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blender 4.2 モディファイア 詳説 - Mirror ミラー

使用頻度の高いモディファイアから、可能なかぎり、すべてのオプション、機能を整理しています。今回はミラーモディファイア。だれもが使っているけれど、おそらくオプションのすべてを知らずに済ませていることが多いのではないでしょうか。


環境 Blender 4.2.0 , Mac Mini M1 OS 14.4



Axis - 座標軸


ミラーモディファイアは、オブジェクトの鏡像のようなコピーを作成する機能。もっとも基本的な使い方は、オブジェクトの原点を軸にミラーリングするパターンだ。

下のようなオブジェクトを作成し、編集モードで移動させ、原点をオブジェクトから離れた位置へ設定する。

念のため、オブジェクトには、⌘(Ctrl)+ A > 回転・スケールを実行する。

ミラーリングは、オブジェクトの原点を軸に作成される。このため、通常のように原点がオブジェクトの中心にある場合はみための変化は起こらない。
また、回転・スケールはあらかじめリセットしておいたほうが後のトラブルが少ない。

ミラーモディファイアを適用する。

X 軸を基点にミラーリングされる。
座標軸 Y にチェック。X および Y 軸を基点にミラーリング。
座標軸 Z にチェック。X , Y および Z 軸を基点にミラーリング。


Bisect - 二分割


ミラーリングにより、オブジェクトどうしが重なった場合、その重なっている部分を削除し統合、あるいは、重なっている部分のみ取り出す。

左 重なっている部分を消去し統合 右 重なっている部分のみ取り出す

二分割はすこし誤訳ぎみで、この場合、Bisect は「交差」の方が正しく、誤解が少ないと思う。

平面円オブジェクを単にミラーリングさせた場合。重なっているだけ。
二分割をON。重なっている部分のみ抽出される。
逆転をON。重なっている部分は消去され統合される。

あまり使われない機能かと思うし、形状によってはジオメトリが荒れることもあるが、自動的に重なりを接合したい場合などには便利だろう。

ビューポートオーバーレイ。ワイヤーフレーム ON

なお、モディファイアの「適用」後のジオメトリを確認するため、ワイヤーフレームオーバーレイをONにしている。下のクリッピングやマージも同様。

Bisect Distance - 分割平面との距離

二分割が有効になっている場合、重なりの影響を与える距離を指定できる。

二分割、逆転をON。分割平面との距離 0,001
分割平面との距離 左 0.2 m  右 0.3 m


Mirror Object - ミラーオブジェクト


ミラーの基点をオブジェクトの原点ではなく、別のオブジェクトを指定できる。

通常のミラーリング。オブジェクト原点が中心なので変化がない。
オブジェクト右にエンプティ > 十字 を設置。ミラーオブジェクトに指定した。


Clipping - クリッピング


ミラーリングにより重複する頂点を自動で接合する。

やや不規則な辺を持つオブジェクトをミラーリング。クリッピングをチェック
編集モードでオリジナルをここでは X 軸に移動。自動で接合される。


Merge - マージ


ミラーリングにより、近接する頂点を、その距離によって接合する。

横幅 1 m のやや不均一な辺を持つ平面をミラーリング。マージの距離は 0.001 m
マージ距離 左 0.12 m  右 0.15 m

上の場合は、距離 0.12、0.15 m 以内で近接する頂点がひとつに接合されている。ただし、上のような単純な形状ではない場合は、接合する辺はあらかじめ直線的に整えておいたほうがトラブルは少ない。
たとえば、上の場合、不規則な辺をすべて選択し、S X 0(ゼロ)キーで、X 軸に揃える。


Data - データ


UV または、頂点グループに関する設定、調整を行うことができる。

X, Y 軸にミラーした平面円オブジェクト。UVは左のように設定。
ミラー U にチェック。UV が X 軸にスライドしている。
ミラー V にチェック。UV が Y 軸にスライドしている。

オフセット U および オフセット V はそれぞれ、UV 位置の調整。

Vertex Groups - 頂点グループ

ミラーリングする側に別途、オリジナルの頂点グループの反転コピーを作成できる。

オリジナルの平面オブジェクトに、頂点グループを作成し左のように割り当てた。

オリジナル側の頂点グループは Group.L(or .Left)とし、ミラー側用に手動で Group.R(or .Right)グループを作成した。(ミラー側は割り当てはしない)

ウェイトペインモード。Group.R にオリジナルの頂点グループが対称で作成されている

通常は頂点グループも同時にミラーリングされるが、ミラー側の頂点グループも別途に作成できるということなのだろう。キャラクターボーンと服などのオブジェクトをウェイトペイントで同期させる場合などに必要とされる用途があるのかもしれない。

UDIMを反転 は、UDIM UV を使用している場合、その反転ができる。BlenderでUDIMを設定する方法

参考


まとめ


とくに工業製品などは、左右対称であることが多いので、作業の省力化には欠かせないモディファイアですが、80%くらいの方は、座標軸でのミラーと、マージだけで作業を済ませているのではないでしょか。
それでも十分有用な機能ですが、ほかの機能も知っておくとより便利でしょう。わたしも、ミラーオブジェクトやクリッピング機能は比較的最近になって知りました。参考まで。


ミラーモディファイアはとくに「マージ」がすこしトリッキーで、モディファイアを適用したあとになって、きちんと接合されていなかったことをよく発見します。AI 機能かなにかで、あそことここが閉じてないよ、などの警告が出てくれると嬉しいのですが。

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