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blender 4.2 Smoke Simulation | 煙をシミュレートする
blender のシミュレーション機能のひとつに、煙を発生させる Smoke Simulation があります。スモークを発生させることじたいは簡単ですが、設定項目も多く、それらの値しだいで様子も大きく変化します。
ここでは、主要な設定項目の働きと、2つの実例を紹介します。
環境 Blender 4.2.0 , Mac Mini M1 OS 14.4
Smoke Simulation では、スモークを発生させるオブジェクトと、それを囲む領域、ドメイン(Smoke Domain)の、2つの物理演算プロパティで煙を制御する。
基本
スモークを発生させる平面の円オブジェクトを作成した。
あまり複雑な形状だとシミュレーションに負担がかかるが、基本的にはどのような形状のオブジェクトでもよい。
![](https://assets.st-note.com/img/1725944102-wuAUzac8nxDYLM0l1FS32vob.png?width=1200)
オブジェクトモードで、上の円を選択し、オブジェクト > クイックエフェクト > クイック煙 を選択する。
![](https://assets.st-note.com/img/1725944553-jfWlLpKdvTikMFnoacJ1zu9w.png?width=1200)
外側にドメイン(Smoke Domain)と呼ばれる領域が作成される。
スペースバーを押し、シミュレーションを開始する。停止も同じ。再度シミュレーションを始める場合は、最初のフレームまで巻き戻すのを忘れないこと。
![](https://assets.st-note.com/img/1725944713-hmjU8b3wraACnkFcZ1Ngt2SI.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1725944910-3wfzBEmic0u7VtbHGAg21rW6.png?width=1200)
ドメイン内で、円オブジェクトから煙が発生する。
設定
煙のカスタマイズは、上の円オブジェクト(Circle)と、ドメイン(Smoke Domain)の物理演算プロパティ各値を調整して行う。主要な設定値についてそれぞれ確認する。
![](https://assets.st-note.com/img/1725945505-Lv2tbT5cfqBlNWZJOir0deaj.png?width=1200)
ドメイン Smoke Domain
分割の解像度(Resolution)
![](https://assets.st-note.com/img/1725946096-YyxWBGJKREHe85dzmhft2CUb.png?width=1200)
ただし、大きいほどシミュレーションに負担がかかる。PC の性能によるだろう。以降、解像度は 64 とした。
気体(Gas)- 密度の浮力(Buoyancy Density)、ヒート(Buoyancy Heat)、渦度(Vorticity)
密度の浮力、および、ヒートは、値が大きいほどスモークの上昇が速くなり、マイナスの値ならば、スモークは下降する。
![](https://assets.st-note.com/img/1725947898-tUwOvrR5EM82KF7zIJmbA4S1.png?width=1200)
ヒートにマイナスの値を与えたためスモークが下降している。また、渦度をやや与えたので渦状の乱れが生じる。
気体(Gas)- ノイズ(Noise)
![](https://assets.st-note.com/img/1725950419-q4bP6hZ23BV7Cr1fimFDYsLc.png?width=1200)
ボーダーコリジョン(Border Collision)
![](https://assets.st-note.com/img/1725948218-fvGrgMF2Y13JHy0kLoPlja7u.png?width=1200)
デフォルトでは、スモークの大部分はドメインを素通りするが、チェックを入れることにより、ドメイン領域の影響を大きく受ける。
発生オブジェクト
煙を発生させている円オブジェクトの物理演算プロパティ。
初期速度(Initial Velocity)
![](https://assets.st-note.com/img/1725949078-rmvBH54sjLhfZ8azou6FTW9w.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1725949349-3AktGCDglf5UPmip149XOorw.png?width=1200)
軸方向や、オブジェクトの面の向きによって、スモークの方向に変化をつけることができる。
テクスチャ(Texture)
![](https://assets.st-note.com/img/1725949937-efrCWYMEOwXiLatGz2sIkZm9.png?width=1200)
