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のらねこ旅日記≪バナナボート≫
沖縄で何度かバナナボートに乗りました。
バナナボートとは、バナナのような形をしたゴムボートにまたがり、水上を勢いよく引っ張り回されるアトラクションで、水上のロデオです。
小型のモーターボートや水上バイクで引っ張りますが、水上バイクのほうが小回りがきくので、急なターンで振り落とされます。
最初に乗った時は、顔面から海に落ちて顔左半分が半日腫れてしまいました。
海に落ちてからボートにはい上がるのも、一苦労でした。
足のつかない海から手綱部分をつかんで腕の力でよじ登るのですが、全員が落ちたときは、左右にわかれて一斉に上らないと、バナナボートがひっくり返ります。
だから腕の力の弱い女子のお客さんの時は、だいたいスタッフさんが水上バイクを横によせて、バナナボートの上に引っ張りあげてくれます。
もちろんライフジャケットは着用しますが、最近ではヘルメットもかぶるようです。
プーケット島に行った時も、私と友人Cの2人でバナナボートに乗りました。
バナナボート初体験のCでしたが、ずっと乗馬をやっているので、余裕で乗りこなしていました。
その後ろで私は、振り落とされまいと、必死に手綱につかまっていました。
普通沖縄では10~15分ぐらいで終わるのですが、私たちを引っ張っている水上バイクは倍ぐらいの時間をかけて、沖にある小島を1周し、最後に波が穏やかな入り江でわざと急なターンを切って、私たちを振り落としました。
体幹と内腿の力でバランスをとっていたCと違って、腕の力のみで耐えていた私は、その後の昼食の時、フォークを持つ手がプルプル震えて、うまくごはんが食べられませんでした。
バナナボートで一番の思い出は、小浜島での出来事です。
珍しく団体のお客さんがいました。
それも50才以上とみられるオジサンの集団でした。
当時このホテルは、某有名メーカーの傘下だったので、たぶん社員旅行だったのでしょう。それも年齢層をみるに、『勤続30年慰労会』的な感じでした。
夜になるとバンケットルームで賑やかな宴会が開かれているようでしたが、
日中はほとんどオジサンたちの姿を見かけることはありませんでした。
この頃の小浜島はゴルフ場もまだなくて、ビーチで過ごすか、ダイビングか、船で釣りに出るか、西表島に日帰り観光に行くか、ぐらいでした。
『オジサンたちは、夜の宴会を思いっきり楽しんで、昼は寝ているのかな?』なんて思っていました。
そんな中、ビーチに3人のオジサンが海パン姿で現れました。
そして、彼らはバナナボートに挑戦したのです。
オジサンの1人は、ポッコリお腹で、ライフジャケットの前が閉じず、ベルトをMAX延ばした状態でやっと装着していました。
そしてビーチのお客さんたちが、注目する中、3人のオジサンはバナナボートにまたがり、スタッフさんの説明を聞き、いざ出発という瞬間に…
いきなりバナナボートごとひっくり返りました!
『なんで、あんな浅いところでひっくり返る?痛いだろ!』と思って見ていると、オジサンたちは、再びバナナボートにまたがり、今度は無事に水上バイクに引かれて沖へ連れていかれました。
オジサンたちのバナナボートは、沖に出ると横に走り始めました。
が、体重が重いせいか、いつもよりバナナボートは沈み気味で、スピードもあまり出ていないように見えました。
ちゃぷちゃぷ移動していたバナナボートは、別にターンを切ってもいないのに、いきなりひっくり返えりました。
ビーチにいた全てのお客さんが注目していたのでしょう。ビーチでは、『あぁ…』と小さなと悲鳴と笑いが聞こえました。
水上バイクのスタッフさんは、海に落ちたオジサンたちに手を差しのべることもなく、オジサンたちが自力で上ってくるのを待っていました。
ようやくオジサンたちがバナナボートに上ると、水上バイクは浜に向かって戻ってきました。
そして、浜でバイクを停止させた瞬間、オジサンたちのバナナボートは、波打ち際でまたひっくり返りました。
『他のお客さんたちの目の前であんなにひっくり返って、いやになっちゃわないかな?』と、勝手に心配しましたが、その後オジサン3人は若いお客さんたちとビーチバレーをやっていたので『あぁ、ちゃんと楽しめてるのね』と、ホッとしました。
最終日、ホテルから港までの送迎バスでオジサンたちと一緒になりました。
1台目のバスはオジサン貸切状態だったので、私と友人Aは2台目に乗り、空いていたので、別々に窓側の席に座りました。
すると、こちらのバスにも数人のオジサンが乗ってきました。
その中にアロハシャツを着たジェントルな感じのおじさまがいました。お付きの人の対応から、どうやら一番偉い人のようでした。
そのおじさまは、他にも席が空いているのに、Aの隣に座り
「どこから来たの?」
「どんなことをして遊んでたの?」
などとおしゃべりを始めました。
そして最後に
「おじさんもあと20才若ければ、楽しかったんだろうけどね」と笑いました。
『次からは、別の場所にしましょうよ』と心の中でツッコミました。