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blender 4.2 Smoke Simulation | 煙をシミュレートする

blender のシミュレーション機能のひとつに、煙を発生させる Smoke Simulation があります。スモークを発生させることじたいは簡単ですが、設定項目も多く、それらの値しだいで様子も大きく変化します。
ここでは、主要な設定項目の働きと、2つの実例を紹介します。


環境 Blender 4.2.0 , Mac Mini M1 OS 14.4



Smoke Simulation では、スモークを発生させるオブジェクトと、それを囲む領域、ドメイン(Smoke Domain)の、2つの物理演算プロパティで煙を制御する。

基本


スモークを発生させる平面の円オブジェクトを作成した。

あまり複雑な形状だとシミュレーションに負担がかかるが、基本的にはどのような形状のオブジェクトでもよい。

オブジェクトモードで、上の円を選択し、オブジェクト >  クイックエフェクト > クイック煙 を選択する。

ドメインは適宜、大きさ等を変更する

外側にドメイン(Smoke Domain)と呼ばれる領域が作成される。

スペースバーを押し、シミュレーションを開始する。停止も同じ。再度シミュレーションを始める場合は、最初のフレームまで巻き戻すのを忘れないこと。

画面下部 タイムラインエディターの各ボタンで巻き戻し等ができる

ドメイン内で、円オブジェクトから煙が発生する。


設定


煙のカスタマイズは、上の円オブジェクト(Circle)と、ドメイン(Smoke Domain)の物理演算プロパティ各値を調整して行う。主要な設定値についてそれぞれ確認する。

物理演算プロパティ。基本的な設定は自動的に適用されている


ドメイン Smoke Domain

分割の解像度(Resolution)

32 96 大きいほどスモークが細密になる

ただし、大きいほどシミュレーションに負担がかかる。PC の性能によるだろう。以降、解像度は 64 とした。

気体(Gas)- 密度の浮力(Buoyancy Density)、ヒート(Buoyancy Heat)、渦度(Vorticity)

密度の浮力、および、ヒートは、値が大きいほどスモークの上昇が速くなり、マイナスの値ならば、スモークは下降する。

ヒート マイナス 5.0 右 渦度 0.1

ヒートにマイナスの値を与えたためスモークが下降している。また、渦度をやや与えたので渦状の乱れが生じる。

気体(Gas)- ノイズ(Noise)

右 ノイズにチェック。渦度同様の乱れが生じる


ボーダーコリジョン(Border Collision)

ボーダーコリジョン「下」(底)をチェック

デフォルトでは、スモークの大部分はドメインを素通りするが、チェックを入れることにより、ドメイン領域の影響を大きく受ける。


発生オブジェクト

煙を発生させている円オブジェクトの物理演算プロパティ。

初期速度(Initial Velocity)

ここでは初期 Y を 1 m/s とした。Y方向にスモークが流れる
円オブジェクトの表面にランダムに凹凸をつけた。右 ノーマル 1.0

軸方向や、オブジェクトの面の向きによって、スモークの方向に変化をつけることができる。


テクスチャ(Texture)

下準備として、テクスチャプロパティで上のようなテクスチャを作成する。

右 「テクスチャ」にチェックを入れ、テクスチャに上の「Texture」を指定

テクスチャの模様にしたがって、煙の濃淡を表現することができる。


Force Field


さらに、フォースフィールドを加えることで、風や乱気流のような影響を加えることができる。

ここでは、Shift + A > フォースフィールド > 乱流(Turbulence)を、円オブジェクトの真下に加えた。

乱流により、スモークがおおきく乱れる。


基本的なスモークは、上記の設定値と、別途フォースフィールドによるプラスアルファで表現できるだろう。


セットアップ


コーヒー

コーヒーの湯気に応用してみる。下はかんたんなセットアップ。左からやや強めのエリアライトを当てた。

コーヒーカップオブジェクトには、物理演算プロパティ > 流体 を適用し、タイプを「エフェクター」「コリジョン」とする。スモークを遮るようになる。

表面の厚さはここでは 1.0 とした。

デフォルトから、上記の「テクスチャ」を適用、カップの中に「乱流」フォースフィールドを設置した。

cycles によるレンダリング

湯気というよりは発煙筒になっているので、調整する。

Volume Material

スモークのマテリアルは、ドメイン「Smoke Domain」のプリンシプルボリュームで調整。

シェーダーエディター。クイックエフェクトでスモークを設定した場合は
あらかじめプリンシプルボリュームが設定されている。

プリンシプルボリュームの「密度」をここでは 1.0 と下げた。

湯気には近くなったが、もうすこし表情をつけたい。ノイズテクスチャにより、密度に変化を加えてみた。

ちょっと大げさに
マテリアル全体

下は作成したノイズテクスチャ。「畝のあるマルチフラクタル」で模様を作り、カラーランプノードで極端にコントラストを上げ、範囲マッピングノードで、0.4〜2.0 までの値をボリュームの密度に適用している。白いエリアが密度 2 に近く、グレイは 0.4に近い。

上はノイズテクスチャのプレビュー



ドライアイス


設定は上のコーヒーとほぼ同じ。ただし、 密度の浮力(Buoyancy Density)を マイナス 2.0、ヒート(Buoyancy Heat)を、マイナス 5.0 とした。スモークがやや上昇した後、下降する。

また、ボーダーコリジョン(Border Collision)「下」(底)にチェックを入れた。

背景光は100%ゼロ。左からのエリアライト一灯のみ。床も黒。



まとめ


なかなか思うようなかたちにまとまらないのは、物理シミュレーションの宿命というべきですが、煙はもちろん、蒸気、霧、雲、水中のインク状の液体などにも応用できます。参考になれば幸いです。


ドライアイスのトリビア
ドライアイスは二酸化炭素。空気より約1.5倍重い。温度はマイナス70〜80度ほど。気化すると容積が1,000倍にもなり、扱いを間違えると容器の破裂、窒息など命にかかわる。また、気化した二酸化酸素ガスは無色透明なので、煙のように白く見えるのは、瞬間的に凍った空気の粒(コロイド)のせいだとのこと。





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