下準備として、テクスチャプロパティで上のようなテクスチャを作成する。
![](https://assets.st-note.com/img/1725950003-k7SWUGCjE6JybLHQcXiD4r23.png?width=1200)
テクスチャの模様にしたがって、煙の濃淡を表現することができる。
Force Field
さらに、フォースフィールドを加えることで、風や乱気流のような影響を加えることができる。
ここでは、Shift + A > フォースフィールド > 乱流(Turbulence)を、円オブジェクトの真下に加えた。
![](https://assets.st-note.com/img/1725951328-zrn7bRmyJM9gGALNvChDwaK0.png?width=1200)
基本的なスモークは、上記の設定値と、別途フォースフィールドによるプラスアルファで表現できるだろう。
セットアップ
コーヒー
コーヒーの湯気に応用してみる。下はかんたんなセットアップ。左からやや強めのエリアライトを当てた。
![](https://assets.st-note.com/img/1725954078-cTY2hmIknbwqtigU83ESLBVo.png?width=1200)
コーヒーカップオブジェクトには、物理演算プロパティ > 流体 を適用し、タイプを「エフェクター」「コリジョン」とする。スモークを遮るようになる。
![](https://assets.st-note.com/img/1725954855-jRL1BQWrV9liDISZdo3zCY2q.png?width=1200)
デフォルトから、上記の「テクスチャ」を適用、カップの中に「乱流」フォースフィールドを設置した。
![](https://assets.st-note.com/img/1725955325-2RWuoXvrs8Ke61OEBFSPNtxa.png?width=1200)
湯気というよりは発煙筒になっているので、調整する。
Volume Material
スモークのマテリアルは、ドメイン「Smoke Domain」のプリンシプルボリュームで調整。
![](https://assets.st-note.com/img/1725955446-npLUTXhZvNj7SFY8zxyqac5b.png?width=1200)
あらかじめプリンシプルボリュームが設定されている。
プリンシプルボリュームの「密度」をここでは 1.0 と下げた。
![](https://assets.st-note.com/img/1725955661-h5UOHf1A42JEClqLRmNxinut.png?width=1200)
湯気には近くなったが、もうすこし表情をつけたい。ノイズテクスチャにより、密度に変化を加えてみた。
![](https://assets.st-note.com/img/1725958016-moBXUgMFksyHj8SvrQJcxG5C.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1725957237-RUFlB8yK9HbPrS3ImQaZwfhD.png?width=1200)
下は作成したノイズテクスチャ。「畝のあるマルチフラクタル」で模様を作り、カラーランプノードで極端にコントラストを上げ、範囲マッピングノードで、0.4〜2.0 までの値をボリュームの密度に適用している。白いエリアが密度 2 に近く、グレイは 0.4に近い。
![](https://assets.st-note.com/img/1725957441-KSmGaU2PoVN3FEWgzjev5CrM.png?width=1200)
ドライアイス
![](https://assets.st-note.com/img/1726193899-zAM98VH6QK4FN30BCaiubcRo.png?width=1200)
設定は上のコーヒーとほぼ同じ。ただし、 密度の浮力(Buoyancy Density)を マイナス 2.0、ヒート(Buoyancy Heat)を、マイナス 5.0 とした。スモークがやや上昇した後、下降する。
また、ボーダーコリジョン(Border Collision)「下」(底)にチェックを入れた。
![](https://assets.st-note.com/img/1726194332-a7ZBfNEFLjtOJwURiISTv9MV.png?width=1200)
まとめ
なかなか思うようなかたちにまとまらないのは、物理シミュレーションの宿命というべきですが、煙はもちろん、蒸気、霧、雲、水中のインク状の液体などにも応用できます。参考になれば幸いです。
ドライアイスのトリビア
ドライアイスは二酸化炭素。空気より約1.5倍重い。温度はマイナス70〜80度ほど。気化すると容積が1,000倍にもなり、扱いを間違えると容器の破裂、窒息など命にかかわる。また、気化した二酸化酸素ガスは無色透明なので、煙のように白く見えるのは、瞬間的に凍った空気の粒(コロイド)のせいだとのこと。