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blender を始めよう 4.2 | 第3回 はじめてのモデリング。 モディファイアの活用

モディファイアは、手作業ではむつかしかったり時間がかかる操作を自動で行ってくれる機能で、モデリングの効率化には欠かすことができません。

ここでは、第 2 回で作ったオブジェクトをモディファイアで形状に操作を加え、かんたんなチェアを作成してみます。


環境 Blender 4.2.0 , Mac Mini M1 OS 14.4


この記事は、第 2 回の続きです。初心のかたは、第 1 回の記事からすすめてください。


準備


第 2 回で作成したオブジェクト。やや形状を変更。

編集モードでの操作。面モード、面モード、辺モード。

⌘(Ctrl)+ R で半分にループカットを入れた立方体の 上面を E キーで上へ押し出し、G Y キーで辺を移動させた。


モディファイアの適用


適用できるモディファイアは数多くあるが、ここではもっとも利用頻度の高い、サブディビジョンサーフェスモディファイアと、ミラーモディファイアの適用方法を紹介する。

サブディビジョンサーフェス

  • 「オブジェクトモード」に変更

  • スパナのアイコンのモディファイアプロパティをクリック

  • 「モディファイアーを追加」ボタンをクリック

  • 生成 > サブディビジョンサーフェス を選択

  • 「ビューポートのレンダー」設定値を 2 に変更

「ビューポートのレンダー」の数値は 3Dビューポートの表示時の、「レンダー」 はレンダリング時の細分化(面の数を増やす)数。大きいほど細かく細密になるが、処理の負担もかかるので、通常は、2 〜 3 にすることが多い。

  • オブジェクト上を右クリック。「スムーズシェード」を選択

通常、丸みをおびた形状のオブジェクトは「スムーズシェード」を、箱のような角の鋭いオブジェクトは「フラットシェード」を選択する。

丸みのある形状になった

サブディビジョンサーフェスは、すべての角を丸めながら、オブジェクトを細分化するモディファイア。コップやソファなど、丸みのあるオブジェクトには、ほぼ必ず適用する。

  • 「編集モード」に変更し、⌘(Ctrl)+ R キーで、下のように 4 箇所にループカットを入れる。

サポートエッジなどと呼ばれ、丸みを減らしながら、形状を整える役割がある。

オブジェクトモード。ややオリジナルの形状に近づく
オブジェクトモード

椅子の座面にしたいので、あらかじめ G Z キーなどで上へ移動させた。


ミラー

オリジナルの鏡像のような対称の形状を生成できるモディファイア。

左右、上下対称のオブジェクトを片方だけ作成して、モディファイアに別の片方を自動で作成させ作業を減らすことができる。

  • 「オブジェクトモード」で、Shift + A > 立方体 を追加し、S キーで縮小

  • 「編集モード」に変更し、上面のみを G キーで上へ移動させ、S キーですこし拡大

  • 「編集モード」のまま、A キーで全選択、G XG Y キーで椅子の隅に移動

追加する立方体が画面中央に配置されない場合は、追加する前に、Shift + S キーを押し、カーソル→ワールド原点 を選択し、3D カーソルを画面中央に移動させる。新規オブジェクトは 3D カーソル上に配置される。

  • 「オブジェクトモード」に変更し、生成 > ミラー を選択、「座標軸」の X Y にチェック

X軸と、Y軸にそれぞれミラーされた形状が追加され、4 本の脚になる

なおデフォルトで、ミラーの対称軸は、オブジェクト原点(上のオレンジ色のドット)に設定される。詳細は後述する。

かたちを整えるため、「編集モード」で脚の下面を選択し、やや外側へ移動させた。

他の 3 本も同時に変更される


完成


すこし幼児用のチェアのようだが、布張り風の座面と、4 本の脚が完成。

チェアの座面、脚、のふたつのオブジェクトが出来上がった。次回では、このチェアに「マテリアル」を適用し、色を付けてしてみたい。


補足

モディファイアとは

モディファイアはオブジェクトの形状になんらかの変更を加え、もとの形状とは異なる形状にみせる機能。たとえはよくないかもしれないが、タヌキが人に化けるならば、その「術」に相当する。術が解ければ、またもとのタヌキに戻るように、モディファイアによる変更はみためのもので、もとの形状じたいは変化しない。

立方体にサブディビジョンサーフェスを適用し、球に近くなったオブジェクト。モディファイアプロパティの X ボタンを押すと、モディファイアは解除され、もとの立方体に戻る。また、一時的にモディファイアを解除したい場合は、上のモニタのアイコンをクリックして OFF にすると、ビューポート上で一時的に立方体に戻る。

また、上の「適用」を選択すると、モディファイアが形状に「適用」、固定される。ただし、化けたタヌキが人の姿から戻れなくなるように、適用後はもとの立方体に戻ることはできなくなるので、適用の必要性がある場合のみ行う。


その他のモディファイア

利用頻度の高いモディファイアのみをかんたんに紹介する。

配列(Array)
もとの形状を複数並べることができる。


ベベル(Bevel)
通常は⌘(Ctrl)+ B で行うベベル(面取り)を自動で行える。


ソリッド化(Solidify)
平面のオブジェクトに厚みをつけることができる。


ミラーモディファイアの活用

ミラーモディファイアは左右対称の片方を作り、もう片方を複製しながら結合する、という操作によく利用される。

下のようなオブジェクトの左半分を作成し、ミラーモディファイアを適用した。

オブジェクト原点は、球の中心。

「マージ」は隣接する頂点を結合する機能で、ここでは、ミラーされて左右にある 10 cm より近い位置にある頂点は、ひとつの頂点に結合(接合)される。上のオブジェクトは2m ほどの大きさ。

また、接合面が均一でないとマージが正しく行われないことがある。その場合は、辺モードで、Option(Alt)キーを押しながら辺をクリックしてすべて選択し、上では、S X 0(ゼロ) キーを押し、X 軸方向に位置を揃える。


オブジェクトの原点

ミラーモディファイアのミラーの中心は、オブジェクト原点(オレンジのドット)なので、原点が中心からずれている場合はミラーが正しく行われない。その場合は、

  • 下の辺を全選択、あるいは、特定の頂点を選択し、Shift + S > カーソル→選択物 を選択し、3D カーソルを中心に移動させる

  • オブジェクトモードに変更し、メニューの、オブジェクト > 原点を設定 > 原点を3D カーソルに移動 を選択

原点が中心位置に設定された。

なお、ミラーモディファイアで、指定した軸にミラーされない(左右にミラーさせたいのに上下にミラーされる、など)場合は、オブジェクトモードでオブジェクトを選択、⌘(Ctrl)+ A キーを押し、「回転」を選択して、オブジェクトの回転をリセットする。

オブジェクトの原点は移動、回転、拡大する際の基点ともなるので、正しい位置に設定しておこう。通常は、接地面の重心中央。

また、オブジェクトモードでオブジェクトを移動すると、原点はそれにともなって移動するが、編集モードで移動させると、原点はもとの位置に留まる。このため、それを意図するのでないかぎり、全体の移動は、オブジェクトモードで行ったほうがよいだろう。




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