浦賀・観音崎さんぽ②
東叶神社を後にして、バス通りの太い道へ。
通りに出てすぐバス停は見つかったのですが、次のバスまで20分あったので一つ先のバス停まで歩くことに。
が、歩き始めて早々に結構な上り坂にぶちあたったので即後悔しました。きちんと調べよう、高低差。
風が冷たかったので体を動かしていたかったとは言え、坂道は遠慮したかった……と内心呻きつつ、目指すバス停にたどり着いたのでおとなしくバスを待ちます。
そもそも浦賀駅から観音崎まではバスが通っており、素直にそれに乗れば灯台のある公園まで20分とかからない距離です。
しかし今日の目的は散歩。観音崎大橋を歩いてみたかったので、観音崎より手前の「鴨居」バス停で下車。
海岸から少し離れた信号を右折すると、海に突き出すカーブが見えます。
地図上では「観音崎大橋」だけど、上から見ると普通に道路。橋なのか?と思ってたら砂浜に下りる道があったので、下から見てみることに。
橋でした。
海の上に伸びる道というのはなんか無性にわくわくしますね。でけえ建造物が好き。
なんかすげえポケモン研究所みたいな建物ある~~。
ホウエンにありそうだし博士がいそう。化石を復元してくれそう。海沿いの研究所、いいよね……。
橋の上のポールも灯台っぽい形をしていてかわいい。観音崎大橋を渡れば、そこはもう観音崎公園です。
葉山でもそうだったけど、ここまで来ると海の水が澄んでてびっくりする。普段みなとみらいや江ノ島の海の色(基本的に濁っている)を見ているので……。
ポケモン研究所の正体は、観音崎自然博物館でした。やっぱりそういう施設だった!
研究色強めの小さい水族館のような雰囲気で、ものすごく興味はあったんですが、太陽が既にかなりの西日。
入るならゆっくり見たいし、ゆっくり見ていたら確実に日が暮れる。涙を飲んで再訪を誓い、灯台を目指します。
案内板曰く、ここ観音崎から向かいの房総半島(千葉)まではわずか7kmだそうです。船目線で見れば、すごく狭いんですね。ゆえに海防の要所であったと。
観音崎の奥は軍港・横須賀、更にその先には首都・東京があるわけで。東京湾の門のような、絶対防衛ラインだったのでしょう。
今回の散歩ルートからは外れましたが、近くには戦没船員の碑や駆逐艦「村雨」の碑もあります。
『砲台跡のある公園』ではなく『砲台跡が公園になった』と言ったほうが正しく、この地がけして穏やかな歴史を歩んできたわけではないことが窺い知れます。
戦争について考える機会が、近年とても増えました。そんな不穏な機会は無いほうがいいに決まっているんですが、起きている事実は嫌でもそこにあって。
安易にわかった気になってはいけない、しかし想像することをやめてもいけない。それが平和を享受する「後の世」を生きるものの責任だ、と。私は思っているんですが。
歴史のうわべをなぞるだけでも、『こんな愚かなことを繰り返してはならない、と、言い続けなければなあ』と改めて思うのでした。それはただ、合わせる顔がねえだろう、ぐらいのシンプルさで。
日が山向こうに入ってしまい、海沿い・日陰・強風の体感温度絶対下げるコンボが発生したのでここからはずんずん進みます。
ホラーゲームの導入すぎる。
ぼうぼう伸びた木々の下にぽつんとある。地図で言うとEのトンネルなんですが、一人じゃ絶対に通りたくない。駆け足だとしても怖すぎる。帰ってこられない気配がすごい。
古くはイザナギやオルフェウスの冥界下り、有名どころだと千と千尋、夜廻や妖怪ウォッチのえんえんトンネルにも思うんですが、「トンネル」という存在のあの異界っぽさはなんなんですかね。とって喰われそうと言うか、本能的に怖いんだよな。
君子も危ないところに近寄っちゃダメだよって言ってた。
