見出し画像

blender 4.2 クロスシミュレーションでベッドを作る

インテリアシーンでは、椅子やテーブルなどにくらべて、不定形のかたちが多く、比較的リアルな造形がむつかしいのがベッドです。
ベッドのモデリングにはさまざまな方法がありますが、ここでは、おもにクロスシミュレーションを使った方法を紹介します。


環境 Blender 4.2.0 , Mac Mini M1 OS 14.4



01 シーツ


下の立方体、および、平面オブジェクトを追加する。長さは約 4 m 。

シミュレーションに関わるので、この後、作成したオブジェクトは、すべて、⌘(Ctrl)+ A > 全トランスフォームを適用する。

上はシーツ。下はベッド本体。

collision

ベッド本体に、物理演算プロパティ > コリジョン を適用。

摩擦 80。値を大きくすると、落ちてくる布が滑り落ちない。

cloth

上の平面オブジェクトはあらかじめ細分化する。

ここでは、80 x 60 に細分化。細かいほどシワなどが細かくなるが、動作は重いので適正値を。


物理演算プロパティ > クロス を適用。各値を調整。

プリセットは「絹」品質のステップ数 8 コリジョン > 品質 4
オブジェクトのコリジョン、セルフコリジョン 距離 0.005

Modifier

ソリッド化(幅 0.001)、および、サブディビジョンサーフェスモディファイアを適用する。

cloth モディファイアは必ず一番上に


simulation

デフォルトでは、スペースバーを押し、シミュレーションを開始する。停止も同じ。再度シミュレーションを始める場合は、最初のフレームまで巻き戻すのを忘れないこと。

画面下部 タイムラインエディターの各ボタンで巻き戻し等ができる
シーツオブジェクトには右クリックで「スムーズシェード」を適用している

調整

シーツの初期位置などを調整し、これだけで作ることもあるが、もうすこしリアルに調整したい。

  • タイムラインを最初のフレームに巻戻し、編集モードで下の頂点を選択。

  • データプロパティで、頂点グループに割り当てする。

+ ボタンを押し、任意の名前(ここでは PIN)に変更、割り当て をクリック

Pin Group

物理演算プロパティ > シェイプ > 固定グループに、上の頂点グループを指定。


Constraint

  • シーツとほぼ同じ幅で、新規平面オブジェクトを追加。

  • 編集モードで、下の2点を削除し、辺のみのオブジェクトとする。

オブジェクト名は「const」とした。⌘(Ctrl)+ A > 全トランスフォームを適用

Copy Location

  • シーツオブジェクトを選択、コンストレイントプロパティ > トランスフォーム > 「位置コピー 」を選択。

  • ターゲットに、上で作成した const オブジェクトを指定する。

simulation

  • シミュレーションを開始。 const オブジェクトを選択する。

以降、const オブジェクトの位置と、シーツの頂点グループが同調する。

シミュレーションがやや長めになるので、タイムラインの終了フレームをあらかじめ 500 と増やした。

const オブジェクトを G キーで移動。

引っ張って、寄せる
下ろす

適用

おおよそ形状ができあがったら、クロスモディファイア、および、コンストレイントを「適用」する。

完成

実際のベッドメーキング同様、慣れるまですこし時間がかかる。const オブジェクトはゆっくりと動かすのがコツ。


02 Futon


冬用の厚手の布団を作ってみる。シミュレーションの設定、流れは上とほぼ同じ。

  • シーツのときの平面オブジェクトのかわりに、下の立方体を追加する。

左の辺オブジェクトは、コンストレイント(const)

細分化 80 x 80 x 8 。下の頂点は、頂点グループ(PIN) 

モディファイアは、ソリッド化は適用せず、サブディビジョンサーフェスのみ。

物理演算 > クロス の設定は、01 シーツと同じだが、プリセットは「綿」とし、「圧力」をチェックした。

圧力は、1.0  値が多いほどおおきく膨らむ。

simulation

シミュレーションを開始する。圧力がかかっているので、膨張し厚みが出る。

01 シーツと同様に、コンストレイントオブジェクトを移動させ、適宜、形状を作る。

完成


03 Pillow


続いて、まくらを作る。

  • 下の形状のオブジェクトを追加する。

長さ 2.0 m

01 シーツ同様、下の辺に、頂点グループ(PIN)を適用する。

細分化 80 x 60 x 20

Cloth

  • 物理演算プロパティ > クロス を適用。重力は 0 に設定。

フィールドの重み はプロパティの最下段
  • 物理プロパティ > 圧力 を ここでは、3.0 に設定。

  • シェイプ > 固定グループに、上の PIN 頂点グループを指定。

圧力の強さは、オブジェクトのスケールによっても異なる。膨らむよう適宜調整する。

Modifier

サブディビジョンサーフェスモディファイアを適用。

Simulation

シミュレーションを開始する。

チュートリアルでもみかけるクッションができる。

Shrinking Factor

クロス > シェイプ > 収縮係数 を -0.05 に変更し、再シミュレーションする。

こまかいシワが出る。シワの強さは収縮係数の値で調整

完成

クロスモディファイアを「適用」。

若干形状を整えた。


04 Bed Throw


ベッドルームインテリアシーンなどでよくみかけるベッドスローを作る。

シミュレーションの設定、流れは、01 シーツ と同じ。手順の詳細については 01 シーツ を参照してください。

下の 3 オブジェクトを作成。下はコリジョン。上はコンストレイント。

中央の平面オブジェクトは高さ 2 m

中央の平面オブジェクトは、60 x 30 に細分化。上辺に頂点グループ(PIN)を設定した。

simulation

シミュレーションを開始。01 シーツ同様、コンストレイントオブジェクトを適宜移動させる。

引っ張って、たたむ。


完成

01 シーツ同様、クロスモディファイアと、コンストレイントを「適用」し、クロスブラシですこしシワを足した。

クロスブラシについては、Cloth Brush | クロスブラシ で紹介しています。


Render


上のすべてを組み合わせ、形状をやや調整し、レンダリング。

マテリアル適用後 cycles 8 seconds

かけ布団のシワがすこし物足りない感じなので、マテリアルでノイズテクスチャによる擬似的な細かいシワをいれてみる。

ノイズテクスチャをすこし引き伸ばして右下のような模様を作り、
ディスプレイスメントを経由して、ディスプレイスメントに接続 スケール 0.1


まとめ


物理演算による造形は、なかなか思い通りにいかず、それなりの練習と慣れが必要ですが、現実世界でも、きれいなベッドメーキングには技量が必要でしょう。
すこし練習し、なんどかトライするなかで、比較的リアルなモデリングができることも確かです。スカルプティングが苦手のかたなどはぜひ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?