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blender 4.2 + Adobe Firefly | はじめての生成 AI

これまで、生成 AI に対して、あまり前向きではありませんでしたが、いちど生成 AI でいったいなにを行えるのか試してみようと思います。
そこで、blender で作成したシンプルなインテリアシーンをベースにし、それを AI に処理させてみました。


環境 Blender 4.2.0 , Mac Mini M1 OS 14.4



Adobe Firefly


ここでは、Firefly のウェブアプリケーションを利用する。Adobe Firefly にアクセスし、Adobe のアカウント(無料)を作成、あるいは既存のアカウントでログインする。

Firefly は Adobe の開発した生成AI。他にもMidjourney や DALL·E 3 など多くのエンジンがあるが、それらに比べ、画面操作もわかりやすく、初心者には適していると思う。

トップページ「Fireflyで作成」から、生成画面を表示する。

プロンプトを入力し、「生成」をクリック

ここでは、midcentury livingroom とした。日本語でも問題ない。

Firefly の料金は、基本的には月100生成(クレジット)まで無料で、すでになんらかのAdobe プランを購読している場合は、プランによって無料生成数が増える。それ以上を生成する場合は、有料になる。

生成は数秒ほどで完成する。実際は 4 候補画像が生成される。
Firefly のイメージするミッドセンチュリーはこんな雰囲気らしい。


参照画像


このまま、プロンプトを増やし、より詳細な指示を与えてイメージに近づけていく方法も一般的かと思うが、それではblender の出番がないので、blender でレンダリングした画像を、「参照画像」として与え、構図等を指定してみる。

EEVEEによるレンダリング

以前 VR 用に作成したインテリアシーン。かんたんにライティングしたが、マテリアルはほぼ適用していない。

Firefly の左の設定画面の「合成」参照画像として上の画像をアップロードし、ふたたび生成する。

縦横比は「ワイドスクリーン」に変更
候補のひとつ。構図は比較的反映されている。

よくある AI 画像という印象が強いので、もう少し落ち着いたおとなの雰囲気が欲しい。設定をやや変更し、ふたたび生成を行った。

スタイル参照画像をレンブラント風に変更。カラーとトーンを「落ち着いたカラー」に
生成結果。なぜか巨大な観葉植物が出た。
「合成」の「強度」を100%に。参照画像の構成により近くなっている。

なお、かんたんにマテリアルを適用したレンダリング画像も試してみたが、ここでは、あまり違いが見られなかった。

こまかく見ると、ところどころ破綻した部分はあるが、全体としては悪くない。経年ですこし汚れた窓まで作り込まれ、これが、数秒で生成されることを考えると改めて驚かさせる。



バリエーション


生成 AI の便利な特長のひとつは、ごく短時間でさまざまなバリエーションを展開できることだろう。いくつかのプロンプトで試してみる。

「Japanese style modern living room」

blender画像の参照度は低いが、窓外の風景も和風で芸が細かい。

「Futuristic living room」

スタイル - 参照画像、および、カラーとトーン、を落ち着いたタイプに

「Modern interior for cafe」

色調フィルターまでそれらしくかかっている。

スタイル、色調などいくつかの設定変更は上述とほぼ同様。

上の 3 バリエーションを作成するのにかかった時間は 20 分足らず。ディテールを除けば、雰囲気としてほぼプロンプト通りの画像が生成された。

仕事として活用するのであれば、最終的な納品物というより、イメージのすりあわせに使うプレゼンテーション用の画像として便利だろうし、そのような使い方をしているプロもすでに多いだろう。

見ての通り、参照用のレンダリング画像は、参照強度を最大にしても、拘束力のないラフ画程度としか捉えられていないようで、パース的な構図はそれなりに維持されるが、家具もほとんど自由に入れ替わっている。このため、blender 側ではとくに作り込まなくても、現状では、プリミティブな立方体などで構成してもよいのかもしれない。

なお、3Dデータをそのまま AI で上のような処理を行ってくれる機能もリリース予定とのことで、あるいは、マテリアルやライトを当てなくても自動ですべてを処理してくれる、強力なレンダラーのような機能になる可能性もありそうだ。

なお、この記事を書くのに使ったクレジットは すべて合わせ、25 クレジットほど。


まとめ


生成 AI を使ったのは今回が初めてですが、それなりにクオリティも高く、とくに細部もきちんと作り込まれていて、すこし複雑な気持ちです。

たとえるならば、スキルも高く仕事も丁寧だが、指示をやや上の空で聞き、かなり自分勝手に作業を進めてしまうアシスタントさんを雇ったような感じでしょうか。

あるいは、おそらく不可避に、将来的には、blender にも AI が内蔵され、ほとんどそれが AI によって生成されているとは意識しないくらいに、新しいモディファイアのような機能として組み込まれていくのでしょう。

今後、AI とどのように付き合っていくのか、この記事を書きながらすこし考えさせられています。


思うに、このすこしもやもやした気持ちは、おそらく、自分より上手な存在に対する「嫉妬」なのでしょう。それがひとならば、かれらの才能や努力を認めるしかありませんが、これが機械となると、なんとなく微妙なのです。


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