トンネルから少し進んだ、坂道を上るルートを選びます。なかなかに傾斜のキツい坂道なんですが、私には登山漫画で得た『坂ほど小股で、息を切らさない速度でちょこちょこ上れ』という教えがあるので、忠実にそれを守ります。大股でがつがつ上るほど体力を消耗する、よく考えりゃそれはそう。体力温存、大事。
坂は越えたものの、木々の合間を縫うような道が続くので、このへんもうめっちゃ日陰。寒い。冬至前は日が翳るのが早くてやーね。
暗がりの先に見えた、この瞬間の歓喜たるや。
頬は緩み、早足で最後の坂を上ります。早く会いたい一心で。
雲ひとつない秋空と、西日にその白さがまぶしく、しばらく呆然としてしまった。
綺麗だ…………。
陽の当たる時間に間に合ってよかったと、本当に思いました。暖かい季節だったら、一日眺めていられただろうな。とも。
螺旋階段っていつもなんか酔いそうになるんですが、いい回避方法はあるんでしょうか。でも足元見ちゃうしなあ。
下から見てた以上に展望部分は狭く、外の手すりに近寄ろうとすると内股のあたりが竦むのが分かって笑う。私はなぜか成人してから高所恐怖症を発症したので、『高い所が怖い』という意識忘れがち。
ビル内の展望台とかはわりと平気なんですけどね。落ちそうな場所が怖い。ランドマークと東京タワーは大丈夫だけど、マリンタワーと観覧車は怖い(特に観覧車の頼りなさがダメ)。ロープウェーはケーブルに繋がってる部分すんごい見ちゃう。
そんなわけで吹きっさらしの手すりの低い灯台の上めっっちゃ怖いわ!!景色綺麗~と思って写真撮る余裕あるけど意に反して足ガックガクでおもろい!!
試しに灯台内の階段近くに戻ってみたらぴたっと震えは収まったので、これはやっぱり「落ちる」恐怖なんだなと興味深かった。昔は遊園地のフリーフォールとか平気で乗ってたのにねえ。
なので景色よりも灯台内部を愛でる。
レンズ部分にこんなに近付けるの嬉しい……んだけど、すれ違うのもちょっと難しいぐらい狭いので長居はできない。この狭い高所で人がぎゅうぎゅうになるのを考えるのも怖い。誰かしらぽろっと落ちそうで。
券売所の横が小さい灯台博物館(撮影禁止)になってて、灯台内の仕組みを実際に触れたり見れたりして楽しかったです。小さいわりにかなり展示が充実していた。
雑にスタンプで隠しましたが、「灯台カード」なるものの配布もしていました。原点にして頂点のフレーズ、ここまで市民権を得てたんだな……。
他にも「海と灯台プロジェクト」が12/1まで写真・イラスト・ポエム等を募集したりしていた。灯台にまつわるポエムが募集されることあるんだ。
来てみないと分からなかったこと:灯台に熱意を持ってる層は結構いる。
そういや灯台擬人化(燈の守り人)なんかもやってましたしね。確かキャラがやたら多かったな……って調べてみたら88基だった。刀剣乱舞の初期実装42振りどころか、シンデレラガールズ配信開始時の84人も超している。すごい。
今年、ずっと行きたかった神戸に旅行できて、その時にも思ったんですけど。
「行きたい場所」と言うのは動かずそこにあるから、「自分が行っていないだけ」なんですよね。行こうとすればいつだって行けるのに、自分が行こうとしていないだけ。
なら、さっさと行ったほうがいいなあって。
推しは推せるときに推せ、の言もありますが、「動かずそこにあるとしても、いつまでもそこにあるとは限らない」もので。
平和だなんだと考えざるを得ない時代に、いつまで自分が健康で、のんきに散歩を楽しんでいられるのか、って。「もしかしたら今しかないんじゃないか」みたいな、ちょっとの焦燥感もあり。
悔いのないように生きたいですよね。何がどうなるかなんて誰にもわかんないから。
「来て良かった」と思えるうちに、来られて良かった。「行きたかった」で終わらせなくて、良かった。
③につづく。