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blender 4.2 モディファイア 詳説 - Array 配列

たいていの方は、わたしのように、一部のモディファイアとそのなかの一部の機能を学習して、その範囲でやりくりしているのではないかと思います。

そこで、ここでは、使用頻度の高いモディファイアから、可能なかぎり、すべてのオプション、機能を整理してみたいと思います。最初は、なかでも、実用性や応用範囲も広い配列(Array)モディファイアを整理します。


環境 Blender 4.2.0 , Mac Mini M1 OS 14.4



初期シーン


おもに下のシーンで、立方体に配列モディファイアを適用し、各オプション値を調べる。

床は 10 x 10 m 立方体は 1 x 5 x 2 m

配列モディファイアでは、オブジェクトのスケールが大きく影響する。後述のように、適用するオブジェクトには、⌘(Ctrl)+ A > スケール を実行する。


Fit Type - 適合する種類


オブジェクトを配列する数、距離を下の 3 オプションから選択できる。

Fixed Count - 定数で指定

もっとも基本的な配列。並べるオブジェクトの数を指定。

数 3 オフセット 係数 X 2.0 (m)

オリジナルのオブジェクトから、X 軸に 2 m ごとに離れた位置へ 計 3 個並ぶ。

Fit Length - 長さに合わせる

オブジェクトの並べる距離(範囲)を指定できる。

長さ 10 m オフセット 係数 X 2.0 (m)

それぞれの距離間 2 m を保ちながら、長さ 10 m 以内で可能なかぎり並ぶ。


Fit Curve - カーブに合わせる

参照するカーブオブジェクトの長さにあわせて並べることができる。変形 > カーブモディファイアと併用することが多い。

手前は ベジエ(Bezier)カーブ。これも⌘(Ctrl)+ A > 回転・スケール を実行。
変形 > カーブ モディファイアを追加。

ベジエカーブの形状を変更しても、カーブの長さに従って可能なかぎり並ぶ

TIP01

オブジェクトモードで下の立方体の X 軸の幅を半分にした場合、カーブの長さの半分しか配列されない。立方体の「スケール」の値が影響しているためだ。

N キーで表示されるサイドパネル アイテム > トランスフォームプロパティ。
左 オブジェクトモードで幅を半分に。右 編集モードで幅を半分に。

編集モードで幅を変更してもスケールは 1.0 のままだが、オブジェクトモードで変更すると、スケール X が 0.5 になる。スケールの値は、モディファイアやシミュレーションの結果に影響を与える。

この場合は、立方体を選択し、⌘(Ctrl)+ A > スケール を実行する。スケールがすべて 1.0 となる。

幅半分のまま、カーブの長さいっぱいに並んだ

TIP02

並べるオブジェクトやカーブの形状によっては、オブジェクトが下のように歪むことある。すこし手順はかかるが、これを避ける場合は、

別途、平面オブジェクトを追加し、この平面オブジェクトに上述の配列 + カーブモディファイアを適用する。

なお、平面のノーマル(面の向き)が正しいことをチェックする
平面オブジェクトに配列 + カーブモディファイアを適用

立方体、平面の順に、Shift キーを押しながら選択し、⌘(Ctrl)+ P キーで、ペアレント化する。

左の立方体が子、右の平面が親になる。

親の平面オブジェクトを選択し、「オブジェクト」プロパティ > インスタンス化 > 面 を選択する。

インスタンサーを表示 はビューポート/レンダーともにチェックを外す
子の立方体オブジェクト、およびカーブオブジェクトは非表示とした。

上の配列を移動する場合は、カーブを表示させ、どちらも選択して移動する。また、インスタンス状態(オリジナルのコピーデータ)なので、通常のオブジェクトに変換するには、オブジェクト > 適用 > インスタンスを実体化 を実行する。


Offset - オフセット

Relative Offset- オフセット (倍率)

たとえば、上列の立方体に変更を加え、下列の形状にした場合。オブジェクトのサイズに従って、列全体の長さも長くなる。

Constant Offset - 一定のオフセット

一定のオフセットの場合は、サイズにかかわらず、列の長さが保たれる。

デフォルトのオフセット(倍率)では、オブジェクトを形状を変更すると列の長さも変わるため、列全体の長さを固定したい場合は、「一定のオフセット」が便利だ。

Object Offset - オフセット (OBJ)

配列の基点に、別のオブジェクトを指定できる。
たとえば、下では、エンプティ > 十字 で、エンプティオブジェクトを追加した。基点をこのエンプティとする。

立方体の右にエンプティを追加。立方体の原点が正しいことを確認する。
オブジェクトオフセットに、エンプティ(Empty)を指定
オフセットの距離は、すべてゼロに。

scale

エンプティを選択し、0.7 倍に縮小した。エンプティのスケールが配列に影響する。

Rotation

エンプティの回転を基点とする場合は、一例として下のように配置。

立方体の原点は、エンプティと同じ位置に配置。「数」は 20

エンプティを選択、Z 軸に 18 度回転させた。

18 x 20 = 360 で、円周上に並んだ。

Scale + Rotation

回転や、スケールを組み合わせることもできる。

真上からの視点。円の原点は、エンプティと同じ位置に設定。「数」は 40

エンプティを選択し、ここでは、Z 軸の 回転を 40 度、スケールを 0.9 に変更した。

渦巻きになる。

思ったような配置にならない場合は、オブジェクトの原点の位置を確認し、⌘(Ctrl)+ A > 回転・スケール を実行する。


Merge - マージ


配列で並べられたオブジェクトの近接する頂点が接合される。

上述のように、オフセット (OBJ)にエンプティを指定し、円周上に上のオブジェクトを並べる場合。

上のオブジェクトの原点は、エンプティと同じ。

エンプティを Z 軸に 20 度回転させた。

オブジェクト間にすきまがあるので、マージにチェックを入れる。

距離は、ここでは、0.1 m とした。すきまが接合された。

上にように、配列が閉じた円で、始点と終点も接合したい場合は、「コピーの最初と最後」にチェックを入れる。

Caps - 先端


配列の先頭と最後に、それぞれ異なるオブジェクトを指定できる。

たとえば、前述の、「カーブに合わせる」とカーブモディファイアを組み合わせた、玩具の列車オブジェクト。

別途作成した start、および、end オブジェクトを、「先端」の開始のふた、終了、に指定した。


UV - UVs


並べるオブジェクトに UV によるテクスチャが適用されている場合、配列数ごとに UV の位置をシフトさせることができる。

配列モディファイアによって並べた。通常は、同じ UV が適用される。

ここでは、オフセット U( X軸 )を 0.3 シフトさせた。


参考


まとめ


とりあえずオブジェクトをいくつか並べる、という用途に使われることが多いと思いますが、とくに、オブジェクトオフセットを応用することで、公式マニュアルにあるように、かんたんなフラクタル図形を作ったり、とマスターしだいで範囲の広い活用ができます。
コツは、オブジェクト原点の確認と、回転・スケールのリセットをこまめに行うことでしょう。参考になれば幸いです。


blender を始めたばかりのころ、チュートリアルにしたがって、オブジェクトオフセットで並べると、途方もない地平の彼方にちらばってしまうことが多くイライラしました。なんどもいうようですが、その原因のほとんどすべては、オブジェクトの原点とスケールです。


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