魔法骨董ここに眠る、を遊びました
竹田ユウヤさんの作ったソロジャーナルTRPG『魔法骨董ここに眠る』を友人から教えてもらった。説明文としては"骨董商であるあなたは、あと少しで力を失う魔法の道具の思い出を聞き、彼らの最期の言葉を日記に綴る。"(竹田ユウヤ,2022,8)というものだ。
使うのはトランプとサイコロ。いわゆるボードゲームだが、一人でできるのが良いところだ。このゲームでは、トランプを引いて出た数字によって骨董品の種類を決める。その骨董品は魔法がかけられており、どんな魔法なのかもカードが決める。
プレイヤーの仕事は更にカードを引き一から十三の中からランダムに選ばれる質問に対して耳を傾けて物語を作ることだ。
まずはセットアップ。どんな道具なのかを決める段階だ。ついでに、今日の日付と時間を書く。ここは架空のものでも良いそうだが一旦日付だけ書くことにした。
それからカードを引いて「どんなものなのか」というイメージを考える。具体的多に示されていないので「身につけるもの」とか「刃物」なんていうワードとそれにかかっている魔法、例えば「運命」や「保守」なんていう抽象的な言葉を元に、おおよそどんな魔道具なのかを想像する。身につける+運命と聞いて私は「指輪か……?」と思ったので指輪にした。そんな具合だ。
順番にやっていこう。まずは骨董品の種類を決める。この段階がセットアップと呼ぶばれているこの段階はカードに任せて、手元に何があるかはぼんやり思い浮かべる程度だ。トランプを引き骨董品の形状を決めると「守るもの」だった。
守るもの……か……。ちょっとわからんな。次に込められている魔法だ。「保守」+「操作」だった。2つ引くのは珍しい。通常一つだけなのだがキングを引いた場合だけ、二枚引き直しとなりその両方の効果を得る。
ちなみにどの程度の魔力なのかもダイスで決めるのだが、今回は最低レベルだった。
しかし一体これは何なのだろう。何かわからないものを紐解いていくのも良いかと思い、一旦そのまま進めることにした。さて、私の目の前には骨董品がある。そして、私の耳には骨董品の声を聞くためのペンデュラムが付いている。これの力でこの、謎の骨董品の言葉を聞くのだ。ただ、この骨董品は魔力を失いつつある。なので、私がこの魔法の骨董品の言葉を聞く最後の人間になるだろう。
ではここで、私のセットアップ結果をご覧いただきたい。今回の魔道具は先述した中で言うと形は「守るもの」でかかっている魔法は「保守」と「操作」の2つ。レベルは小規模、大したこと無い魔法がかかっているのだろうと考えた。
その結果以下の通りまとめた。
"《セットアップ》
この道具は人の命を守るには小さすぎる。お守りのようなものだ。効果は紙切れと同程度、不幸を払うまじないがかけられているが、幸福にするほどの力は無い。"
これにてセットアップは完了だ。全くどんなものがイメージできていないがまぁ良いだろう。
そして次のステップ、リーディングだ。
何をこの骨董品が話してくれるのかもカードが決める。まずはダイスを振って、何枚カードを引くのかを決める。一から六までのどれかの数字が出るので、その枚数分エピソードを聞いていく。
そしてスペードやクラブの黒いカードは良くない記憶、逆にハートやダイヤの赤いカードは良かった記憶を書く。記憶と言っても、物に宿った記憶だ。ルールブックを見ながら、カードと質問を照らし合わせる。ダイスを振るところやカードの運次第であるところからも、こちらから質問しているというよりは骨董品からかすかに聞こえてくるエピソードをすくい上げてる感覚がして良い。
私は骨董品の声が聞こえる耳飾りを付けて、その声を聞き、ストーリーを組み立てていく。
質問項目はいくつがある。1からKまでの13個、その中から最初に聞けるのは多くても6つ。私がやった中では1つか2つだった。もちろん、まだこの骨董品と話がしたければ追加でカードを引くこともできる。なにせ質問項目が多いのだ。今回振ったダイスの目は「1」この骨董品は一つだけエピソードを語りかけてくれるらしい。私はカードをめくった。赤の4。ルールブックを見て、質問内容と照らし合わせる。
そして物語を組み合わせた結果が以下の通りだ。
《リーディング》
赤の4(出たトランプの色と数字)
"【一番長く使っていた人間のこと。大事に使われていたのか? それともたまたま置かれていたのか?】(竹田ユウヤ,2022)
おそらく魔法使いが幼い頃に試作品として制作したものだろう。呪文も難しいものではない。しかし確かに、持ち主の安全を願うものだ。このお守りの持ち主は大切にこのお守りを使っていた。"
ルールブックから引用した部分は作者様の名前と【】でくくった。ここは私の考えたところではない。この質問に対しての回答はそのあとに述べられている部分である。だんだん、この骨董品が何なのかわかってきた。一見してよく分からなかったがどうにもらお守りのようだ。そして、稚拙ながらも魔法がかかっている。間違いなく魔道具である。
ここから更に聞くか、エンディングへ向かうかの二択を選べるが、私はこのゲームをするのは初めてだったのでまずエンディングへ向かうこととした。完璧よりまず終わらせる。それが大切である。
エンディングでは、いよいよ魔力を失う骨董品に質問を投げかけられる。このときにもカードを引くのだが、引いたカードが黒なら1つ、赤なら2つの質問ができる。質問の一覧もある。但し、どの質問をするかは自分で決めなくてはならない。
では、エンディングへ進もう。私はカードを一枚引いた。赤だ。私はこの魔法の骨董品にリストの中から2つだけ質問ができる。
《エンディング》
"【Q:あなたが誇りに思っていることは?】(竹田ユウヤ,2022)
この道具は生涯を通じて、一度も魔術を発揮することはなかった。このお守りにすがるほどの不幸はついぞ最後まで、持ち主の前に姿を現すことはなかった。だから、このお守りは今ここにある。
自身にかけられた稚拙な魔法が活かされることなく、持ち主が生涯を終えたこと。それがこのお守りの誇りであった。
【Q:あなたが好きになったものは? 】(竹田ユウヤ,2022)
風、それから人が足踏みをするときの音、それからそのリズムや揺れ。なぜなら、それは私がただの貝殻であったなら、生涯いや、あるいは何世紀経っても、きっと感じることはなかっただろうから。"
そして、骨董品は魔力を失い、声も聞こえなくなった。ルールブックには"なにか感じたことがあれば、忘れずに記入しておきましょう"とある。
私は骨董商だ。商品ともなれば、やはり必要なのは商品名だろう。私はこの文章の最後に、この商品を商品棚に並べるにあたって。あるいは、この秘密の会話にタイトルを付けることにした。
"商品名:小さな魔女のお守り"
これでよし。
一段落つくと私はまたカードを引いて次の骨董品を見るためにカードを引いた。このゲーム、なかなか面白い。オンラインで遊べるようにと、友人がスペースを作ってくれた。その御礼になっているかはわからないが、私の作った作品を見せ、友人の作った作品を見せてもらう。骨董品の商人が互いに仕入れたものの逸話を語るように、今作った物語を見せ合った。
こうした、魔法のアイテムづくりは結構好きかもしれない。またいくつか、骨董品を仕入れてみたいものだ。次はどんな骨董品と出会えるだろうか。
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参考文献