目眩を覚えるような、青|掌編小説
空を見上げれば、果てのない目眩を覚えるような、青がそこにはあった。
そして高く繋がれていた風は、ビューっと音を立てながら動き出して、私の頬をやわらかく撫でていった。
「ずっと一緒にいよう。」
はっきりとした唇からこぼれ落ちる言葉を紡ぐあなたに、なぜそう感じたのかわからなかったけれど、それを美しいと思った。
それから私は「美しい」を形作っているものを即座に分解して昇華すると、そこには「儚い」と「終焉」が混在していて、それがセロファン紙のように透けて見えているはずなのに、私は「うん。」とあなたに返事をしてから手を繋いだ。
私は最初からわかっていた。
私の方があなたよりも好きなことも。
「ずっと一緒。」だなんて気休めだということも。
最後にふたりがどうなってしまうのかも。
そうとわかっていたはずなのに。
私は甘ったるい幸せを味わいながら、それを手放すまいと必死になっていた。
そうしたら、あっという間にそれはてのひらからあまりにも呆気なく流れ落ち、かすかに残ったものは安易な記憶だけだった。
そしてそれを優しく転がしているてのひらをギュッと強く握ると、やっと呼吸をすることができた私は、愚かそのものだ。
あなたと別れてから半年が経ったはずなのに、いまだにあなたの幻影を追いかけて続けている私は、どこに向かっていくのだろうか。
すべてがわからない。
そんな私が…
空を見上げれば、果てのない目眩を覚えるような、青がそこにはあった。
そして高く繋がれていた風は、ビューっと音を立てながら動き出して、私の頬をやわらかく撫でていった。