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愛が濃すぎた前項を少し反省

 前項では、何やらローン・ジャスティスの新作「VIVA LONE JUSTICE」の悪口大会みたいになってしまったが、それはこの愛しき名前の人たちに対して、私自身の期待が強すぎたせいではないか、愛が濃すぎたせいではないかと、少し反省して本稿を書いている。

VIVA LONE JUSTICE
https://www.qobuz.com/jp-ja/album/viva-lone-justice-lone-justice/txx01s1wxmkfa

CDも発売中
AFAR RECORDS AFAR007CD

■往年を彷彿させるトラックもある

 改めてじっくり冷静に新作を聴いてみたら、私が「緩く穏やか」と感じたのは、若い頃より若干テンポが遅く、食いつくような鋭いアタックを聴かせない曲が多くなったからと推測される。

■ライブで何より生きるローン・ジャスティス

 しかし、シングルカットもされている4曲目「Teenage Kicks」や、6曲目のライブテイク「Nothing Can Stop My Loving You」など、アップテンポの曲はしっかり往年の片鱗を聴かせるし、何よりライブのパフォーマンスが失われていないことに安堵するというか、やっぱりこの人たちの音楽はライブで映えるのだなと再認識した。今も探せるか分からないが、YouTubeで「Soap, Soup and Salvation」のライブを見た時は、CDに収まり切れない彼らの、そして何よりマリアの底知れぬパワーに痺れたものだ。

 一度彼らのライブを生で見ておきたかったとつくづく思うが、もう今から来日公演は望み薄だし、ならば現地でと希望しても、あの物価ではとても普通に観光で訪れることがままならない。この30年で、日本はずいぶん貧乏になっちゃったからね。30年分の日本人の手取りを取り戻してくれる政治の実現を、心より待ちたい。

■へぇ、ロス出身だったのか

 おっと、話があらぬ方向へ飛んでしまった。話を元に戻すと、緩いテンポの作品群も、聴きようによっては心にしみる。もちろんアメリカをさほどよく知るわけではないが、真面目に働いて週末を神に祈りつつささやかに楽しむ、古典的なアメリカ人の姿が活写されているように感じさせるのだ。

 こういう楽想だから、ローン・ジャスティスは漠然とテキサスとかそちら側、米中南部辺りの出身かと思っていたら、調べてみるとロサンゼルス出身なので驚いた。UCLAやらシリコンバレーやらでハイテク・シティの印象が強いあの界隈も、ああいう音楽を生む土壌が息づいているのだなと実感する。

 21歳の頃ほどの恋い焦がれようではないものの、「VIVA LONE JUSTICE」は大切に聴き続け、次回作の登場も気長に待ってみようと思う。長い空白はあったけれど、曲がりなりにも"一緒に年を取った"アーティストだしね。

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