炭山アキラ

自作派オーディオライターとして、音元出版や音楽之友社で試聴記事並びにスピーカー工作記事を執筆しています。2024年2月に閉局した衛星ラジオのミュージックバードで、オーディオみじんここと荒川敬さんと一緒に、「オーディオ実験工房」という番組のパーソナリティを、まる9年間務めました。

炭山アキラ

自作派オーディオライターとして、音元出版や音楽之友社で試聴記事並びにスピーカー工作記事を執筆しています。2024年2月に閉局した衛星ラジオのミュージックバードで、オーディオみじんここと荒川敬さんと一緒に、「オーディオ実験工房」という番組のパーソナリティを、まる9年間務めました。

最近の記事

システム更新後に音はどう変わった?

■「良くなって当たり前」の2024年  2024年は、わがマルチアンプ4ウェイ「ホーム・タワー」にとって猛烈な飛躍の年だった。それはそうだろう。1万円チャンネルデバイダー2台とムック本の付録バス・チャンデバによってクロスオーバーを構成し、ミッドハイとトゥイーターをこちらも1万円台のミニPWMアンプで鳴らしていたところへ、突然アキュフェーズのデジタル・チャンデバとパワーアンプ2台が実装されたのだ。そんなもの、何百倍良くなっても別段驚くようなことではないし、私の手柄でもない。

    • Qobuz降臨! 第一印象は?

      ■待ちに待ったQobuzがやっと国内導入!  首を長くして待つこと久しかったハイレゾ・ストリーミングのQobuzが、ようやくこの10月本格ローンチとなった。e-onkyoのユーザーはアカウントをそのまま引き継げるというので即座に引き継ぎ、1億曲ともいわれる楽曲の大海へ帆をかけ、乗り出しているところである。  今の仕事を始める前、雑誌で編集を始めた時に「飯代に困っても本代とCD代はケチらない」と心に決めてやってきた。おかげで1990~2000年代初頭くらいのCDは結構な数が

      • 実力機がそろう10万円台の新たな有望株

        ■オーディテクニカはプレーヤーでも世界有数!?  これは人づてに聞いた噂話だから、真偽のほどは分からない、ということを最初にお断りしなければならないが、ヘッドホンとレコード・カートリッジで世界のトップシェアを持つオーディオテクニカは、いつの間にかレコードプレーヤーでも世界有数の生産量になっているというのだ。  もともと同社は、20世紀の昔から結構な量のプレーヤーを発売していた。しかし、その大半は廉価で手軽なジャケットサイズ・フルオートタイプだったりもしたし、本格的にマニア

        • さらに凄みを増した"究極"発電回路

          ■オーディオテクニカの"粋"、EXCELLENCE  オーディオテクニカが同社の技術と哲学の粋を結集して創り上げる、EXCELLENCEという名が冠されたシリーズがある。長くその中核をなしてきたのが、MCカートリッジのAT-ART1000である。 ■心臓を撃ち抜かれるような音!  2016年の発売当時、雑誌の試聴で聴き、また当時パーソナリティを担当していた衛星ラジオ・ミュージックバードの「オーディオ実験工房」で、開発エンジニアへ話を伺いながら音を鳴らした。その時の感動、

          4ウェイの接続をXLR化する

          ■何かと複雑なマルチアンプの接続だが……  2種類が稼働しているわが家のリファレンス・スピーカーだが、プリアンプのアキュフェーズC-2300からXLRプリアウトをパワーアンプの同社P-4100に接続し、SPEAKER Aへバックロードホーン(BH)をつないで鳴らしているのが第1系統となる。  一方、マルチアンプ4ウェイはRCAプリアウトからチャンネルデバイダーへ接続し、そのまま各帯域のアウトもRCAで4台のパワーアンプへ導いてきた。  ちなみに、4ウェイのウーファー部は

          4ウェイの接続をXLR化する

          最高峰に肉薄する"デキる弟"

          ■ATH-ADX5000のお蔭です  今年の初夏頃に事情あって犬を引き取ることになったものだから、スピーカーで大きな音を鳴らさねばならない取材では、犬をペットサロンへ預けねばならない日々が続いている。日帰りなら結構格安で預かってくれるサロンを見つけて利用しているのだが、あまり使えば懐具合も厳しいし、何より愛犬にも申し訳が立たない。ただでさえ、出張時はもちろんのこと、サロンの閉店する午後7時までに戻れない日は、1泊で預けざるを得ないのだ。 思いがけず始まった犬とヘッドホンと

          最高峰に肉薄する"デキる弟"

          武骨な外観に骨太のサウンド

           フォステクスから、久しぶりに完成品スピーカーシステムが発売になった。といっても業務用のモニター・スピーカーで、16cm2ウェイという現在の標準からするとかなり大ぶりのブックシェルフ型である。 ■ハイテク振動板を採用したユニット  このNF06、ウーファーは、ベースとなる層に木材パルプと非木材パルプを最適な比率で組み合わせた素材を用い、その上にカーボンファイバーやPBO(ポリパラフェニレン・ベンゾビス・オキサゾール)繊維、木材パルプの内部に多孔質の岩石に近い結晶を生成させ

          武骨な外観に骨太のサウンド

          DF-65がやってきた♪

           アキュフェーズのデジタル・チャンネルデバイダーDF-75を使って、わが家の4ウェイ「ホーム・タワー」をガンガン調教してきたが、さすがに税込みで100万円を超える新製品をそうそう借り続けてもいられない。避けようもなく返却日はやってきて、DF-75と同社のパワーアンプ2台は粛々と帰っていった。 ■実験はしておくものだ!?  しかし、いろいろと実験しては書き放題していた本noteの記事をアキュフェーズ首脳陣が読んでくれて、「これを第一歩として、もっと実験して下さい」という声が

          DF-65がやってきた♪

          これが3万円のアクティブSPか!

