、改善を進めています。次回以降は、さらに具体的なQ&Aや採用テクニックを深掘りしていきますので、ぜひお付き合いください。
次回予告
明日(Day 3)は、「未経験者をどこまで受け入れるべきか?」というテーマをQ&A形式で掘り下げます。
未経験を採るメリットとデメリットは?
育成コストを抑えつつ、どう選考すればいい?
そんな疑問にお答えしますので、どうぞお楽しみに!