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サンゴ礁水槽の変わり者

みなさんこんにちは!!
アクアリウムラボ15期の長嶋です。

気づけばもう12月ですね……。
私はもう信じられません。
信じたくない(現実逃避)。

ということで、今回私がご紹介します生き物は、この水槽の中にいます!!!

キレイですね〜

そう、みんな大好きサンゴ礁水槽です🪸
クマノミかな?スズメダイかな?
果たして正解は………??

今回の主役

「!?!?!?」
と思った方、いらっしゃるでしょう。こちら、「マガキガイ」という巻貝です🐚
生やフライなどで食べるあの二枚貝のマガキ🦪とは違うのでご注意を!!!
私もじゃなくて長嶋です!←重要
(上の「長澤」をクリックするとラボリーダー・長澤君のブログ記事を読めます)

こんな貝をなぜわざわざ紹介するのか?
それは、他の貝とは大きく異なる、超個性強めな貝だからです!!
今回はそんなマガキガイの推しポイントをみなさんにお届けします!!!

①What a cute face...

まずはじめにマガキガイのご尊顔をご覧ください。

マガキガイの正面顔

見れば一発でわかる、「なんか目力が強い…」。
これこそがマガキガイを含むソデボラ科最大の特徴、ギョロリとした眼です👀
マガキガイに限らず、巻貝は眼を持ちますが、マガキガイはこの漫画みたいな特に目立つ眼を持っています。そこがなんともcute!
しかし意外なことに、この眼は明暗くらいしか感じられないようです…。

眼の下からは触角が枝分かれするように生えており、眼の間には長く伸びるがあります👄
マガキガイはこの口で砂や岩に付いたコケなどを食べるのです!
そのため、アクアリウム界隈では水槽のお掃除屋さんとして重宝されています🧹

カエルウオとのツーショット。
カエルウオも岩や壁のコケを食べる掃除屋です。


②貝の剣士!?

実はマガキガイ、高知県では「チャンバラ貝」と呼ばれています。もちろん「チャンバラごっこ」や「スポーツチャンバラ」のチャンバラ。

貝とチャンバラってあまりイメージが結び付きませんが、その由来はマガキガイをひっくり返すとよくわかります。

赤く囲んだ部分にご注目!

観察のため、一時的にマガキガイを1匹水槽から虫かごに移しました。
ちょっとだけごめんなさいね…💦

マガキガイを上下逆さまにすると、なにやらノコギリのような尖ったものが……。

これ、マガキガイの貝殻のです。サザエなどにも丸い渦巻き🌀のような蓋が付いていますよね。

マガキガイがこれを振り回す様子はまさにチャンバラ。だからチャンバラ貝と呼ばれるのです!

③貝らしからぬ素早さ

みなさん、貝ってゆ〜〜〜っくり動くイメージがありますよね。タニシやカタツムリ🐌などを飼育したことのある方はよくわかると思います。

しかしマガキガイは一味違います。移動するマガキガイを見てみましょう。

移動の様子

いかにも「どっこいしょ」という感じで移動していることがわかりますね。
マガキガイは先ほどの蓋を地面に引っ掛けて前に進むのです!このときの動きが結構素早い!!

えいっ!!!

マガキガイの蓋を撮っていると、貝殻から身体を出してくるりと一回転!
逆さの状態から元に戻ろうとしたものだと思われますが、あまりにも速くてびっくり仰天です!!
貝がこんなに速く動くなんて………。

④あのお方にソックリ…

そんなマガキガイですが、房総半島以南の岩礁や砂地で見られる割と身近な貝です。
そのため、磯遊びやダイビングの際にも見かけることができます。

ダイビング中のひとコマ
マガキガイだらけ!!!

こんなにも可愛らしい貝、手にとって観察してみたくなりますがその前に注意!!!
実はマガキガイ、危険な「イモガイ」の仲間と見た目がよく似ているんです⚠️

イモガイの一種、アンボイナ
引用:https://churaumi.okinawa/sp/fishbook/00000275/

こちらがイモガイ(※現在ラボにイモガイはいません)。円錐形の貝殻がとってもマガキガイに似ていますが、イモガイは槍のような「歯舌」に毒を持ちます
これを餌となる小魚にブスッ!こうして「いただきまーす!」ってわけです。
種によっては人が刺されると命を落とすこともある猛毒です……。
一方、マガキガイはこのような毒針を持っていません。

ベジタリアンなマガキガイのお食事シーン

でもなぜ似ているのか?単なる偶然?🤔🧐
実は、無毒なマガキガイは危険なイモガイに姿を似せることで、天敵から身を守っているという説があるのです!
このような擬態は「ベイツ型擬態」と呼ばれています。
あくまでも「説」であり、否定されているとの見解もあります。

そんなイモガイにクリソツなマガキガイですが、実は見分け方があるのです。
それがこちら!!

赤く囲んだ部分にご注目!その2

マガキガイなどソデボラ科の貝殻にはあのギョロ眼を出すための窪みがあり、「ストロンボイドノッチ」という名前まで付いています。
一方、イモガイにはストロンボイドノッチがありません。
つまり、ここを見ればマガキガイとイモガイを見分けられるのです!


…ということです。
あまりにも貝っぽくない見た目や生態を考えると、「貝ってなんだったっけ?」と思ってしまいますよね笑笑
個性強めなマガキガイの魅力を少しでも多くの方に知っていただければ幸いです🐚

最後にご尊顔をもう一度

マガキガイはラボのサンゴ礁水槽にて常時展示中!!!
ぜひ、マガキガイに会いにお越しください!!!

最後まで読んでいただきありがとうございました!!!


北里アクアリウムラボは、予約不要・入館料無料です!

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参考文献
・葛西臨海水族園、“ときに機敏なマガキガイ、そのユニークな体に注目
・ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、“ソデボラ科
・城崎マリンワールド、“不気味な瞳の正体は?!
・高知まるごとネット、“土佐の貝類
・ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、“マガキガイ
・サカナト、“<安全か危険か>それ本当に毒貝ですか? マガキガイとイモガイの違い
・コトバンク、“マガキガイ

写真引用
・美ら海水族館、“アンボイナ

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