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文系の blender 4.1 | インテリア ライティング
半年ほど前まで、blender に触れていない期間がすこし長く、その間、とくに cycles などレンダラーの性能が(思っていたよりも地味に)上がっていました。
そこで、すこしリハビリテーションも兼ねて、インテリアシーンのライティングの復習をしてみました。
ここでは、レンダリングはすべて cycles による。
環境 Blender 4.1.0 , Mac Mini M1 OS 14.4
モデル
モデル自体はかんたんな一部屋。下の窓から入る光が唯一の照明になる。
![](https://assets.st-note.com/img/1715408624322-fxuQEIuZWo.png?width=1200)
ガラスはリアルに厚みをつけ、伝播(Transmission)を 1.0 、粗さ(Roughness)を 0.0 とした。ただ、影ができてすこし暗いのを防ぐため、ライトパスノードで影は落とさないようにした。
![](https://assets.st-note.com/img/1715409041176-Nue713tkN7.png?width=1200)
影をつくるシャドウレイには透過BSDF(かんぜんな透明)だと認識させている。
屋外の風景は、後述のようにHDRIを使う方法もあるが、ここでは下のように昔からある手法をとった。
画像は、Poly Haven の Golf Course Sunrise 8K を使用。100MB以上とやや重たいので、JPGに変換(8MB)した。
![](https://assets.st-note.com/img/1715408521122-Zv36k9AhHJ.png?width=1200)
風景オブジェクトは当然光を遮るので、オブジェクトプロパティの「レイの可視性」で、影のみチェックを外した。影を落とさないようになる。
また、カメラが部屋の外に出ているが、同様にここでは邪魔になっている壁オブジェクトの、「カメラ」のチェックを外し、カメラに対してのみ透明(存在しない)とした。
![](https://assets.st-note.com/img/1715409608478-z842fKOAe3.jpg?width=1200)
どちらも、チェックが外された要素以外は有効。このため、右の壁はカメラに映らないだけで、光を遮る、鏡に映るなど、その以外の挙動は通常通り。
環境光
ワールドプロパティの、サーフェス項目、カラーを #FFFFFF、強さを 2.0 とした。
![](https://assets.st-note.com/img/1715408183766-zyFCWNJhc7.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1715992691576-adR1hPMb7C.png?width=1200)
すべての窓から光が入ると、ちょうど3点照明のキー、バックライトになり都合が良過ぎるので、ここではあえて背面はブラインドを下ろした。
すこし暗いが、渋めでとくに悪くはない印象だ。単色の環境光は、あまり強さを上げても背景が白トビするし、全体が不自然に明るくなり現実感が薄れる。
サンライト
上のシーンに、ライト > サン を設置し、太陽光を加えた。
![](https://assets.st-note.com/img/1715411257830-fEfvNpcNOV.jpg?width=1200)
角度は少ない方が影が明確になり、真昼の太陽光などに適している。なお、サンライトは回転のみ光の方向が反映される。
![](https://assets.st-note.com/img/1715411572490-mTIwqNDQvp.jpg?width=1200)
単色の環境のみに比べ、方向性のある太陽光が差し込み、自然な印象になった。
これも悪くはないのかも入れないが、環境光、太陽光ともに単色で、外からの風景からの色合いは反映されず、すこし単調な印象も否めない。
その場合、画像を環境光として利用できる HDRI が便利だ。
HDRI
HDRI 画像は、上記で背景として利用した画像と同じだが、2K を使用した。
HDRI の具体的な詳細については、HDRI照明 を参照してください。
![](https://assets.st-note.com/img/1715412359399-lZGBz3sxvw.png?width=1200)
上記の風景オブジェクトは外し、HDRI をそのまま窓のそとの風景としても利用できるが、高細密な HDRI はサイズも大きめで負担も大きく、また、光源の方向と、窓からみえる風景が必ずしも合わないこともあるので、ここでは、サイズの小さい 2K を、ライトとしてのみ利用した。
シェーダーエディタで、「ワールド」を選択、「ノードに使用」をチェックする。中央は、テクスチャ > 環境テクスチャに、上記 HDRI ファイルを指定。
![](https://assets.st-note.com/img/1715412992132-AVo1u5z60W.jpg?width=1200)
マッピングノードの 回転 Z を光源が窓から入るよう調整した。
HDRI 画像の中央が太陽で、サンライトの代わりにもなるので、上記で設置した サン は無効にする。
![](https://assets.st-note.com/img/1715413432643-3l9l5ocrx0.jpg?width=1200)
HDRI の色合いが環境光に反映され、全体として暖色系の光が差し込み、窓からの風景と合っている。
ただ、すこし全体として光が回りすぎている感じなので、レンダープロパティの「カラーマネージメント」で調整を行う。
カラーマネージメント
カラーマネージメントは、明るさや色合いなどをポストプロダクト的に調整できる機能。ここでの変更は、再レンダリングを行う必要がない。
![](https://assets.st-note.com/img/1715415147483-NwHYnigcqu.jpg?width=1200)
全体的にやや明るめ、陰影を強くするため、コントラストを強めに設定した。
![](https://assets.st-note.com/img/1715414779515-Cey13HIx4j.jpg?width=1200)
HDRI を真昼の青空に変更。
![](https://assets.st-note.com/img/1715476690363-qDv8EQdPgN.png?width=1200)
HDRI を夕暮れどきに変更。
![](https://assets.st-note.com/img/1715478502135-gMYZjHHn9f.png?width=1200)
HDRI 使用の場合、ファイルを変更するだけで、さまざまなシチュエーションを手軽に設定できるのが利点だ。
まとめ
わたしが比較的熱心に、建築系レンダリングを取り組んだすこし前には、部屋の中に生じるノイズとの戦いがメインテーマだったような気がするのですが、現在は、普通にレンダリングしても、あまり派手なノイズは生じないようです。
ライティングが難しいのはおそらく今後も変わりませんが、以前よりもシンプルにできそうです。
上では比較的まっとうなライトを当てていますが、以前、家具メーカーカタログ用の、インテリア撮影プロセス動画をみたことがあります。
そこでは、部屋のあちこちで、この家具には光が足りないとみると、そのたびにスタッフが照明器具をもって駆けつけ照らします。
当然スタッフも映るわけですが、もちろん後でかれらだけ消去します。そんなことを繰り返し、合成し、もちろん画像加工を幾重にも加え、その果てにカタログで見る美麗な写真は出来上がっています。
映画もそうですが、普段見慣れて、きれいな絵だ、で終わる画像も、そういった涙ぐましい努力の結晶です。われわれがどんなに努力(ちょっとインチキな加工)をしてもしすぎることはないでしょう。