           及ばずながら、音楽之友社ベストバイNEWの選考員を拝命している。といいつつ、担当ジャンル製品はあまりたくさんの数が聴けていないものだから、締め切り仕事が一段落して、泥縄の試聴をいくつかこなしている。そんな中から、ここではまとめて借り出したオーディオテクニカ製品から、いくつか取り上げていきたいと思う。 ■高級アクティブSPの隆盛にあって  今年は、というかここ数年にわたってアクティブスピーカーは割合と豊作で、特に上級モデルの充実が目覚ましく、しっかりしたプリアンプと組み合

          これが3万円のアクティブSPか!

          イベント報告補遺〜再生音源リスト〜

           去る10月5〜6日に秋葉原コイズミ無線で行ったイベント/セミナーでは、いろいろなジャンルの音源をお客様にお聴きいただいた。セットリストというほど大げさなものではないが、使用した音源を書き記しておこうと思う。 01:レスピーギ/交響詩「ローマの祭り」 ジョアン・ファレッタ指揮/バッファロー・フィルハーモニー管弦楽団 e−onkyo(欧NAXOS) ¥1,466(96/24FLAC) https://www.e-onkyo.com/music/album/naxs85740

          イベント報告補遺〜再生音源リスト〜

          イベント報告〜10月5/6日コイズミ無線〜

          ■10月5日はフォステクス主催  去る10月5日(土)、東京は秋葉原のコイズミ無線店頭にて、私の設計したバックロードホーン(以下BH)「オウサマペンギン」の発表セミナーが開催された。「オウサマペンギン」について詳しくは、月刊ステレオ誌の2024年10月号と、本noteの補遺ページをご参照いただけると幸いだ。 「オウサマペンギン」補遺〜その1〜 https://note.com/kitamoriya_craft/n/n236b85c97fc2 「オウサマペンギン」補遺〜そ

          イベント報告〜10月5/6日コイズミ無線〜

          「オウサマペンギン」補遺〜その2〜

          ■大口径フルレンジの高域は使えない!?  長岡鉄男氏が亡くなられたのは2000年の5月だった。それから程なくして、フォステクスのFEはFE-Eシリーズにモデルチェンジし、オリジナルFEの中高域にいつも存在していた雑味、ガサつきが消え去った。同社のエンジニアとしても、長岡氏に音が聴かせられなかったのは痛恨だったろうし、私たち長岡ファンにとってもそれは同じだった。  そのFE-Eにしても大口径、特に20cmはトゥイーターなしで使用する気にはちょっとなれなかった。オリジナルFE

          「オウサマペンギン」補遺〜その2〜

          「オウサマペンギン」補遺〜その1〜

           月刊ステレオ2024年10月号で発表した、フォステクスFE203Σ-RE搭載の鳥型バックロードホーン(以下BH)「オウサマペンギン」は、3ページの紙幅にはとても収まり切れない内実を有する。それで、膨大な補足を私のnoteを用いて行うこととした。 ■見た目の平凡さにダマされるな!  まず、FE203Σ-REの解説から補足しようか。振動板素材については誌面でも触れたが、この針葉樹未晒しパルプ(NUKP)というのが、今作の音質形成における、非常に大きな要素となっているのではな

          「オウサマペンギン」補遺〜その1〜

          アキュフェーズDF-75をもうちょっと追試する

           アキュフェーズのデジタル・チャンネルデバイダーDF-75の返却期限が近づくに連れ、どんどんやりたいこと、「ここはこうすればいいんじゃないか!?」というひらめきが続出している。手元にある間にやれる実験はやり尽くしてしまわねばならない、という勢いで、締め切り真っ最中だというのにこんなことをやっている。 ■ミッドバス・ワイドレンジ化計画その2  今回の思いつきは、またしてもミッドバスだ。そもそもこのミッドバス・キャビネットは、前にも解説したが「逆ホーン型」というもので、理想的

          アキュフェーズDF-75をもうちょっと追試する

          アキュフェーズDF-75をさらに追試する

           前回はアキュフェーズのデジタル・チャンネルデバイダーDF-75を追試すると称して、季刊オーディオアクセサリー第194号に掲載した記事の補遺を行ったわけだが、このDF-75というマシン、実に奥が深くて次から次へとやりたいことが出てくる。今回は短文になるが、新たに発見したチューニングを書き留めておくこととする。 ■ミッドバスをより広帯域に活かす方法  前回ボヤいた、ミッドバスに使用しているフォステクスFE168SS-HPをごく狭帯域にしか活用できていない件だが、同ユニットの

          アキュフェーズDF-75をさらに追試する

          アキュフェーズDF-75を追試する

           発売中の音元出版オーディオアクセサリー194号(2024年秋号)で、アキュフェーズのデジタル・チャンネルデバイダーDF-75を、わが家の4ウェイ・マルチアンプ・スピーカー「ホーム・タワー」で使ってみる実験を行った。 ■「限界マルチ」だが結構な実力派のスピーカー  ご存じない人のために、わが「ホーム・タワー」の陣容に触れておこう。もう製作してからずいぶんになるので、残念ながらすべてのユニットが生産完了となってしまっており、このまま皆さんに追試していただけないのは心苦しいが

          アキュフェーズDF-75を追試する