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のらねこ旅日記≪秋のトマム≫

  ≪雨の地獄谷温泉≫を書いていて思い出した友人Hとの旅の思い出です。
  ある年の秋、バブル崩壊後の北海道トマムのリゾートホテルに行きました。
Hからのお誘いで、特に何をするでもなく、ただあのホテルに泊まってみたいといった理由だったと思います。
  ホテルのロビーには、ベルばらの作者さんの手による大きな壁画が飾られていました。
前日に女性経営者の会合があってゲストとして呼ばれていたようでした。
ただ、壁画の空いているスペースに誰でも自由に絵を描けるようになっていて、落書きレベルの下手くそな絵も描き込まれていました。
『折角の壁画が、ちょっともったいないな』と、マンガオタクの私は思いました。
  お部屋については、ほとんど記憶がないので、普通のツインルームだったのでしょう。
  夕食は、ビュッフェか和食レストランの2択で、その日はビュッフェにしました。
  ビュッフェ会場に行くと、そこには大勢のジャージ姿の若い人たちがいました。
  どうやらここは、ちょうど開催されていた国体のカヌー選手御一同様の宿泊所にもなっていたようでした。
  「私、お肉を取ってくるから、あなたはサラダをお願いね!」と、選手の皆さんは自分たちのグループごとに、手分けして各料理をまとめて大量に取っていくので、私たちがお肉にたどり着く前に大皿は空になりました。
次の補充が来るまで、別のお料理を取っていると、お肉が補充された途端、また選手の皆さんが持っていってしまうので、なかなかお肉料理にありつけず
「明日は、絶対レストランにしよう」とHが言いました。
  翌朝、朝食ビュッフェに行くと、もう国体の皆さんは出かけた後のようで、私たちはゆったりと食事ができました。
  その後、私たちはホテルのコートでテニスをしましたが、下手くそ同士なのでラリーが続かなく、雨も降りだしたので、ホテルに戻りました。
  雨はだんだんと強くなり、やることのない私たちは、お部屋でホテルのガイドブックを見ていると、ホテルにお茶室があってお抹茶をたててもらえるサービスがあることを知りました。
早速行ってみると、他にお客さんもいないので、すぐにお茶室に通してくれました。
  お茶室はホテルの4階のお部屋でしたが、小上がりの畳の間で窓にはちゃんと障子がはまっていました。
少し待っていると、スーツ姿のホテルスタッフのお姉さんがやって来て、お茶をたててくれました。
お抹茶と和菓子で、ほっと一息ついたのも束の間、大して時間もつぶせず、私たちは、また部屋に戻りました。
  部屋でテレビをつけると、国体のカヌー競技を中継していました。
大雨のため、渓流が増水していて流れも早く、選手さんたちはかなり大変そうに川を下っていました。
ターンが上手く行かず、転覆する選手さんもいました。
昨夜のビュッフェの恨みもあり、選手さんたちの悪戦苦闘を笑いながら観ていた私たちでしたが、審判員席まで水が流れ込んで、テントが流されそうになった時は、さすがに笑えませんでした。
この後すぐに競技は中止になりました。
  翌日、天気は回復し、トマムを後にした私たちは、池田町のワイン城に行き、ビーフシチューをいただきました。
  H はワイン会に入っているほどの、ワイン好きですが、あまり量は飲めない人なので、グラスワインを飲んでいましたが
『私が飲める人だったら、ワインをボトルで頼みたかったんだろうな』と思い、私は心の中で『飲めなくてゴメンね』と謝りました。
  その後は札幌に行き、お寿司を食べて札幌のホテルに泊まり、最終日にサッポロビール園でジンギスカンを食べて、お土産にメロンを買って帰りました。
ラスト2日で、北海道を満喫した私は
『サホロ、別に行かなくてもよかったのでは…』と思いました。
  


  


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