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blender 4.1 cycles レンダリング時間を 10倍速に

cycles でのレンダリングには、EEVEEにくらべて時間がかかり、そのため敬遠されている方も多いと思います。そこで、すこし怪しいタイトルではありますが、デフォルトの設定からごくかんたんな変更で、cycles のレンダリング時間を 約 1/10 にまで短縮する方法を紹介します。


環境 Blender 4.1.0 , Mac Mini M1 OS 14.4


もちろん PC の性能や環境によって異なる。使用した Mac mini は、比較的安価なミニコンピュータであり、CPUはそこそこの性能はあるものの、後述する GPU の性能については、エントリークラスのゲーミングPC などに比べても低い。


Noise Threshold


レンダー > ノイズしきい値。この値をデフォルトの 0.01 から、0.1 等と高くすることによって、レンダリング時間が大幅に短縮される。

レンダープロパティ
ノイズしきい値 0.01 レンダリング時間 約 10 分
ノイズしきい値 0.1 レンダリング時間 約 1 分

レンダリング時間は 1/10 に短縮されたが、ガラスなど透明マテリアルについても、画質にほとんど変化はみられない。

出力解像度は、1980 x 1080px レンダー関連については、後述の設定変更以外はデフォルト値。


Noise Threshold とは

技術的な詳細についてはわたしの手に余るが、ノイズしきい値とは、レンダリング中に生じるノイズを制御する値。cycles では、ある程度ノイズが生じていないと判断した時点で自動的に残りのレンダリングをスキップし、ノイズしきい値が大きいほど、そのタイミングが早くなる。

すなわち、出力結果がほぼ同じ上の画像に限るならば、デフォルトでは、9分間はあまり意味のないサンプリングを行っている時間と考えてよいかもしれない。

もちろん、出力解像度が高く、霧が重くかかっていたり、ガラスなどの透明オブジェクトが複雑に配置されていたりするやや特殊なシーンでは画質に関わるだろうし、その場合は、値の調整が必要と思われる。

サンプル画像をよくみると、ラグの細かい起伏が短縮版のほうが強い。おそらく、デフォルトでは、細かい起伏をノイズと判断し、解消しようとしているのだろう。この場合はかえって都合がよい。

左 短縮 右 デフォルト


その他


ノイズしきい値以外にも、レンダリング時間の短縮に関わるいくつかの設定値について整理する。

基本

上と同じレンダープロパティ

レンダー > ノイズしきい値 以外に、デフォルトから変更している値を、黄色のドットで示した。

  • レンダーエンジンは、この場合、もちろん「Cycles」に変更

  • デバイスは「GPU演算」に変更。これも大幅なレンダリング時間の短縮になる。

ただし、PCの性能によって異なる。ちょっとした3DCGゲームなら動きますよ、というPCであれば、GPU(グラフィックスプロセッサー)が搭載されており、CPUよりも、レンダリングのような画像処理に適している。
なお、変更後、初回のみカーネル構築のため数分間ほど応答がなくなることがある。

サンプリング > ビューポート > 最大サンプル数は、ここでは、48

ビューポート上の設定値なのでレンダリングには関係がない。ビューポートの段階であまりサンプルを上げても負担がかかるので、わたしは短くしている。

  • サンプリング > レンダー > 最大サンプル数は、1024

もちろん画質にこだわらなければ、少ないほうがレンダリング時間が少ない。デフォルトの 4092 は、通常のシーンであれば必要ない。

ただし、ノイズしきい値を上のように変更した場合、レンダリングが早めに打ち切られるので、サンプル数はデフォルトでもよいかもしれない。


出力サイズ


出力プロパティの、出力画像サイズ(解像度)は、当然、低いほうがレンダリング時間が大幅に少ない。

サンプル画像の場合、デフォルトの設定では、出力サイズを 50%にすることで、レンダリング時間が 10 分から、3 分に短縮される。 

作成中などの確認では、 1 K ほどに抑え、
高品質な画像を出力したい場合のみ 2K 以上の解像度にしている。 

なお、ビューポート上のみかと思うが、レンダー領域、および、レンダー領域をクロップ をチェックすると、カメラ領域以外はレンダリングされず、若干短縮される。


まとめ


他にも、レンダープロパティのライトパスの数値変更など、動画などに紹介されている設定項目はいくつかあるが、少なくとも上のシーンではほとんど影響が見られなかった。


現状でのわたしの理解では、PCの性能を除いて、cycles のレンダリング時間の短縮におおきな効果があるのは、

  • デバイスを「GPU演算」に変更する(可能ならば)

  • 出力画像サイズを小さくする

  • ノイズしきい値(Noise Threshold)を、0.1 など大きめに変更する

であり、出力サイズは都合によるので、もっとも有効なのは、ノイズしいき値、の変更ということになる。

シーンの構成によっても異なるだろうが、ほぼ画質の劣化なしに、レンダリング時間が 9 割近く削減できる恩恵は大きい。

このような劇的な効果は、大抵、後々どこかに悪い副作用が出てくるものですが、ノイズしきい値の機能をざっと調べるかぎり、blender がこれ以上はノイズの除去をしなくてもだいじょうぶ、と判断した時点でレンダリングを終了する機能であり、これを踏まえるかぎり、大きな副作用はないかと思われる。ノイズが目立つようであれば、適宜、値を小さくするのみ。

タイトル画像の車は、Ford Mustang GT3D Model BadKarma™ を使用した。レンダリング時間 17 秒。1280 x 670 px


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