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工作としての blender - 折る つなぐ 切る

3DCG のモデリングは、折ったり、丸めたり、ひねったりと、紙や粘土細工に似ているところがあります。そこで、モデリングをバーチャルな工作と捉え、第 1 回では、基本の「折る、つなぐ、切る」操作のいくつかを紹介します。

以降の操作は、すべて「編集」モードで行う。


環境 Blender 4.2.0 , Mac Mini M1 OS 14.4



折る。


折る、というよりは、そこで折るための折り目をいれる操作といえるかもしれない。blender では折り目をいれるためのツールがいくつか用意されている。



Loop Cut

  • 辺 > ループカットとスライド ⌘(Ctrl)+ R

基本の折り目入れ。以降のツールも同様だが、あくまで「折り目」であり、カット(切断)はされない。

平面上にカーソルをあわせ、⌘(Ctrl)+ R、クリックでスライド、クリックで確定。
立方体では「ループ」状にカットされる。


Option

操作を終えると、画面左下にオプション画面が表示される。分割数 3
分割数は、⌘(Ctrl)+ R の後に数字キー、マウスホイールでも可。
スムーズ - 0.3 ループカット間を曲線に。
減衰 左 : 球状 右 : シャープ
左 : 通常 中央 : 均一 ON 右 : 均一 ON 反転 ON

通常は左のように、相対的に両端の辺の形状の中間がカットラインになるが、上の例では、右辺、あるいは、左辺のラインと同じカットラインを生成できる。均一と反転は、ループカットが 1 つのときのみ有効。



Inset Faces

  • 面 > 面を差し込む I キー


差し込みたい面を選択し、I キー押す。
左は 9 面のほぼ同形状のオブジェクト。サブディビジョンサーフェス適用後
右の差し込みで作ったオブジェクトの方がループカットも入りやすくスマートだ。
右 2 つは差し込みを入れて、サブディビジョンサーフェスを適用した場合。
左の単に穴をあけた場合に比べ、ループカットが多く入り、エッジがシャープに。


Option

4 面を選択して I キーを押した場合。左 : 個別 OFF 右  : 個別 ON
I I キーを押すことで ON/OFF を切り替えできる。


Bevel

  • 辺 > 辺をベベル ⌘(Ctrl)+ B

角を削る、いわゆる「面取り」を行うツール。

立方体の正面の面を選択、⌘(Ctrl)+ B を押し、カーソル移動でベベルの幅を決定。


Option


立方体を全選択し、ベベルを適用 左 : 幅 0.2 セグメント 1 右  セグメント 2
セグメント 1 では三角の面ができやすいので、避けたい場合は、数は偶数とする。
上のオブジェクトの内側の 1 辺を選択して、ベベルを適用
セグメント 10 
断面のタイプ カスタム プリセット ステップ

カスタムのカーブラインを操作して、自由な曲線に設定することもできる。

他にも多くのオプションはあるが、ベベルモディファイアの設定値とほぼ同じ。詳しくは、モディファイア詳説 - Bevel を参照してください。複雑な形状の多くの辺にベベルをかける場合は、いつでももとに戻せるモディファイアでの適用がおすすめ。



Knife

  • K キー


自由度の高い折り目(カット)をいれることができる。
K キーを押してカット、終点でリターンキーを押す。

Option

K キーの後、Shift キーを押しながらカットすると、
辺の中央のみに、カットの始点/終点ができる。
K キーの後、X , Y , Z キーを押すと、その軸にのみカットの方向を限定できる。

ナイフツールは自由にカットができる反面、Tri-Gon(3辺をもつ面)や N-Gon(5 辺以上の面をもつ面)ができやすく、ジオメトリ/トポロジーとしては不正になることが多い。可能なかぎり、すべて 4 辺になるようカットしよう。

上の理由もあって、個人的には、ループカットの通り道を作るのに多用している。

左 : ナイフツールでななめにカット。中央 :  2 辺を X キー > 辺を溶解で削除
右 : ループカットが辺に沿って通り、面もすべて 4 辺に保たれている。
厚みをつけ、サブディビジョンサーフェスを適用。エッジもきれいにとれた。



