【小規模事業所の採用ノウハウ】ハローワークで若手は見つからない?|30日間投稿 Day1
「ハローワークで若手は見つからない?」|
本当は“やる気のある人”はどこにでもいる。会社が彼らを遠ざけていませんか?
はじめに
小規模税理士事務所が採用において苦戦するケースは、本当に多いと感じています。大手や中堅の事務所と比べれば、「知名度が低い」「待遇が見劣りする」といったイメージを持たれがち。ですが、なぜそう思われるのか、実際にどんなところに課題があるのかは、業界の内部にいる私たちだからこそ、よりリアルにわかる部分もあるのではないでしょうか。
本来は4ヶ月かけて段階的にお送りする予定だった小規模事務所向けの採用・育成ノウハウを、今回30日間にわたって一挙公開していくことにしました。「若者は来ない」「ハローワークを使っても意味がない」と諦めるのはまだ早い。今すぐ動けば、春の新年度に“やる気のある若手”を迎えられる可能性は十分にあります。この30日連載が、皆さんの一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。
税理士業界のマイナーさと“やり方の違い”という壁
まず、私がずっと感じてきたのは、税理士という仕事自体のマイナーさです。興味を持ってくれる方がまだまだ少なく、そもそも「税理士って何をする人?」というレベルでイメージできていない方が多いと実感しています。それに加えて、税理士事務所というのは、それぞれ独自のやり方が存在するのも事実です。
たとえば記帳ひとつとっても、導入しているシステムや処理の手順が事務所ごとに違うことは日常茶飯事。だからこそ、未経験の方にとっては「何が正解なのかわからない」という状態になりやすいですし、経験者であっても、前の事務所のやり方とのギャップに悩まされることが少なくありません。
この“やり方の違い”が原因で、いざ事務仕事を始めても「思っていた以上に覚えることが多い」「前の事務所ではこうだったのに…」といった戸惑いが生じ、ストレスが増大してしまうのです。結果的に、なかなか定着してもらえないという課題に結びついてしまうケースが非常に多いように感じます。
採用側の視点:経験者と未経験者、それぞれの悩み
さらに、小規模事務所の採用では、経験者を求める傾向が強いのも実情です。所長や先輩スタッフが多忙なため、“すぐ戦力になってくれる人が欲しい”と考えるのは当然でしょう。しかし、前の職場のやり方を身につけた方に入っていただいても、こちらのやり方との違いにうまく馴染めず、一緒に働くうえでトラブルや摩擦が起きてしまうことも珍しくありません。
一方で、未経験者を雇おうにも、教えるための時間や労力がネックになりがちです。少数精鋭で回している事務所では、スタッフ一人ひとりの負担が大きいですよね。そこへ新しい方が加わるとなると、最初は業務の手ほどきに集中する必要が出てくるため、どうしても“余裕がない”という声が上がります。その結果、「一から育てるなんて無理だ」と二の足を踏んでしまう――これが多くの小規模事務所が抱える現状ではないでしょうか。
今後の流れ 〜 30日で集中公開!
では、このような「マイナーな仕事」「事務所ごとのやり方の違い」「経験者・未経験者どちらも抱える悩み」という構造の中で、私たちはどうやって採用と育成を進めていけばいいのか。もともとは4ヶ月間にわたってお伝えする予定だった内容を、30日にギュッと凝縮して、以下のトピックを深掘りしていきます。
Week 1 相当:なぜ小規模税理士事務所は採用に苦しむのか?
─ 業界の現状や課題の本質を深掘りWeek 2 相当:採用費用を抑えながら良い人材を採用する方法
─ ハローワークやその他低コストな採用チャネルの活用方法Week 3 相当:採用面接で見抜くべき3つのポイント
─ 面接テクニックや応募者の本質を探るコツWeek 4 相当:応募者の本質を見抜く!実践的な適性試験の作り方
─ 小規模事務所向けの簡易テストや適性検査の導入ノウハウ
小規模だからこそ、採用しても定着まで苦労する場合が多々あります。その一方で、事務所の個性やビジョンをしっかり伝えて、丁寧に育成していくことで、人が辞めない環境を作ることも十分可能です。実際、私自身も採用に携わるようになってから、一度も自主退職が出ていないという事例があります。その経験も踏まえながら、皆さんのお役に立てる情報をお届けしたいと思います。
次回予告
明日(Day 2)は、「採用失敗談から見る小規模事務所のリアル」と題して、具体的にどんな点でつまずきやすいのかをケーススタディ形式で掘り下げます。
経験者を入れたつもりが、やり方の違いで衝突…
未経験者を採用したが、教える余裕がなく即退職…
そんな“あるある”が、実は次の成功への大きなヒントになるかもしれません。気になる方はぜひ明日の投稿もチェックしてみてください!
(補足)若手は本当にいないのか?
「最近の若い人は、休みばかり求めてばかり…」「ハローワークに出しても良い人なんて来ない」といった声も多く聞かれます。しかし、実際には**“やる気のある人材”**は若者でも中高年でも、あるいは外国人でも潜在的に存在しているものです。
応募が来ない、あるいは応募が来てもミスマッチが起きる原因は、本当に「若者がダメ」なのではなく、**「会社の魅力が伝わりにくい求人内容だったり、アピールできていない」**ことが少なくありません。諦めるのはまだ早い。次回以降、具体的な方法や工夫についても詳しくお話ししていきますので、お見逃しなく。