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blender 4.2 身近なマテリアル小図鑑

周囲にあるモノの質感、マテリアルは、その色、ざらつきなめらかさ、凹凸、透明感、の 4 要素でおおよそ表現することができるように思います。blender では、ベースカラー、粗さ、ノーマル、伝播、サブサーフェスなどの各値です。

ここでは、それらを組み合わせ、どこにでもある身近なモノのマテリアルを並べてみました。


環境 Blender 4.2.0 , Mac Mini M1 OS 14.4


作成したマテリアルは下のファイルに保存しました。シェーダーエディターでの確認用などに利用してください。なお、記事の最後にアセットライブラリに登録する方法も付記しました。

以下、すべて、ベースカラー以外、デフォルトから変更した値のみ付記します。それぞれの詳細については、上のファイルを参照してください。


01. Plastic


プラスチック、陶器など。適用範囲の広いマテリアル。

粗さ 0.2
粗さ 0.2 サブサーフェス(ランダムウォーク)0.5
粗さ 0.0 IOR 1.7
粗さ 0.5 伝播 ウェイト 1.0


02. Metal


金属。下のすべてで、メタリック 1.0、粗さ 0.2 は共通。

コート ウェイト 1.0 チント オレンジ(#FFBB07)
ノイズテクスチャ - バンプ により起伏をランダムに変化。
ノイズテクスチャ - 粗さ により粗さをランダムに変化。


03. Glass


伝播(Transmission)を適用したガラスマテリアル。

粗さ 0.0 伝播ウェイト 1.0
粗さ 0.0 伝播ウェイト 0.7
粗さ 0.8 伝播ウェイト 1.0
粗さ 0.0 伝播ウェイト 1.0
ノイズテクスチャ - バンプ により起伏をランダムに変化。



04. Wood


木材系。おもにテクスチャによるベースカラーと起伏で表現。

ノイズテクスチャによるベースカラー。粗さ 0.5
同ベースカラー(暗め)。粗さ 0.2
同ベースカラー 粗さ 0.5
ディスプレイスメントテクスチャ画像を、バンプに適用。強さ 0.4


同ベースカラー(暗め)。粗さ 0.5
上に加え、同テクスチャ画像を、ディスプレイスメントに適用。スケール 0.002
(マテリアルプロパティ > 設定 > サーフェス > ディフューズとバンプ を選択)



05. Liquid


液体、透明な固体など。

粗さ 0.0 IOR 1.33 伝播ウェイト 1.0
粗さ 0.0 IOR 1.33 伝播ウェイト 0.5 サブサーフェス(ランダムウォーク)ウェイト 1.0
粗さ 0.0 IOR 1.33 伝播ウェイト 0.5 シーン( ウェイト 1.0 粗さ 0.5 )
同上 ただしノーマルが逆
※物理的には不正と思われるが、おもしろい表情になる。
粗さ 0.0 IOR 1.33 伝播ウェイト 1.0 放射 強さ 0.2

ガラスマテリアルで、あえてノーマルを逆にすると、ガラスのコップのなかの液体(ガラスマテリアル)などで、ノーマルが正しい場合よりもよい結果が得られることがある。ガラスのなかのガラスなどのノーマルを反転させることが物理的に間違っているのかどうかは現状でよくわかっていない。あえておもしろい効果を出したい、などの場合はよしとしてよいだろう。



06. Translucent


微妙に半透明系のマテリアル。ジェルやゴムなど。

粗さ 0.2 サブサーフェス(ランダムウォーク)ウェイト 1.0
粗さ 0.1 サブサーフェス(ランダムウォーク)ウェイト 1.0 コート ウェイト 1.0
上に加え、ノイズテクスチャにより、0〜0.2 の強さの放射をランダムに適用
上に加え、伝播 ウェイト 1.0

サブサーフェスの散乱光カラーは、「半径(Radius)」で設定する。上から、R , G , B 。カラーセレクターのRGBで参照できる。上はグリーン。


07. Fabric


布、紙などのマテリアル。

粗さ 1.0 布画像をベースカラーに、同ディスプレイスメント画像をバンプに適用
同上。加えて、シーン ウェイト 1.0
粗さ 1.0 ノイズテクスチャ画像を、アルファに適用
粗さ 1.0 ボロノイ + ノイズテクスチャ画像を、アルファに適用
粗さ 0.5 伝播 ウェイト 1.0
ノイズテクスチャをバンプ、および、ディスプレイスメントに適用。
(マテリアルプロパティ > 設定 > サーフェス > ディスプレイメントとバンプ を選択)


布などの細かい模様や起伏は、デノイズ(ノイズ除去)機能にノイズと判断され、消去されてしまうことがある。その場合は、レンダープロパティの「デノイズ」をOFFにする。ただし、当然、画像全体のノイズは増えるので、時間はかかるが、ノイズしきい値は低めに、サンプル数は多めに設定する。



アセットライブラリへの追加

記事冒頭のファイルをダウンロードし、アセットライブラリへ追加できる。

  • 既存のファイルを開き、編集 > プリファレンス を選択し、「ファイルパス」を表示。

  • アセットライブラリの + ボタンを押し、ダウンロードした「MaterialSamples」フォルダを指定。

  • いずれかのウィンドウを「アセットブラウザ」に。

  • プルダウンを「MaterialSamples」へ変更。

既存のオブジェクトを選択し、アセットのアイコンをドラッグ&ドロップで適用できる。



まとめ


あらためて周囲を見渡してみても、上のマテリアルから、ベースカラーを変更したりテクスチャを貼ったり、各値を調整することで、ほぼすべてのモノの質感を表現できるのではないでしょうか。参考になれば幸いです。



戦争前にはすでに建っていたというひどく古い家に住んでいます。幕末や明治のころにやってきた外国人が「日本の家は紙と木でできている」と驚いたそうですが、たしかにその認識で間違いないと思います。

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