つなぐ


左の 4 頂点あるいは 2 辺を選択し、F キーを押す。


F キーは、「頂点から新規辺/面作成(New Edge/Face from Vertices)」のショートカットで、細かくいえば、頂点を接続してその結果による辺や面を作成する機能。おもに 2 辺をつないで面をつくる。
ただし、3辺以上を F キーでつなぐと、トポロジー的には不正になる。その場合は、次項の辺ループのブリッジ(Bridge Edge Loops)でつなぐ。

また、F キーで複数の辺をつなぐ場合、これも次項の辺ループのブリッジ が便利だが、下の方法も知っておくと手早いことがあるだろう。

F キーで 1 面をつなぎ、 2 頂点のみ選択、F キーを連打



Bridge Edge Loops

  • 辺 > 辺ループのブリッジ

複数の辺、面をつなぐ。双方の辺の数が同じ場合に最適。異なる場合も実行はされるが、3辺の面が混じるなどし推奨はしない。

左 : F キーでつないだ(N-Gonができる) 右 : 辺ループのブリッジ
左の 2 面を選択し、辺ループのブリッジ
左の 複数面を選択し、辺ループのブリッジ

面を辺ループのブリッジでつないだ場合は、選択面は削除され、辺どうしのみが接続され、内部に不必要な面が残らない。

option

左 : 分割数 5 右 : 分割数 5 ツイスト 3
左 : 分割数 5 断面の係数 -0.5 右 : 断面の形状 シャープ
分割数 6 スムーズ 1.0 断面の係数 -0.3 断面の形状 球状


Grid Fill

  • 面 > グリッドフィル


左の 6 辺を選択し、F キーで埋めた場合

4 辺の空間を埋める場合は、F キーで問題なく埋めることができるが、上のように 8 辺の場合、F キーでは、8 辺を持つN-Gonができてしまう。その場合は、グリッドフィルで埋める。

グリッドフィル。すべて 4 辺の面で埋まる。
12 辺の円状の辺を選択、グリッドフィル。

Option

実行後の画面左下のオプション画面、スパン、オフセットで、グリッドの形状を調整できる。

グリッドフィルは、辺が偶数の場合のみ適用される。


Merge

  • メッシュ > マージ M キー


内側の頂点あるいは辺を選択、M キー > 中心に

選択された頂点をすべて束ねて統合する。3辺の面ができるが、グリッドフィルにくらべてポリゴン数も少なく、手軽に空間を埋めることができる。

左の 2 頂点を、中央の頂点を最後に選択。M キー > 最後に選択した頂点に
M キー > 距離でマージ 結合距離 左 : デフォルト 中央 : 0.12 右 : 0.16 m 




切る


Split 

  • メッシュ > 分割 > 選択 Option(Alt)+ M 


上面を選択し、メッシュ > 分割 > 選択 を実行、切り離した面を上へ移動

おもに辺や面を切り離す機能。


Rip Vertices

頂点 > 頂点をリップ V キー


左の中央の 2 頂点を選択、V キー、リターンキーで確定、頂点を右に移動

頂点を 2 つに切り裂く(リップする)機能。辺を選択してもリップできるが、面はリップできない。



Separate

  • メッシュ > 分離 P キー


編集モードで面を選択し、P > 選択 を実行。オブジェクトモードで右に移動

おもに、一部の面を、「別オブジェクト」として切り離すツール。後に統合(Join)することを前提に、特定のエリアを分離させることに利用することも多い。

P > 構造的に分離したパーツで を実行。
頂点、辺、面が接続されていない各部分が、3 オブジェクトに分離する。
編集モードで、P > マテリアルで を実行。
異なるマテリアルを適用されている各エリアが別オブジェクトとして分離する。





まとめ


いずれもモデリングには欠かせない操作、ツールを紹介してみました。

なお、左下に出るオプションウィンドウはあまり詳しくみることがないかもしれませんが、知っておくと便利な機能が詰まっています。参考になれば幸いです。




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